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村上春樹を英語で読む

なぜ、こう訳されているのかを考える。

「まいまい」と「かたつむり」

2015-05-16 14:58:07 | ことばの意味を実感する
「カタツムリ」のことを「マイマイ」という地方があります。といっても、これが学術上の和名だそうですから、こちらの方がより普通なのかもしれません。ところで、この「マイマイ」ですが「巻き巻き」が変化したものです。もちろん、殻の模様から来ているのでしょう。「き→い」の変化はあまりなじみがないかもしれませんが「焼津(やいづ)」という地名に見えます。字面だけでは「やきづ」になるわけですから、類例といえるでしょう。このような現象を「い音便」といいます。若い人にはおなじみではないでしょうが、「ふいちょう(吹聴)」なども同様です。ということで「マイマイ」は「巻いた虫」の意味を持つようです。
 では「カタツムリ」はどうでしょう。これは「かさ+つぶり」だという説があります。また「かたい+つぶり」という説もあります。そこで、はっきりしない「かた」は外して、「つむり」だけ考えましょう。「つぶり」は「まるいもの」を表す語です。真ん中の「ぶ」が「さぶい→さむい」と同じように変化すると「つむり」になります。この「つぶ(む)り」が「丸い」であることは「つぶらな瞳」に残っています。また、「円谷」という姓は「つぶらや」と読みます。今ではあまり聞きませんが私が子どものころには「おつむ」という語がまだ生きていました。「頭」のことです。当然「丸いもの」ですね。ということで、「かたつむり」は「丸い虫」の意味を持っているようです。
 日本語では「丸い虫」とか「巻いた虫」の意味であったわけですが,英語ではどうでしょう。英語で「かたつむり」はsnailですが、これはsnakeと同じ系統の語です。ともに「這う」という意味を持っています。そして,ここから意外な語につながります。それは「スニーカー」です。英語でつづればsneakersとなりますが、這うように移動すれば音がしないので,靴にこの名前がついたのですが,「ヘビ靴」とか「カタツムリ靴」の名前では,誰も履かないでしょうね。似たような虫に「ナメクジ」がいますが,英語ではslugですが、これはslowと関係があるようで,その動きの遅さからその名が来ています。
 漢字の世界では「蝸牛」となりますが、「渦」のさんずいが「虫」になっているわけですから「渦を巻いている虫」と考えたのでしょう。「マイマイ」は漢字の持つイメージに近いですね。