goo blog サービス終了のお知らせ 

村上春樹を英語で読む

なぜ、こう訳されているのかを考える。

「レジェンド」は「読みもの」

2015-04-09 14:20:58 | ことばの意味を実感する
私の印象では、スキー・ジャンプの葛西選手からこの「レジェンド」という言葉が使われるようになったという感じですが、英語legendから来ているのでしょう。葛西選手はまだ活躍中ですから「生ける伝説(レジェンド)」ということのようですが、これは英語ではliving legendですから、「レジェンド」だけでは、単に「伝説」になり、もう亡くなっている人みたいな感じがします。Legendary figure(伝説的人物)という英語がありますが、サンタクロースはlegendary figureのひとりです。
 それはともかく英語のlegendの話です。訳語は「伝説」で、「伝わっている話」という感じの言葉ですが、legendの意味を考えてみましょう。『プログレッシブ英和中辞典』の語源欄に次のようにあります。

[中ラテン語legenda(legere読む+-dus過去分詞語尾+-a名詞語尾=読まれるべきもの)]

「読まれるべきもの」とありますが、単に「伝わっている話」ではなく、その中の「読まれるべきもの」ということです。「注目に値するもの」です。表題に「読みもの」と書きましたが、これは例えば「少年少女向けの読み物」の「読み物」ではないのです。たとえば、「それは見ものだ」と言えば「見る価値があるもの」ということです。ところが、「読みもの」の場合、「読む価値があるもの」の意味ではあまり使われないようです。「それは読みものだ」では何が言いたいのかよくわかりません。
 しかし、私は「読む価値があるもの」であるという意味で「レジェンド」は「読みもの」と捉えるといいのではないかと考えています。つまり、葛西選手は「長く活躍しているので、本来であれば、亡くなって(スポーツ選手の場合引退してから?)からなる「読みもの」に現役でなったのです。