中京大などを運営する学校法人梅村学園の梅村清弘理事長と長男の清英副理事長が、名古屋国税局の税務調査の結果、学園の施設工事の受注業者から計1億2千万円相当の自宅の修繕を無料で受けていたことがわかった。
副理事長は利益供与を受けながら申告せず、約4千万円の申告漏れを国税局から指摘されたという。理事長も約8千万円の申告漏れの疑いがあったが、税務上の時効だった。業者は学園から受注した工費を水増しして修繕に充てたとして、約1億2千万円の所得隠しを認定された模様だ。
理事長らは「業者が勝手に修繕した」と国税局に説明し、業者は「お世話になっているお礼」と話したとみられる。
関係者らによると、副理事長は08年、昭和区に3階建ての中古住宅を購入し、09年に転居。その際、建設会社の石田組から無料で内装などの修繕を受けたが、費用を支払わなかったという。
副理事長は税務調査に対し、「業者が勝手に修繕したので、詳細はわからない」と説明したという。しかし、支払うべき修繕費が免除された形で、国税局は「免除分は所得にあたる」と判断し、過少申告加算税を含め約1400万円を追徴したとされる。
理事長も、71年に愛知県豊田市の中京大豊田キャンパス内に建てられた2階建て住宅の修繕を04年に同社から無料で受け、利益供与を受けたが、申告しなかったという。
ただ、通常の課税期間の直近3年より前の行為だったため、課税が及ばなかったとされる。
一方、石田組が愛知県に提出した工事実績報告書によると、2人の自宅を修繕したとされる04、09年には、中京大キャンパス内の施設工事などを学園から受注。国税局は、この工費に2人の自宅の修繕費を紛れ込ませて学園に請求し、「利益供与を図った」とみている模様だ。水増し請求した約1億2千万円を所得隠しと認定し、悪質な不正をした場合の課税期間の過去7年までさかのぼり、重加算税を含め、追徴したとされる。
同学園の決算書によると、09年度の収入約206億円のうち、国などからの補助金が約19億円を占めた。梅村理事長は中京大学長を務めた後、90年から総長を兼任する学園トップ。清英副理事長は同大教授(国際貿易理論)も務める。
取材に、理事長は「国税が調べていたが、やましいことはない」と説明。副理事長も「悪いことは何もしていない」と話した。
民間信用会社などによると、石田組はアイスアリーナの新築工事を請け負うなど、同学園から年間10億円前後を受注する。売上高は09年9月期で46億7900万円。取材に「国税当局との見解の相違があったが、すでに修正申告した」と話した。(10/12/2 朝日新聞)
>関係者によると、石田組は09年9月期までの7年間で法人税約2億3000万円の所得隠しを指摘された。うち1億2000万円は、理事長宅と、副理事長宅の修繕費に使われていたにもかかわらず、経費として中京大関連の校舎建設費用に紛れ込ませて利益を圧縮した。石田組は、理事長と副理事長に代金を請求していなかった。
国税当局は「石田組の経理処理は悪質」と判断。重加算税も含めて7000万円を追徴課税したもようだ。石田組は修正申告に応じている。
一方、梅村学園への税務調査で、副理事長が石田組から自宅改修を受けた09年分の所得税について、国税当局は改修費分4000万円を所得として申告するよう指摘、副理事長は修正申告に応じた。ただ理事長宅の修繕は04年で、所得税の時効を過ぎており、課税処分はされていない。
梅村学園・中京大の理事長秘書室は11月29日、本紙が申し込んだ取材を断り「理事長、副理事長はともに何も話すことはないと言っている」と話したが、2日に理事長は「石田組が学園の工事費に私の自宅の修繕費を加え、工事費を水増しした事実はない」、副理事長は「石田組から無料で修繕してもらったわけでなく、500万円を支払った。国税局の調査で4000万円の工事が行われていると言われ、やむを得ず、不足分を修正申告した」とのコメントを出した。
石田組は本紙の取材に「担当者がいないので分からない」と話している。(中日新聞)
>中京大資格センターがテキスト代として学生から受け取った約2億4000万円をめぐる着服問題で、名古屋地検特捜部は21日、センター元部長の畑和孝容疑者(52)=5月に依願退職=を業務上横領容疑で逮捕、同市瑞穂区の自宅マンションを家宅捜索した。
逮捕容疑では、センターの責任者だった畑容疑者は今年4月までに、センターが資格講座のテキスト代として学生から預かった約8000万円を、自分名義の預金口座に入金して着服したとされる。
畑容疑者は容疑を認めているとみられる。
関係者によると、特捜部は逮捕容疑以外にも、業務上横領罪の時効(7年)にかからない着服の裏付け捜査を進めている。
中京大を運営する梅村学園は4月に着服問題を把握した後、畑容疑者を依願退職扱いにした。
当初は刑事告訴しない方針だったが、特捜部の捜査を受けて告訴状を出した。
大学側によると、畑容疑者は約2億4000万円全額の着服を認め、約1億3500万円をすでに弁済している。着服した金の一部は乗用車の購入や旅行などに使ったという。
◆学校側の“内部処理”疑問
中京大資格センターを舞台とした着服問題で、センター責任者だった畑容疑者が逮捕された。
本紙の報道で明るみに出るまで問題を公表せず刑事告訴もしなかった中京大の対応に、大学の関係者からも「公教育を担う学校法人の姿勢としてどうか」と疑問の声が上がっていた。
名古屋国税局の税務調査が中京大に入った4月中旬、畑容疑者は大学側に着服を自ら報告した。
関係者によると、大学側は1カ月にわたって事情を聴き、約2億4000万円に上る被害を確認した。
その後、大学側の提案で畑容疑者を依願退職とし、退職金約1500万円を含む約1億4000万円を弁償させた上で、残る約1億円は貸付金として借用書を交わした。
大学側によると、こうした“内部処理”は大学を運営する梅村学園理事会で決定。元名古屋市長や財界人も名を連ねる理事会で、着服問題を公表するかどうかの議論さえ「恥ずかしながら、なかった」(鬼頭俊二理事)という。
大学側は着服問題が明らかになった9月下旬に問題を公表し、内偵捜査を進めてきた特捜部に促される形で10月上旬に告訴状を出していた。
◆畑容疑者一問一答
畑容疑者は逮捕前の18日、名古屋市内で本紙の取材に「学生をだましたような形になってしまい、申し訳ないし情けない」と話した。
主な一問一答は次の通り。
-着服の経緯は。
業者に払ったり、大学に入れたりすべき金の一部を自分で使うようになった。最初は「早く穴埋めしなければ」と怖かったが、誰も何も言ってこず、感覚がまひしていった。
-必要に迫られて着服したのか。
まったくなかった。なぜやったのか本当に思い出せない。明確な動機は説明できない。
-大学側は着服問題を内部で処理しようとした。
懲戒解雇を覚悟していたから、再就職して償えるかもしれないと、ありがたかった。大学側との間で示談のような合意ができたと理解していた。(10/10/21 中日新聞)
>中京大学の部長職だった元職員(52)が今年3月までの約10年間、公務員や公認会計士などの受験者向け講座を受けた学生から、「テキスト代」として集めた現金計約2億4200万円を着服していたことが22日、わかった。
同大の発表によると、元職員は、受験講座を運営する「資格センター」の責任者。同センターが正式発足した00年4月以降、元職員は、受講生から窓口で受け取ったテキスト代(1人年額4万7000~4000円)を自分名義の銀行口座に入金し、着服していたという。
今年4月、元職員からの申し出で不正が発覚したが、同大理事会は「本人が反省し、全額の弁済を約束している」として、同5月に自己都合退職とし、公表していなかった。(10/9/22 読売新聞)
>中京大の学生に向けて資格試験対策を行う「資格センター」の責任者だった元大学職員の男が、学生から受け取ったテキスト代約2億4000万円を着服していたことが22日、分かった。大学が記者会見して明らかにした。
元職員が4月、大学に申し出て着服が発覚。元職員は5月20日付で依願退職した。大学は刑事告訴を検討している。
大学によると、元職員は資格センターの発起人で、退職時は同センターの部長だった。
元職員は00年から今年4月の間、学生からテキスト代として受け取った現金を自分名義の口座に入金。乗用車や時計などの購入代金に流用していたという。(時事通信)
>大学によると、元職員は開講当初の99年から運営にかかわっていた。
学生が現金で支払った教材費を自分の口座に入金し、繰り返し着服していたとみられる。教材納入業者には大学の予算から別に教材費が支払われていたという。
資格センターは、公認会計士や国家公務員I種などの資格試験で有数の合格実績を誇っている。
センターに通う学生は講座の受講料とは別に、教材費を納めていた。
元職員がセンターの責任者の立場を利用して、教材費を自分の口座に振り込み、私的に流用していた模様だ。
調査に対して元職員は「着服した金は車の購入や海外旅行に使った」などと説明しているという。
大学によると今年4月、本人の申し出で発覚した。税務署の調査が始まった直後だったという。
元職員は5月に依願退職し、受け取った退職金全額を弁済費用として返済した。大学は元職員を懲戒処分せず、着服について公表もしていなかった。
大学を運営する学校法人梅村学園の鬼頭俊二理事は「『償いたい』という本人の意思をくんだ。学生の動揺などを考え公表が遅れた。対応が甘かった」と説明している。(毎日新聞)
>元職員は口座に残っていた金額と退職金などを合わせた計約1億3500万円を大学側に返済し、残る1億円余りも返済するという。(朝日新聞)
副理事長は利益供与を受けながら申告せず、約4千万円の申告漏れを国税局から指摘されたという。理事長も約8千万円の申告漏れの疑いがあったが、税務上の時効だった。業者は学園から受注した工費を水増しして修繕に充てたとして、約1億2千万円の所得隠しを認定された模様だ。
理事長らは「業者が勝手に修繕した」と国税局に説明し、業者は「お世話になっているお礼」と話したとみられる。
関係者らによると、副理事長は08年、昭和区に3階建ての中古住宅を購入し、09年に転居。その際、建設会社の石田組から無料で内装などの修繕を受けたが、費用を支払わなかったという。
副理事長は税務調査に対し、「業者が勝手に修繕したので、詳細はわからない」と説明したという。しかし、支払うべき修繕費が免除された形で、国税局は「免除分は所得にあたる」と判断し、過少申告加算税を含め約1400万円を追徴したとされる。
理事長も、71年に愛知県豊田市の中京大豊田キャンパス内に建てられた2階建て住宅の修繕を04年に同社から無料で受け、利益供与を受けたが、申告しなかったという。
ただ、通常の課税期間の直近3年より前の行為だったため、課税が及ばなかったとされる。
一方、石田組が愛知県に提出した工事実績報告書によると、2人の自宅を修繕したとされる04、09年には、中京大キャンパス内の施設工事などを学園から受注。国税局は、この工費に2人の自宅の修繕費を紛れ込ませて学園に請求し、「利益供与を図った」とみている模様だ。水増し請求した約1億2千万円を所得隠しと認定し、悪質な不正をした場合の課税期間の過去7年までさかのぼり、重加算税を含め、追徴したとされる。
同学園の決算書によると、09年度の収入約206億円のうち、国などからの補助金が約19億円を占めた。梅村理事長は中京大学長を務めた後、90年から総長を兼任する学園トップ。清英副理事長は同大教授(国際貿易理論)も務める。
取材に、理事長は「国税が調べていたが、やましいことはない」と説明。副理事長も「悪いことは何もしていない」と話した。
民間信用会社などによると、石田組はアイスアリーナの新築工事を請け負うなど、同学園から年間10億円前後を受注する。売上高は09年9月期で46億7900万円。取材に「国税当局との見解の相違があったが、すでに修正申告した」と話した。(10/12/2 朝日新聞)
>関係者によると、石田組は09年9月期までの7年間で法人税約2億3000万円の所得隠しを指摘された。うち1億2000万円は、理事長宅と、副理事長宅の修繕費に使われていたにもかかわらず、経費として中京大関連の校舎建設費用に紛れ込ませて利益を圧縮した。石田組は、理事長と副理事長に代金を請求していなかった。
国税当局は「石田組の経理処理は悪質」と判断。重加算税も含めて7000万円を追徴課税したもようだ。石田組は修正申告に応じている。
一方、梅村学園への税務調査で、副理事長が石田組から自宅改修を受けた09年分の所得税について、国税当局は改修費分4000万円を所得として申告するよう指摘、副理事長は修正申告に応じた。ただ理事長宅の修繕は04年で、所得税の時効を過ぎており、課税処分はされていない。
梅村学園・中京大の理事長秘書室は11月29日、本紙が申し込んだ取材を断り「理事長、副理事長はともに何も話すことはないと言っている」と話したが、2日に理事長は「石田組が学園の工事費に私の自宅の修繕費を加え、工事費を水増しした事実はない」、副理事長は「石田組から無料で修繕してもらったわけでなく、500万円を支払った。国税局の調査で4000万円の工事が行われていると言われ、やむを得ず、不足分を修正申告した」とのコメントを出した。
石田組は本紙の取材に「担当者がいないので分からない」と話している。(中日新聞)
>中京大資格センターがテキスト代として学生から受け取った約2億4000万円をめぐる着服問題で、名古屋地検特捜部は21日、センター元部長の畑和孝容疑者(52)=5月に依願退職=を業務上横領容疑で逮捕、同市瑞穂区の自宅マンションを家宅捜索した。
逮捕容疑では、センターの責任者だった畑容疑者は今年4月までに、センターが資格講座のテキスト代として学生から預かった約8000万円を、自分名義の預金口座に入金して着服したとされる。
畑容疑者は容疑を認めているとみられる。
関係者によると、特捜部は逮捕容疑以外にも、業務上横領罪の時効(7年)にかからない着服の裏付け捜査を進めている。
中京大を運営する梅村学園は4月に着服問題を把握した後、畑容疑者を依願退職扱いにした。
当初は刑事告訴しない方針だったが、特捜部の捜査を受けて告訴状を出した。
大学側によると、畑容疑者は約2億4000万円全額の着服を認め、約1億3500万円をすでに弁済している。着服した金の一部は乗用車の購入や旅行などに使ったという。
◆学校側の“内部処理”疑問
中京大資格センターを舞台とした着服問題で、センター責任者だった畑容疑者が逮捕された。
本紙の報道で明るみに出るまで問題を公表せず刑事告訴もしなかった中京大の対応に、大学の関係者からも「公教育を担う学校法人の姿勢としてどうか」と疑問の声が上がっていた。
名古屋国税局の税務調査が中京大に入った4月中旬、畑容疑者は大学側に着服を自ら報告した。
関係者によると、大学側は1カ月にわたって事情を聴き、約2億4000万円に上る被害を確認した。
その後、大学側の提案で畑容疑者を依願退職とし、退職金約1500万円を含む約1億4000万円を弁償させた上で、残る約1億円は貸付金として借用書を交わした。
大学側によると、こうした“内部処理”は大学を運営する梅村学園理事会で決定。元名古屋市長や財界人も名を連ねる理事会で、着服問題を公表するかどうかの議論さえ「恥ずかしながら、なかった」(鬼頭俊二理事)という。
大学側は着服問題が明らかになった9月下旬に問題を公表し、内偵捜査を進めてきた特捜部に促される形で10月上旬に告訴状を出していた。
◆畑容疑者一問一答
畑容疑者は逮捕前の18日、名古屋市内で本紙の取材に「学生をだましたような形になってしまい、申し訳ないし情けない」と話した。
主な一問一答は次の通り。
-着服の経緯は。
業者に払ったり、大学に入れたりすべき金の一部を自分で使うようになった。最初は「早く穴埋めしなければ」と怖かったが、誰も何も言ってこず、感覚がまひしていった。
-必要に迫られて着服したのか。
まったくなかった。なぜやったのか本当に思い出せない。明確な動機は説明できない。
-大学側は着服問題を内部で処理しようとした。
懲戒解雇を覚悟していたから、再就職して償えるかもしれないと、ありがたかった。大学側との間で示談のような合意ができたと理解していた。(10/10/21 中日新聞)
>中京大学の部長職だった元職員(52)が今年3月までの約10年間、公務員や公認会計士などの受験者向け講座を受けた学生から、「テキスト代」として集めた現金計約2億4200万円を着服していたことが22日、わかった。
同大の発表によると、元職員は、受験講座を運営する「資格センター」の責任者。同センターが正式発足した00年4月以降、元職員は、受講生から窓口で受け取ったテキスト代(1人年額4万7000~4000円)を自分名義の銀行口座に入金し、着服していたという。
今年4月、元職員からの申し出で不正が発覚したが、同大理事会は「本人が反省し、全額の弁済を約束している」として、同5月に自己都合退職とし、公表していなかった。(10/9/22 読売新聞)
>中京大の学生に向けて資格試験対策を行う「資格センター」の責任者だった元大学職員の男が、学生から受け取ったテキスト代約2億4000万円を着服していたことが22日、分かった。大学が記者会見して明らかにした。
元職員が4月、大学に申し出て着服が発覚。元職員は5月20日付で依願退職した。大学は刑事告訴を検討している。
大学によると、元職員は資格センターの発起人で、退職時は同センターの部長だった。
元職員は00年から今年4月の間、学生からテキスト代として受け取った現金を自分名義の口座に入金。乗用車や時計などの購入代金に流用していたという。(時事通信)
>大学によると、元職員は開講当初の99年から運営にかかわっていた。
学生が現金で支払った教材費を自分の口座に入金し、繰り返し着服していたとみられる。教材納入業者には大学の予算から別に教材費が支払われていたという。
資格センターは、公認会計士や国家公務員I種などの資格試験で有数の合格実績を誇っている。
センターに通う学生は講座の受講料とは別に、教材費を納めていた。
元職員がセンターの責任者の立場を利用して、教材費を自分の口座に振り込み、私的に流用していた模様だ。
調査に対して元職員は「着服した金は車の購入や海外旅行に使った」などと説明しているという。
大学によると今年4月、本人の申し出で発覚した。税務署の調査が始まった直後だったという。
元職員は5月に依願退職し、受け取った退職金全額を弁済費用として返済した。大学は元職員を懲戒処分せず、着服について公表もしていなかった。
大学を運営する学校法人梅村学園の鬼頭俊二理事は「『償いたい』という本人の意思をくんだ。学生の動揺などを考え公表が遅れた。対応が甘かった」と説明している。(毎日新聞)
>元職員は口座に残っていた金額と退職金などを合わせた計約1億3500万円を大学側に返済し、残る1億円余りも返済するという。(朝日新聞)