ぐるぐる・ぶらぶら

歌舞伎と映画と美術と読書の感想

【読書】未来企業

2014-10-30 23:12:14 | 読書記録

生き残っていけるのはどんな企業か。
例えば、「ものが作れる」だけではレジリエンスを満たせないようだ。
何のためにものを作るのか、とか、ものを作った先に何があるのか、が
空欄であっては先がない。

実例多数。
そうなんだ。だからこの企業は靭いのか。

今ならまだ間に合うかもしれない。
しかし、余力ないときついな、とも思う。
余力を保てるかどうかは、信念(経営者の?)に依存しそうだ。
そうしようと意図的に努力し牽引しない限り、このご時勢に流されて、
余力はどんどん磨り減っていく。

-----
未来企業 レジリエンスの経営とリーダーシップ
リンダ・グラットン 著
プレジデント社

(2014.10.30)


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【映画】トム・アット・ザ・ファーム

2014-10-29 22:14:49 | 映画

トム(グザヴィエ・ドラン)のセンチメンタルとナルシー、
心的麻痺による隙、被虐と囚われ、でも案外自我がしっかりしたところが
あったりする。

トム=ファム・ファタールでもある。

翻弄する立場と翻弄される立場を行ったり来たりするのね。

観客としてこの映画、どう楽しむのがベストだったのか、見終わってからも
戸惑いがある。それはドランの思う壺なのかもしれない。

(2014.10.27)


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気になる本 2014/10/27-03

2014-10-29 21:50:22 | 気になる本

2014/11/01-03

ポーケのファッション画集 19世紀の銅版画家 フランスと異国の貴族・民衆の服装
  /イポリット・ポーケ/1,944円/マール社 

2014/10/31

大原御幸 帯に生きた家族の物語/林 真理子/1,512円/講談社

2014/10/29

電力という商品/浜松 照秀/972円/エネルギーフォーラム(エネルギーフォーラム新書) 
  日本の電力システム技術を手本にして、国際展開を図ることを提案する著者が、
  社会全体に浸透している「エネルギー利用の勘違い」を解き、エネルギー利用の
  あり方を提言する。【「TRC MARC」の商品解説】

マルブランシュ 認識をめぐる争いと光の形而上学/依田 義右/8,640円/ぷねうま舎 
  「知性的世界の偉大なガリレオ」と称えられるマルブランシュ。彼が自らの思想、
  見解をはじめて世に問うたときの語り出し方は奇妙なものだった。その謎を解き、
  それを突破口とし、マルブランシュの思想の全体像に迫る。

中世ヨーロッパ生活誌/ロベール・ドロール/6,264円/論創社 
  ヨーロッパ全域を視野に収め、上は王侯貴族から下は農民、労働者にいたるまで、
  中世社会を構成していた人々に照明を当て、その生活と文化の実像に迫る。さらに、
  そうした社会を生み出した精神的特質にも触れる。【「TRC MARC」の商品解説】

2014/10/28

中世後期のドイツ民間信仰 伝説の歴史民俗学/ヴィル‐エーリヒ・ポイカート/3,024円/三元社 
  中世後期、伝説に登場する表象、動物のデーモンなどは、興隆する市民の文化の
  影響を受けて大きく変化した。伝説を史料として、ドイツの民衆の俗信の変化、
  表象の変容を、歴史民俗学、精神史や民衆史の観点から描き出す。

2014/10/27

世界の模様帖 テキスタイルにみる伝承デザイン/江馬 進/1,620円/青幻舎 
  京都に暮らす日本画家であり、西陣織の図案家でもあった江馬進が編纂した
  「東西染織文」の中から320余点の裂地模様を収録する。ヨーロッパから
  中近東・アフリカ、アジア、アメリカまで、世界の模様が満載。


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【展覧会】日本国宝展

2014-10-26 23:26:06 | アート・文化

日本国宝展
東京国立博物館 平成館
http://kokuhou2014.jp/index.html
-----

入っていきなり正倉院特別出展品がずらり。
見応えありすぎ。出展目録にメモを入れすぎて、帰宅後に見直しても
どれが特に印象が残ったのやら、一見分からない有様です。

以下メモ。

◎鳥毛立女屏風(とりげりつじょのびょうぶ)
 有名なアレです。
 優美で美しい。画面の質感は、教科書の写真では分からなかったこと。
 画面全体が石膏色なのは、彩色が落ちたんだろうと思うのだけど、
 白い画面に浮かぶ優美な線の美しさは、フジタの絵と似ている。

◎楓蘇芳染螺鈿槽びわ(かえですおうぞめらでんのそうのびわ)
 大きい。
 そして、なんと美しいかたち。
 背面と側面、転手をも、大小の螺鈿が隅々まで飾る。
 撥面には像と人々、山に鳥の連なる風景。

◎紫地綾錦几褥
 美しく緻密な文様を織り出した布(きれ)。

◎餓鬼草子と地獄草子
 餓鬼の様子・体勢はユーモラスですらある。
 表情豊か。
 地獄草子は飲酒に関する罪と罰が恐ろしげに描かれている。
 飲ませて騙す・盗む方が罰せられてるのね。

◎法華経(浅草寺経)
 紙面にちりばめられた金箔で、経文が光を放つが如くに見せる
 表現にうなる。

◎普賢菩薩像#38 
 細部まで美しく、拝まれるにふさわしい。

◎仏涅槃図
 最古・最大・大傑作の説明に違わぬ迫力と説得力。

◎当麻曼荼羅縁起絵巻 上巻
 人と馬の姿を活写。

◎土偶 縄文のヴィーナス
 これ必見。作り手の思いというか願いというか、フォルムに現る。

◎土偶 合掌土偶
 むっちゃ面白い。興味深い。
 現代芸術ですって言っても疑われないのではなかろうか。
 口のボツボツは髭かなぁ。
 修繕されたりして、持ち手に大事に愛されていたらしい。

◎銅鐸#52
 銅鐸は緑青ゆえの美しさというのもある。
 作ったときはそういう色ではなかったのだろうけど。

◎寝覚物語絵巻
 絵の部分、物語の指すそのもの(人)をそのままには書かない。
 象徴する衣装の部分だったり。

◎信貴山縁起絵巻 尼公巻
 弟を求めて旅する尼公の物語。尼公がアチコチにいる。
 安野光雅さんの「旅の絵本」を思い出した。
 道中に庶民の生活の様・風俗が描き表わされているところも共通。
 洗足、糸繰り、犬追い等々

◎一遍上人伝絵巻
 踊ってる。

◎法然上人伝絵巻
 法然上人の顔がリアル。
 そしてかな文字が非常に美しい。

◎周茂叔愛蓮図/狩野正信筆
 柳?の葉がパステルで描いたよう。よく見ればこれは点描か。

◎玳玻天目
 こういう感じの、初めて見た。
 玳玻は鼈甲。文様が3D的に浮き上がって見える。

◎広目天立像(法隆寺)
 迫力。存在感。

◎元興寺極楽坊五重小塔
 よく持ってきたなぁ。
 そして、これ、分解・組み立てできるものらしい。

◎観音菩薩坐像・勢至菩薩坐像(三千院)
 往生者を蓮に乗せて行く、と。
 死後に対する不安を優しく拭ってくれる。救済の視覚化。

-----
金曜夕方、多少は空いているかと思ったけど、そうはいかない。
行列になりがちな絵巻・経典の類は、やっぱり少し並びました。
でも週末の人出はもっとすごいのかも…。

(2014.10.24)


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気になる本 2014/10/20-26

2014-10-25 23:04:06 | 気になる本

2014/10/25

いと高き貧しさ 修道院規則と生の形式/ジョルジョ・アガンベン/5,184円/みすず書房 
  「貧しさ」が世界を変える?。物を所有せずに使用する。現代が思考すら
  できないでいる、法権利の外にある生を求めた聖フランチェスコら托鉢修道者に、
  大量消費社会を超える可能性を読む。

手塚治虫の芸術/ヘレン・マッカーシー/9,180円/ゆまに書房 
  【ハーベイ賞】欧米を代表する日本文化の研究家ヘレン・マッカーシーによる、
  手塚治虫の人生と業績を知るための入門書。貴重な写真、豊富な図版とともに、
  手塚がどのような人物だったかを明らかにし、主な仕事などを紹介する。

ほとんど想像すらされない奇妙な生き物たちの記録/カスパー・ヘンダーソン/2,376円/エクスナレッジ 
  アホロートル、クマムシ、イエティクラブ…。世界は私たちの想像の及びもつかない
  生き物で満ちている。実在する風変わりな生物を起点に、科学や歴史など様々な
  領域を横断する。センス・オブ・ワンダーに溢れた生物学エッセイ。

2014/10/24

見てしまう人びと 幻覚の脳科学/オリヴァー・サックス/2,484円/早川書房
  幻覚は狂気の徴候でも不名誉でもない。比類なきカテゴリーの意識であり精神生活
  なのだ。人間のありようの根幹を伝える驚くべき実例を共感をもって紹介する、
  サックス渾身の「幻覚のアンソロジー」。

神なき宗教 「自由」と「平等」をいかに守るか/ロナルド・ドゥオーキン/2,268円/筑摩書房
  宗教上の理由で兵役を拒否する人と、自らの信念に基づき徴兵に応じない人に、
  裁判官は同等の判決を下すことができるのか。宗教という難題を前にして、法に
  正解はあるのか。法哲学の巨人が、対立の根底に横たわる問いに挑む。

この映画を観れば世界がわかる 現在を刺激する監督たちのワールドワイドな見取り図
  /東京フィルメックス/1,944円/言視舎(言視BOOKS)

企業内職人図鑑 私たちがつくっています。 4 伝統工芸品/こどもくらぶ編/3,024円/同友館
  身近なものや知られざる名品などを取り上げ、その製品がつくられる過程や、
  製品をつくる人たちとその会社を写真とともに紹介。4は、江戸切子、江戸小紋、
  節供人形、岩谷堂?笥などの伝統工芸品を収録する。

2014/10/21

介護のためのアドラー心理学入門 どうすれば年老いた親とよい関係を築けるのか
  /岸見 一郎/アルテ/1,944円
  介護者の負担はどうすれば軽減することができるのか? 親の老いと病気の現実を
  ありのままに受け入れ、尊敬と信頼にもとづいた介護を行なう方法を、アドラー
  心理学を踏まえ、著者の介護経験を通して考察する。

トゥオネラの悲しい唄/ウネルマ・コンカ/1,944円/群像社
  人の死を悲しんで流す涙には作法がある。故人を無事に死者の国(トゥオネラ)に
  送り出すために北ロシアのカレリア地方で伝承されてきた「泣き歌」と「泣き女」
  の習俗に光をあてた葬礼と別離の民俗学。

ケルト紋様の幾何学 自然のリズムを描く/アダム・テットロウ/1,296円/創元社(アルケミスト双書)
  ケルト人は、自然を生ある存在と見なすとともに、象徴的な言語で書かれた壮大な
  書物と考えていた。この自然観をみごとに表現している、ケルト芸術に見られる
  正確な幾何学模様や流れるような装飾について解説する。【「TRC MARC」の商品解説】

夢みる惑星 4 愛蔵版/佐藤 史生/1,836円/復刊ドットコム

シニアをめぐるビジネスの実際と法律問題 超高齢社会における住まい・介護・契約・高齢者雇用を中心に
  /真和総合法律事務所/2,916円/民事法研究会
  超高齢社会におけるシニアビジネス法務の確立の必要性を説き、シニアビジネスに
  関連する法制度・法規制を整理。住まい、介護、金融商品、高齢者雇用などをめぐる
  法律問題と実務対応についてQ&A形式で解説する。【「TRC MARC」の商品解説】

2014/10/20

「アメリカニズム」の終焉/佐伯 啓思/1,296円/中央公論新社(中公文庫)
  リベラリズム(個人的自由)、民主主義、市場経済?。各々別種に発展してきた3つの
  理念を結合させた「アメリカニズム」。その本質を縦横に述べつつ、戦後日本の不幸を
  読み解く。現代文明の亀裂と衰弱を論じた不朽の書。【「TRC MARC」の商品解説】

メディアミックス化する日本/大塚 英志/980円/イースト・プレス(イースト新書)
  自由であるべき文化生成システムが、企業に隷属させられる時代が到来した。戦後日本
  のポップカルチャーの展開を縦横に参照しながら、「メディアミックス」の名の下に
  進展する危機を浮き彫りにする。「東大裏ゼミ」を書籍化。


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【歌舞伎】十月大歌舞伎 歌舞伎座 2014年10月 昼の部

2014-10-25 01:02:40 | 歌舞伎

歌舞伎座
十月大歌舞伎
十七世 中村勘三郎二十七回忌 
十八世 中村勘三郎三回忌 追善

奮発して一等席、大満足。
勘三郎さん、ご子息お二人は立派に勤めておられました。
児太郎さんも大活躍。
-----

◆昼の部(1等1階前方上手寄ブロック中央)

一、新版歌祭文 野崎村

七之助さんのお光はちょっと垢抜けた見た目ながら、いじらしくて
最後泣かされた。
幼いのに、全部背負ってるんだよね、お光。

お染は、本人の思いがどうあれ、周囲を振り回すのだけど、
児太郎さんのお染は純の厄介さが違和感なくて、可憐。

秀太郎さんはすごいなぁ。
出てきた瞬間、舞台上に重力場ができたみたいに空気が変わった。

二、近江のお兼、三社祭

扇雀さんのお兼、豪快さと女らしさが同居してて素敵。
晒の扱いも美しく。
あと、馬です馬。喝采。

三社祭は、悪玉を橋之助さん、善玉を獅童さん。
かろやか。

三、伊勢音頭恋寝刃 油屋店先・油屋奥庭

いやー、贅沢。

勘九郎さんが福岡貢、七之助さんがお紺、物語の主軸をしっかり作り、
その周辺を、これでもかこれでもか、というご馳走配役が囲む。

真摯な主演二人と、余裕を感じるベテラン脇のバランスが心地よい。

橋之助さんのお鹿が予想外に(失礼)よくて、先代萩の八汐なんかも
観てみたいと思った。
※既に演じておられるかも知れない。

万野の玉三郎さんの、百戦錬磨の仲居の意気地の悪いことといったら。
でも色気も捨ててない万野。追い詰められる貢さん、勝てません。

さらに仁左衛門さんの心強い喜助と、梅玉さんの存在感ある今田万次郎。

千野の小山三さん、期待以上に出番多し。

それにつけても福助さんの不在が淋しい。快癒を願う。

(2014.10.24)

(回想)歌舞伎を観始めてまもなくの頃、現・梅玉さんの襲名公演が
    伊勢音頭で、万野は歌右衛門さんだった。強烈な印象。


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【読書】錯覚する脳

2014-10-22 22:53:28 | 読書記録

感覚は自分の裡にしかない。
そういう意味では副題にある「幻想」もまた本人にとっての事実ではあるなぁ。
てなことを、認知状態が悪くなっている老親を見ていて思ったりする。

「感覚遮断タンク」の体験比較が興味深い。
先入観・予備知識、何かを知覚し知ろうとするときのそれぞれの人の背景にある
前提条件的なものは、無にはできないんだろうな。

-----
錯覚する脳 ─「おいしい」も「痛い」も幻想だった
前野 隆司 著 ちくま文庫  2011/09/07
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480428578/

(2014.10.22)


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【歌舞伎】十月大歌舞伎 歌舞伎座 2014年10月 夜の部

2014-10-18 22:46:20 | 歌舞伎

歌舞伎座
十月大歌舞伎
十七世 中村勘三郎二十七回忌 
十八世 中村勘三郎三回忌 追善

◆夜の部(3階前方上手寄り)

一、菅原伝授手習鑑 寺子屋

泣いた。
ああもう。

仁左衛門さんの松王丸が…表現が陳腐で申し訳ないけど、
完璧ってこういうのを言うんじゃないだろうか。頂点。細部まで魂宿る。
そんな感想はもちろん、幕が下りて落ち着いてから思ったことで、
観ている間は舞台から離れることがなかった。

武部源蔵(勘九郎さん)、時折ただならぬ緊張感を見せる。

七之助さんの戸浪は、他人の子を…ということに対する戸惑いの
表れがあって、分裂のない人物像に納得感ある。

二、道行初音旅 吉野山

梅玉さんの忠信に、藤十郎さんの静御前、橋之助さん早見藤太。
全般、無邪気さを纏ったオトナの雰囲気。

 
三、鰯賣戀曳網

寺子屋で感じた頂点とはまた違うのだけれど、
今現在の勘九郎さん七之助さんの、ひとつの頂点だと思う。
この演目と配役を、追善公演に選んだ人の心憎さよ。

七之助さんてほんとうにツンデレ系がいいわぁ。ウットリ。
鰯売りに惚れちゃった無垢なとこと、お姫様的Sなとこの
行ったり来たりが、観てて気持ちいい。

猿源氏・勘九郎さん、既に「手堅い」の域かも。
彌十郎さんと獅童さんに支えられて(猿源氏がね)。

傾城5人娘が天守物語を彷彿とさせる柔と毒でいい感じ。
巳之助さん、新悟さんを中央に、右に押さえの児太郎さんと、
左に戯れる姉妹のように虎之介さんと鶴松さん。

薮熊次郎太(市蔵さん)は、三島の皮肉(=愛情)の象徴なのかいな。
気の毒になったぞ。

(2014.10.18)


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【映画】ニンフォマニアック Vol.1

2014-10-17 22:57:44 | 映画

人間ってアホで愛おしい。

と思っていられるのはVol.1だからか。

タイトルやプロモーション素材がセンセーショナルだし、内容もそっちだけど
ステイシー・マーティンの妖精ボディもあって、全体のトーンは美しく、
ジョーとセリグマンの会話に現れる知が品位を落とさせない。

尤も、ボカシがなかったら印象違う可能性あるなぁ。諧謔度高くなるかも。

ジョーの性的遍歴の話を聞きながら、話題とは対極にありそうな分野の連想を
差し挟むセリグマンの絶妙な距離感に、却って、何者?と興味をそそられたり。

ユマ・サーマン演じる「エイチ夫人」が想定外のインパクト。すげ。

第一章~第二章でジョーの、放埓に驚くよりもむしろ心の傷を感じつつ、
第三章でテーマの中心に踏み込んだ瞬間、、、
Vol.2は "痛い"ラース・フォン・トリアー監督の本領全開?ワクドキ。

(2014.10.17)


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気になる本 2014/10/14-19

2014-10-17 22:00:00 | 気になる本

2014/10/18

かたちの理由 自然のもの、人工のもの。何がかたちを決め、変えるのか
  /クリストファー・ウィリアムズ /2,376円/ビー・エヌ・エヌ新社
  物がどうしてその形をとるのか、その背景にある自然の論理に気付くためのきっかけ、
  手引きとなる本。機械学、地質学、人類学、古生物学、形態学など、さまざまな分野
  における幅広い知識をわかりやすく紐解く。【「TRC MARC」の商品解説】

室町時代の少女革命 『新蔵人』絵巻の世界/阿部 泰郎/2,376円/笠間書院
  男装して宮中にあがり、帝の愛をめぐって姉と争う少女の物語絵巻「新蔵人」。
  人物絵の隣に台詞が書かれた“室町時代のマンガ”とも言える作品を、マンガ的吹き出し
  つき現代語訳と写真で紹介します。読みのポイントも掲載。

なめ単/辛酸 なめ子/1,620円/朝日新聞出版

図解聖地伊勢・熊野の謎 なぜ紀伊山地に日本最大の神域が生まれたのか
  /荒俣 宏監修/1,296円/(別冊宝島)

2014/10/17

なぜ生物時計は、あなたの生き方まで操っているのか?/ティル・レネベルク/2,376円/インターシフト
  私たちの細胞や代謝のリズムを制御し、心身の調子のもとになっている生物時計。
  時間生物学の国際的リーダーである著者の広範な調査を軸に、いかに生物時計が
  私たちの生活に重要な役割を果たしているかを伝える。【「TRC MARC」の商品解説】

『維摩経』を読む (岩波現代文庫)/長尾雅人/1,339円/岩波書店

月をマーケティングする アポロ計画と史上最大の広報作戦/デイヴィッド・ミーアマン・スコット/3,456円/日経BP社

完訳からくり図彙 注解付き/細川 半蔵/5,940円/並木書房

アメリカ特許図面をひもとく潜水艦発明史/21,600円/ネオテクノロジー

世界の美しい聖地/ナショナルジオグラフィック/1,944円/日経ナショナルジオグラフィック社

2014/10/16

粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う/中垣 俊之/788円/文藝春秋 (文春新書)

やっぱり肉料理 カリフォルニア・キュイジーヌのとっておきレシピ/横田 渉/1,620円/大和書房

振袖大好き! 2015-2016 (別冊家庭画報)/世界文化社/1,188円/世界文化社

地域デザイン 地域デザイン学会誌 第4号 地域デザインのコンテクスト転換
  /地域デザイン学会/2,700円/地域デザイン学会

2014/10/15

森と日本人の1500年/田中 淳夫/842円/平凡社  (平凡社新書)
  時とともに変わる風景。今ある緑は、どんな経緯を経て生まれたか。森林景観に人は
  どのように関わってきたか。現代につながる日本の森と人の歩みを1500年に
  わたってたどる。【「TRC MARC」の商品解説】

2014/10/14

癒しのお香 高貴な樹脂・ハーブ・スパイスを楽しむインセンスガイド 改訂新版/カーリン・ブランドル /1,296円/ガイアブックス
  植物、樹脂、スパイス。その恵み、癒す力は何千年も前から大切にされてきた。
  インセンス材料や植物の説明、たくさんのブレンドレシピ、家で薫香を楽しむための
  アドバイスなどが満載。薫香入門のための実践的な手引き。


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【展覧会】フェルディナント・ホドラー展

2014-10-13 20:44:04 | アート・文化

日本・スイス国交樹立150周年記念
フェルディナント・ホドラー展
国立西洋美術館
http://hodler.jp/outline_tokyo.html
-----

体感が楽しい。
入力はもちろん視覚なのですけど。

土産用風景画の弟子として描いていた初期の作品でも
「インターラーケンの朝」のひんやりした水面に心臓掴まれる。
「小さなプラタナス」は心象風景のよう。
そして「死した農民」にただならぬものを感じる。20代前半の作。

30代辺りの作は、テーマに依拠。バックグラウンドに教養が入る。
「傷ついた若者」など。見て美しく趣あるも、多少よそ行き感。

で「オイリュトミー」の前で立ち尽くすわけです。

なにこれ。
なんだこの感じ。

悲とか喜とかそういう明瞭で振幅のはっきりした感情ではないのだ
けれど、感情のどこかを掴んで放さない。
共振に取り込まれて身動きできないっていうか。

その後の「感情」や「遠方からの歌」の身体表現に眼を見張るも、
ワタシには「オイリュトミー」がいちばん効きましてん。

アルプス。
自然物に宿るリズムを抽出して描くそう。類似、反復、相似など。

日本と似たところを感じる。・・・日本ていうか、アニミズム方面かな。
完全なる対称や、完全なる反復ではない。そこに微妙に乱調が入る。
人の業ならぬ事象が描かれた日本画や、寺社の古い文物の気配の
醸し方と似ている。

「自然の形態のリズムが、感情のリズムと協働すること、交響すること。
 わたしはそれをオイリュトミーと呼ぶのだ。」(ホドラー)

終盤、建築との関係は、習作と映像で想像するしかないのだけれど。
中世なら宗教画が占めていただろうスペースに、ホドラーの作品が
あることが興味深い。

(2014.10.13)


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【展覧会】ウフィツィ美術館展

2014-10-13 20:17:40 | アート・文化

ウフィツィ美術館展
―黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで―
東京都美術館
http://www.uffizi2014.com/index.html
-----

ウフィツィ美術館の収蔵品を通じて15~16世紀の絵画芸術の変遷を見る。

15世紀初頭、定式の宗教絵画、現代のワタシが見ると、表情やポーズに
芝居がかった感じがあるものの、
「聖ヤコブス、聖ステファヌス、聖ペテロ」(ドメニコ・ギルランダイオ)、
聖衣の緋と橙とエメラルドグリーンの対比が鮮やか。加えて柱などの
金細工の表現は、当時の(おそらく)モノクロな色彩の中で暮らしていた
庶民にはさぞまぶしく映っただろうと思う。

その後、構図と描法が拡大、人物の描きかたに動きが伴うようになり、
表情も自然になっていく。
ヤコポ・デル・セライオの2作は旧来のものとは動作表現が違う。

パトロネージに伴って、制作依頼元を意識したテーマや表現が台頭。
神話や宗教題材が示す暗喩がパトロンへの祝辞だったりする。
あるいは、"お約束"の要素を画面から外して構成したりと、表現が
制約を越えていく。

展覧会公式HPでも紹介されている、見どころ。
サンドロ・ボッティチェリの5作。
「パラスとケンタウロス」「聖母子」「海の聖母」「東方三博士の礼拝」
「聖母子と幼児聖ヨハネ」。

風景のみを描く作品が登場。
「フィレンツェのサンティッシマ・アヌンツィアータ広場の眺め」
(フラ・バルトロメオ)。

「銀杯の探索を命ずるヨセフ」(フランチェスコ・グラナッチ)。
殆ど朱と黒みのトーンだけで表現された、高い天井の空間と人々。

「ピエタのキリスト」(アンドレア・デル・サルト)は、聖母を構図に含めず、
下方からの光に顔を俯けるキリストが柔らかく描かれ、自然かつ崇高。
近現代の人物描写に通じるものがある。

(2014.10.13)


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気になる本 2014/10/06-13

2014-10-12 00:19:00 | 気になる本

2014/10/11

科学・技術と現代社会 上/池内 了/4,536円/みすず書房
  社会と科学・技術はどう相互影響をしてきたか。人類の祖先が二本足歩行を始めた
  600万年前からSTAP細胞問題までを縦横に論じる。上は、原発事故、科学の
  変容等を取り上げる。総合研究大学院大学での講義録を基に書籍化。

2014/10/10

着ること/脱ぐことの記号論/日本記号学会/3,024円/新曜社(叢書セミオトポス)
  衣服を着るとは「意味」を着ることであり、裸体とはいわば、「意味の欠如」を
  着ることである。「着る/脱ぐ」という記号過程(セミオシス)を、根源的に
  問い直す。2012年5月の日本記号学会第32回大会をもとに書籍化。

人間、やっぱり情でんなぁ/竹本 住大夫/1,836円/文藝春秋
  人形浄瑠璃「文楽」の大夫として、日本人の義理人情を語りつづけて68年。語りの
  力で人びとを泣き笑いさせてきた住大夫師匠が、日本人の情、先人たちの思い出、
  文楽の来し方行く末を語り尽す。

2014/10/09

巨匠狩野探幽の誕生 江戸初期、将軍も天皇も愛した画家の才能と境遇
  /門脇 むつみ/1,836円/朝日新聞出版(朝日選書)
  17世紀の画壇を率いた巨匠、狩野探幽。他の画家の作品と何が違うのか。
  将軍、天皇以下、大物政治家などパトロンや文化人とどのように交流したのか。
  探幽が巨匠となり得た秘密を、言葉を尽くし、図版を駆使して解き明かす。

つながりっぱなしの日常を生きる ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの
  /ダナ・ボイド/1,944円/草思社
  生まれたときからネットがあって当たり前の今日の若者たちは、「つながりっ
  ぱなしの日常」にどう対処し適応してきたか。米国SNS研究の第一人者が、
  当事者たちを対象にしたインタビュー調査を元に論じる。【「TRC MARC」の商品解説】

How Google Works私たちの働き方とマネジメント
  /エリック・シュミット/1,944円/日本経済新聞出版社
  戦略、企業文化、人材、意思決定、イノベーション、コミュニケーション、
  破壊的な変化への対応といったマネジメントの重要トピックを網羅し、
  Google社内の秘話を、驚異的なスピードで発展した社史とともに明かす。

2014/10/08

わらう春画 (朝日新書)/オフェル・シャガン/1,296円/朝日新聞出版
  ゴシップ、社会風刺、性教育…。春画とはポルノではなく、社会的メッセージを
  伝えるために性的題材を扱ったアートである。世界一の春画コレクターである
  著者が、外国人の目線で春画を解説する。【「TRC MARC」の商品解説】

「唯識」という生き方 自分を変える仏教の心理学 新装版/横山 紘一/1,944円/大法輪閣
  すべての苦しみ・悩みは「自己・私」が「ある」と思い込んでいることに起因
  すると説く唯識思想は、人の「こころ」の深層に潜む「末那識」と「阿頼耶識」を
  解明した。多数の図表を入れた唯識実践入門書。【「TRC MARC」の商品解説】


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【映画】悪童日記

2014-10-09 00:15:49 | 映画

ふたりの、あまりの傷の深さに、それでも生きていく姿に、
言葉が綴れない。

あらゆる場面、ふたりのなすことを、人のなすことを、通じて
観る者に無言で突きつけ続ける。

すごい映画だと思う。

(2014.10.8)


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【歌舞伎】10月歌舞伎公演 国立劇場 2014年10月

2014-10-05 20:42:06 | 歌舞伎

国立劇場
10月歌舞伎公演
通し狂言 双蝶々曲輪日記
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「角力場」「引窓」は観る機会が多かったけれど、濡髪が「4人殺した」の
状況は語られない。
今回「新清水」「米屋」「難波裏」が入っていて、背景がよく分かった。

今回の構成で、与兵衛という人物の印象がかなり変わった。
こんなにスターなキャラクターだったとは。(プチ平蔵、的な)。

苦労人長五郎(幸四郎さん)、粋な華→渋大人の与兵衛、ヤワキャラ与五郎、
やんちゃ子供の長吉(以上染五郎さん三役演じ分け!)、みんな若者なんである。
これ、青春ドラマだったのね。
今まで観た中で、これらの役がこれほど若々しく見えた上演はない。

与兵衛が色男度数高かったせいか、与五郎とちょっとツクリが近かった。
でも「新清水」では与兵衛の骨太さ、余裕力みたいなのが出てる。
傘で飛び降りる場面の宙乗りが、特筆すべきすばらしさ。
肩から腰がまったく崩れず、傾き角度も完璧。ほんとに舞い降りているよう。

姉おせき(魁春さん)、遊女、都/お早(芝雀さん)と吾妻(高麗蔵さん)、
蔵屋敷の平岡郷左衛門(錦吾さん)と三原有右衛門(錦弥さん)
手堅く脇がっちり。

長吉の悪い友達2人、刹那的な行き場のないエナジー感がよかった。

東太夫&宏次郎(←密かにおっかけ中)が、御簾内と出語りの2回。
「引窓」は出語りで、ずっしりと渋い太夫とドラマティックな三味が
情感を盛り上げる。

濡髪と長吉の衣装の染め文様のバリエーションも面白い。
黒紋付、あられ?模様、縞、等々。
でもベストドレッサーは佐渡七。

(2014.10.5)


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