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【展覧会】超絶技巧、未来へ!

2023-09-24 11:20:57 | アート・文化
どれだけ微細な感覚の指を、身体を、眼を、もってこれらをなしているのだろう。
美の感覚と技と両方なくては成立しえない。それと、執念にもにた拘りだろうか。

明治の超絶技巧に目をみはったのは、2014年のこと。
当時のブログに
「時を経て、触れずに距離を置いて鑑賞するもの、に変わって行った様子も
何となく察せられて、私たちは美術館の展示品としてしか観ることができないのも、
少々さびしいことだな、などと過ぎし時代をうらやましく思ったりした。」などと書いていました。

現代の超絶技巧も手に取るものではないですが、明治の遺産(今回は後半に展示あり)を
見たのとはまた別の感慨も持ちました。
それは、私がさいきん、クラフト(主に編・刺・ガラス)に興味と愛情を持っているからかも。

出展作は超絶技巧で、表現テーマに抽象的概念が置かれ、
工芸(クラフト)のうちでも芸術の極にあるものですが、
表現対象と全く異なる素材を用いて現実を再現する、という要素に目を向けると、
博物フェスにいるようなクラフト作家さんとロングテールのようにつながる何かが思われ、
表現対象物との距離感(心理的、体験的)ともあいまって、
めでる対象という視点を起動し、愛らしさのようなものへの感嘆を呼ぶのです。
特に、編みぐるみや立体刺繍の好きな方は、稲崎栄利子氏、蝸牛あや氏の作品など
感嘆がいっそう深いのではと思います。

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青木美歌氏のこと

菌類に魅せられ数年目の2017年、菌のありようを表現したようなアートを見たい、
できれば家に置きたいと訪れたアートフェア東京に、その作品はありました。
手が出る値段なのかわからず、おそらく難しかろうと思えど、帰宅後に扱い画廊を調べて、
北陸に遠征しようかなど考えているうちに日々は過ぎ、外出もままならない時期を挟んで、
そろそろ個展などなさらないかしらと検索をして若き作家の訃報に接しました。
今回、作品を間近で観ることができてとても嬉しかった。
ミュージアムショップで作品集を扱っていたのも有難かったです。

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超絶技巧、未来へ!明治工芸とそのDNA
三井記念美術館
2023年9月12日~11月26日
https://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

(2023.9.23)


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