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【読書】Mind in Motion 身体動作と空間が思考をつくる

2021-01-03 21:37:06 | 読書記録
少し前に読了/感想投稿した「世界はありのままに見ることができない」を
8割がた読んだ辺りでこれを手にして、暫く並行して読んでいたら、
どちらがどちらの内容だか混乱してきた。
結論へのプロセスで取り上げる題材や「省略」という視点が通じている。

こちらの本は抽象的思考がいかに空間と身体動作に依っているかを
それこそたいへんに多くの、事例を積み重ねて示していく。
そうして終盤では認知デザインに言及する。

事例は、文化人類学における観察、認知科学の実験、
歴史的論説あるいは遺物に関する推定、
日常の空間と動作に関する光景の科学的説明、アート、
表現形式の数多の類型、カテゴリー、定義、
空間・時間・行動の描かれ方 等々々々々々。

あまりにも多岐に行ったり来たりするので、ワタシの脆弱な脳みそでは
脳内整理がとうてい追いつかず、取っ散らかってしまった。面白いけど。

「空間についての二つの根本的事実である近接性と重力」(P210)が、
抽象的意味、ひいては表現に及ぼしている影響の解説は、
日常的に既知な事象を論理に立てつけていてスリリングである。
そうそう、その手のプチ"スリリング"が本書のあちこちにきらきらと
散りばめられていましたよ。

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Mind in Motion 身体動作と空間が思考をつくる
バーバラ・トヴェルスキー 著
森北出版 2020/11
https://www.morikita.co.jp/books/book/3483

デザインは情報を省略すること。
情報の省略は進化プロセスそのものであるとしたら、
デザインとは生命活動そのものではないか?

「私たちがつくり、私たちをとりまく空間形態とパターンからは、
多くの情報が発せられる」(P322)
…歌舞伎は記号の森って、渡辺保先生が書いてたのを思い出した。

(2021.1.3)


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