ぐるぐる・ぶらぶら

歌舞伎と映画と美術と読書の感想

【読書】老子の教え あるがままに生きる

2019-11-03 18:13:25 | 読書記録
「老子」とはどのようなことが書かれているものなのか、
知ることができそうに思い、手に取りました。

おおまかに、とても大まかに言うと、
「当たり前と思うことを疑え」を様々な場面を捉えて
言っているように思います。

いっぺん読んで、本棚に仕舞うものではなく、
毎日目にすることで少しずつ入ってくるもの。
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老子の教え あるがままに生きる
安冨歩 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン 2017/06
https://www.d21.co.jp/shop/isbn9784799321157

(2019.3.12)


【読書】AI原論 神の支配と人間の自由

2019-11-03 18:04:45 | 読書記録
この本の少し前に読んだ「トランスヒューマニズム」は、
人びとの行動として顕在化した絶対的存在への志向を捉えていて、
一部にその背景となる連綿とした思想も説明されていたのですが、
こちらの本はその背景部分をより掘り下げながら、
そういった思考に単純にノることへの懸念を提示しているように
思います。

シンギュラリティ仮説は、技術革新の未来年表の先に置くような
ものではないのかも。
日本のテクノロジー系ジャーナリズムの中では一緒くたにされているけど。

一神教の思想構造。
科学と信仰の間にもどうやらあるらしいそれ。
寺と神社に両方行く私には到底理解しにくい、あれ。

他方、オートポイエーシス理論、身体性、脳と心の分け。
(生物である自分として、納得感を持てる視点)。

卑近な話だけれど、
熟練職人の技をAIが再現、といった報道を観る度に、
その再現だけになったら、新しい工夫は生まれないのではないか?
という疑念は、まだ疑念のまま抱えていて良さそうな気がしてきた。

Deeplearningが新たな絵画を描いたりレシピを提示したとしても、
それを美しい・美味であると判断する能力は、マシンにはないのだ。
前例に照らして、以外の方法は今のところないのだ。
もちろん、色々効率が上がるだろうけれど。それとこれとは別。
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本文より:
 ※下記引用の相互に文脈の関係性はなく、印象に残った文を
  メモしただけです。

 トランス・ヒューマニストが喧伝する「人知を超える絶対知」の
 正体を見極めないまま機械の判断を妄信するなら、われわれの
 近未来文明は確実に破滅に向かうのではないか。

 少なくとも人間という生物種による主観的認識という限定性を
 無視するなら、正確な議論ができないことは今や明らかなのだ。

 生命体が身体をもっていま刻々と生きていること自体が、
 オートポイエーシス(自己創出)の連続であり、他方それが
 生命体の行動の不可知性のベースになっているのである。

 あえて言えば機械は過去に縛られているのだ。
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AI原論 神の支配と人間の自由
西垣通 著
講談社選書メチエ 2018/04
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?isbn=9784062586757

(2019.2.16)


【読書】超訳 カーネギー 人を動かす

2019-11-03 17:26:04 | 読書記録
超訳にて。
超訳ではない原本との読み比べはしていません。
どれくらい端折られているのかな。

関係性の中で何かを進めていくときの、
人とのコミュニケーションにおいて大事な諸々が
理解し易く述べられている。

普遍的。
でも、頭ではわかっていても、
しょっちゅう間違ったりうまくできなかったりする色々。

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超訳 カーネギー 人を動かす
デール・カーネギー 著
ディスカヴァー・トゥエンティワン
https://www.d21.co.jp/shop/isbn9784799323540-11395

(2019.2.1)
 
日付はタイプミスではなく、今年2月以降、
読んだ本の感想をUPしていませんでした。


【読書】三体

2019-07-28 20:12:28 | 読書記録
「折りたたみ北京」で片鱗を見ていたものの長編を読むのは初めて。
 
面白かった。
読後感としてはベイリー作と近い。(解説にもありました)。
 
荒唐無稽で爽快。
限りなく科学っぽい語り口で大胆かつ壮大な仮説をぶっこむ。
 
文化大革命がもたらした社会状況、天文、電波、ナノテク、
そして三体問題。
 
(脱水!!!)
 
人による熾烈な事件のシーンはリアルで、映像がはっきりと浮かぶ。
これは、その国のこの人だからこそ描けるものなのかも。
 
で、続きの邦訳は来年らしいです。待望。
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三体
劉慈欣
早川書房 2019/07
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000014259/
 
どこがどう面白かったって、書きたいこといっぱいあるんだけど、
書いたらネタばれるのでなかなか書きにくいのです。
 
(2019.7.28)

【読書】敵とのコラボレーション

2019-06-22 11:12:50 | 読書記録
過去に「社会変革のシナリオ・プランニング」「未来を変えるために
ほんとうに必要なこと」と読んできて、アダム・カヘン3冊目。
 
著者本人が、変革の成功時に整っていた条件が、得られていない時には、
変革が頓挫していたことを直視した上で、更に必要なこととして
「敵とのコラボレーション」とその方法を提示する。
 
”複雑でコントロールされていない状況”では、
 ・焦点を維持することは困難
 ・確定的な合意や予測通りの実行をすることは不可能
 :
「全体」なるものは存在しない、
 :
愛と力の両方を受け入れる"ストレッチ・コラボレーション"、
"関わり"と"主張"のバランス、使い分け
 :
扱う対象が苛烈な社会課題とまでいかなくても、新規事業組織運営に
関わるときにも役立ちそうな視点が多数。
 
作中より:
「愛を使いすぎていることに気づいたら、力を使い、それがもたらす
 (おそらく不穏な)対立と共存する必要がある。
 自分たちが大切にする「部分」だけの表現と利益を最優先すべきと
 力説して、力を使いすぎていることに気づいたら、愛を使い、
 それがもたらす(おそらくは自分たちを束縛する)集団主義と
 共存する必要がある。私たちは両方を使いつづけなければならない」
 
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敵とのコラボレーション 賛同できない人、好きではない人、信頼できない人と協働する方法
アダム・カヘン
英治出版  2018/10
http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2263
 
電書で読んだので紙の表紙の印象は実際違うかもしれないけど、
表紙やタイトルから受ける印象よりも深い内容。
 
(2019.2.2)

【読書】「自然」という幻想

2019-06-22 10:51:06 | 読書記録
現代の人が、「ありのままの自然」という印象を持っている
景観や環境の多くは、人類が長らく手を加えた結果のもので、
そもそもどこまで戻れば「ありのままの自然」なのかすら
判然としないから「元に戻す」って一体何だろう。
 
著者は世界各地の例を示して、科学だと思っていた過去推定に
対し、妄信ではないかと疑問符を投げかけてくる。
 
環境への人の介入は、多少そういうことはあろうと思っていた
ようなレベルを遥かに超えていて目からウロコ。
 
そうして、人間は手を引くのでなく、
あえて適切な管理(というかメンテナンス)を行うべき、という主張。
 
そうかもと思う面と、とは言ってもと思う面と。
里山くらいの、おそらく人が全体観を認知可能な範囲での介入は、
人間が生存しつづける上で必要な気がするけど。
極端な例として地球全体では因果関係が複雑すぎて、管理が管理に
ならないんじゃないかとか。
いい頃合いを見極められるのだろうか。
 
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「自然」という幻想 多自然ガーデニングによる新しい自然保護
エマ・マリス
草思社 2018/07
http://www.soshisha.com/book_search/detail/1_2342.html
 
(2019.2.17)

【読書】語りかける身体

2019-06-22 10:36:36 | 読書記録
「植物状態患者」の看護において、看護者が体験・感受する
患者のコミュニケーションのありよう、力を、看護者への丁寧な
インタビューに基づいて探究している。現象学というアプローチで。
 
取り上げられているケースは、多少意思表示が可能な患者さんから
全く反応らしきものが(おそらく素人目や一見さんには)ないように
見える患者さんまで様々。
 
前提条件×アウトプット、のような自然科学的な結論があるわけではない。
 
患者と看護者の間の何かは、時々、客観事実としての現象は捉えられて
いるものの、ベーシックには看護者の脳裏の物語ではあるのだけれど。
 
インタビュー相手の看護師さんに対する著者の共感なしには得られない
内容だと思うので、そこに感情も介在しているとも思うけれど。
 
それでも、ここに提示された幾つかのコミュニケーションの姿は、
科学の視点を失っていないと思うし、未来的ですらある。
 
読後にカタストロフっぽい感触があった。
 
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語りかける身体 看護ケアの現象学
西村ユミ
講談社学術文庫 2018/10
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000315355
 
(2019.3.2)
 
3月当時、認知症の末期の身内を定期的に見舞いながらこの本を読んだ。
稀にかすかに、コミュニケーションらしきものが生じる瞬間と、
この本に書かれていることの重なりは、私には貴重だった。

【読書】土・牛・微生物

2019-06-18 00:22:09 | 読書記録
不耕起、被覆作物、輪作。
環境保全型農業を支える3つの要素。
 
雑草とのちょうどよい共生に、牛の食む食むも有用。
 
牛もいいけど微生物。
 
ガーナの"不耕起伝道師"、ボア氏を訪ねた章での言葉。
 「菌根はとても小さく壊れやすいもの」であり、「攪乱していいわけがない」。
 農家はそれに餌を与えるべきなのだ。では菌根菌は何を食べるのか?有機物だ。
 
地下の家畜。
 
微生物、バイオマス、バイオ炭。
地中のネットワークから陽光を浴びる枝葉に至る環、生態系。
 
食べ物の森から恩恵を受けるのは人間のみにあらず。
 
著者がアメリカ各地に、南米に、アフリカにと訪ねる実践者は
チェーンのように連関している。
Farmerである彼らは、大地や植物とつながっていて、
経験に裏付けられ科学の視点も容れた知恵に輝いている。
著者のリスペクトと愛情が行間にあふれ出ている。
 
そのひとたちは収益向上と両立している。というか、だからやっている。
過剰な施肥や農薬と連作による土の疲弊の悪循環・資源の無駄遣いからも遠い。
合理的。
 
この本に書かれていることは、とても未来だと思う。
 
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土・牛・微生物 文明の衰退を食い止める土の話
D.モントゴメリー 著
築地書館 2018/03
http://www.tsukiji-shokan.co.jp/mokuroku/ISBN978-4-8067-1567-2.html
 
(2019.3.31)
 
 
 
この本は2019年3月31日に読了したのだった。(感想は6/17に書いています)
3月30日におおむね読み終えていて、その後の不測の事態による
予定外の長距離移動の中で読み終えた。あんまり冷静じゃなかったけど。
個人的にとてもとても示唆的なタイミングだった。
その2週間後くらいから、「1㎡からはじめる自然菜園」「コンパニオン
プランツの野菜づくり」など手に、小さいけど不耕起栽培やってます。
とりあえず1m×1m、次に1.5m×1.5m。
 
1㎡からはじめる自然菜園 竹内 孝功 著
https://hon.gakken.jp/book/2380053100
コンパニオンプランツの野菜づくり 決定版
育ちがよくなる!病害虫に強くなる!植え合わせワザ88 木嶋 利男 著
http://www.ienohikari.net/book/9784259565756

【読書】土 地球最後のナゾ

2019-06-17 00:24:18 | 読書記録
「大地の五億年」は地中の出来事に目を向けるきっかけになった本。
同じ作者による本書は、土の研究者としての著者が、様々な土を求めて
世界中を(苦労してチャンスをつかみながら)巡っていく土紀行。
 
その土地土地の地形・気候風土で生成された土。
人の介入によって変化が生じた土。
土、いろいろ。
 
「大地の五億年」を2016年に読んでからいままで3年、
土壌関連の本を読んだり、荒地の植林を進めるために穴掘って客土して
栄養やらウッドチップやら炭やら入れて…とかやってきて、
微生物生態系のある生きてる土とそうでない土の違いが、
多少は分かるようになった。
 
だから、今、豊かな土が失われていくのを目にする度に血の気が引くし、
著者の言う「100億人を養う土壌」の重要性にじわじわ共感する。
 
清潔至上の時代に生きていることもあって、土は殊更遠くなってる。
もっと土に触れる方がいい。
 
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土 地球最後のナゾ 100億人を養う土壌を求めて
藤井一至
光文社新書 2018/08
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334043681
 
(2019.4.14)

【読書】情報環世界

2019-06-17 00:05:12 | 読書記録
ユクスキュルが提唱した「環世界」という概念を、
現代の、情報に囲まれた人間に適用した「情報環世界」。
ICCで4か月に渡って開催されたその研究会から起こされた書籍。
 
幾つものコラムを挟みつつ、登壇者の意見提示を受けて
次の登壇者が意見を述べていくリレーのような構成。
 
「生命の内と外」、膜の内外。
 
インプットに対し反応としてのアウトプットは外世界への働きかけ。
環世界を出ることは、一時的にせよ自分の主体性を手放すこと、
「危険」ゆえ、内に留まるのは自我を守る保守行為と伊藤さんは言う。
 
情報化(言語化)され外部化された環世界を他者とどう共有できるか
についてドミニク・チェンさんが語る。
ヴァレラの引用が印象深い。
 
緒方さんの「わかる」に関する話。
「自分の内的モデルを安易に修正してしまうことなく」「つくる」。
新しい予測モデルをつくる。
 
塚田さんの「わかる」と「関係する」の話。
「慣れない」ことの重要性。
名づけや憑依によるストーリーテリングを通じた、環世界の境界の揺るがし。
わからないままとりあえず関わる。
 
渡邊さんの「意識」と「無意識」の話。
わからなさ と 向き合うための わかる とはどういうことか の考察。
 
…感想というより印象メモになってしまった。

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情報環世界 身体とAIの間であそぶガイドブック
渡邊淳司 塚田有那 伊藤亜紗 ドミニク・チェン 緒方壽人 ほか著
NTT出版 2019/04
http://www.nttpub.co.jp/search/books/detail/100002467.html
 
(2019.5.18)

【読書】雲南省スー族におけるVR技術の使用例

2019-06-17 00:04:08 | 読書記録
デバイスが身体・文化と一体化していく様子が面白い。
 
それが宗教的禁忌と交わるとき、それ自体の機能に関係なく、
破戒は生命を奪いすらする。
 
もしかするとスー族が究極的に見ていたコンテンツは、
元々のVRコンテンツとして私たちが想像するものとは
全く違っていたりして。Hack。
 
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雲南省スー族におけるVR技術の使用例
柴田 勝家 著
早川書房
 
(2019.5.30)

【読書】日本発酵紀行

2019-06-16 22:22:51 | 読書記録
ヒカリエで2019年7月8日まで開催の
 「Fermentation Tourism Nippon」発酵ツーリズム
の関連書籍。
 
展示でも紹介されている各地の著名な、あるいは、知られざる
発酵食品とその土地・風土、人々を訪ねた紀行文。
 
ヒカリエの展示を先に見ていたのですが、
書籍の方では更に旅模様、洞察、未来への視線が表れていて肉厚です。
 
各地をめぐる旅は、直感と偶然の出会いをベースにしたのだそう。
あかど漬けの英美子さん「もうみんな見向きもしなくなったものを
つくっているとね、たまにあなたみたいな人が訪ねてくるでしょう」。
 
そんな、”菌のお引き合わせ”で満ちている本。
 
発見の驚きを追体験させていただきました。
 
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日本発酵紀行
小倉ヒラク 著
D&DEPARTMENT PROJECT 刊
 
「Fermentation Tourism Nippon」
 
(2019.6.14)
 
友人にこの本をプレゼントして醸し仲間を増やしましたよ。
醸せ―ー

【読書】トランスヒューマニズム 人間強化の欲望から不死の夢まで

2019-01-27 21:23:17 | 読書記録
人為的に変え続ける世界の行く先を、
自分視点で見極めようとするジャーナリストによる著作、という意味では、
私の読後感は「寄生虫なき病」や「壊れた世界で“グッドライフ”を探して」
に近かった。
 
そして「ホモ・デウス」で欠けていたかあるいはあえて語りの外に置かれた
ピースを埋める本でもあると思う。
 
人体に技術による何かを足したり変化させたりして能力を拡張しようとする
思想、実践する人々。
スマホ生活にレコメンド、自動化によるヒト労働排除など既に多くの人が
触れているものの延長上に視点を動かすと、全脳エミュレーションが現れ、
その期待を前提とした人体冷凍保存(技術タイムマシン的な)がある。
 
積極的な義肢化によるサイボーグ化、身体へのデバイスの埋め込みなど、
以前Web記事で見てキワモノ事案だと思っていたものも幾つも出てくる。
 
様々なアプローチへの密着取材は、方法の情報と、実践者の人間像が詳細。
トランスヒューマニズムのアンチ側の取材も行っている。
自らの違和感の元を探り、あえて主観を交えて伝える著者のスタンスが、
よくある科学本の客観性と胡散臭さの同居とは一線を画して、
著作を個性的かつ信頼を感じるものにしている。
 
(ちなみに一番キワモノっぽく思えた、セルフ手術で身体にデバイス埋め込みを
 やってる人たちが、案外いちばんふつうの感性を持っていそうだった。
 身体性が高いからだろうか。
 全脳エミュレーションなど、ひとつ間違えば狂信的信教にも見える、
 イデオロギーとか思想面が巨大化していそうな事案に、シリコンバレーの
 成功者が肝いり資金入りだったりする方が怖気の度合いが高い。それは
 「ホモ・デウス」が描く未来図に対する抵抗感と通ずるところがある)。
 
死ぬことを避けたいことからくる思想。
そこに古来から脈々と連なる、身体からの脱出願望がある、と著者は見る。
科学技術の進展に伴って顕在化したということだろうか。
また、宗教との接点についても取材している。
 
著者はこれらを他人事として突き放したり評価する立ち位置は取らない。
「ホモ・デウス」の感想で引用した、
  「宇宙は盲目で目的のないプロセスであり(中略)何一つ意味はない」
という感覚を抱いているところは両著者で共通しているように思う。
世の中が仕組みっぽくなっていく中での自己認識の危うさを自覚しながら
トランスヒューマニズムの今を見つめている。
 
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トランスヒューマニズム 人間強化の欲望から不死の夢まで
マーク・オコネル 著
作品社 2018/11
http://www.sakuhinsha.com/nonfiction/27211.html
 
(2019.1.26)

【読書】超訳論語

2019-01-27 18:16:59 | 読書記録
論語、有名なのに、一部の一節はやたらと知られているのに
どんな本なのか知らなかった。
安冨さんの超訳で一端を知る。
 
孔子センセイ、意外と情動を含んだ言説が多い。
超訳ゆえか、Tweetっぽい。
だから読む側は拒否感が薄まる。
"べき"の押し付けでなく、betterのおすすめ。
受け入れたいところを受けいれればいいのだ。
 
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超訳論語
孔子 著  安冨歩 編訳
ディスカヴァー・トゥエンティワン
https://www.d21.co.jp/shop/isbn9784799312612
 
(2019.1.17)

【読書】意識と自己

2019-01-27 17:37:12 | 読書記録
元は邦訳が2003年に発刊されたもの。
2019年の現在でもなお"意識とは何か"という議論は未だ尽きていない。
 
ダマシオの描く構造は、身体の重視という点において、
私には腑に落ちるところが大きかった。
 
理解咀嚼して平易な言語にするのがとても難しいので、安直ながら
出版元のHPの解説を引用すると(乱暴な端折りで失礼します)、
 
  表象が脳の中に形成されること、すなわち有機体が感情を持つことと、
  有機体が「感情を感じること」とは違うというのがダマシオの議論の
  重要なポイントです。
 
  「感情を感じること」「感情を認識すること」のために決定的な役割を
  果たすのが「意識」であるというのがダマシオの議論の構造となります。
 
引用できないけれど、表2-1が分かり易い。
 
自己については(以下本文から引用『』)、
 
著者が「中核意識」と呼ぶ、身体感覚がもたらす基盤のような意識は
コンピュータ上で常時動いているデフォルトのプロセスにも似ている。
「拡張意識(拡張された意識)」は「中核意識」なしには成立しないとしている。
社会活動や生産活動などは拡張意識なしには存在しえない。アプリケーション。
 
興味深い記述『中核意識の作用範囲は「いま・ここ」である。』。
認知症が進んでいくと「いま・ここ」度合いが高くなっていくのは、
稼働している意識が中核意識寄りになっていっているということなのかな。
やがて中核意識も失われる頃、ホメオスタシスが調整できなくなって
生物としての基礎機能が失われて生存が危うくなっていく。
 
  『つねに変化する自己は中核自己の感覚である。重要なのはそれが変化する
  ことではなく、それがつかの間ではかないこと、それは継続的な再製と
  再生を必要とすることだ。一方、同一のままであるように思える自己は
  自伝的自己である。』
憑き物落としのごとく爽快。
 
そして
  『その知識の所有者の心の中に、他の有機体の心の中のイメージの
  経験に相当するものを生み出せるようには思えない。』
 
  脳内のニューロンのはたらきを誰かから誰かにコピーできたとしても、
  『イメージの「経験」を手にしてはいない』
とも言っている。
 
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意識と自己
アントニオ・ダマシオ 著
講談社学術 2018/06 (2003年刊「無意識の脳 自己意識の脳」改題)
出版社: 講談社
http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000276019
 
(2018.12.23)
 
 
脳出血で意識を失いその後生命を閉じていくのを目の当たりにしたから、
第一章で著者が意識の問題への関心が生じたくだりを読んだとき、
少しギクリとした。本は読み手を呼ぶ。そうしていつも助けられている。