Feelin' Groovy 11

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『グレート・ギャツビー』の冒頭

2007-01-24 | 村上春樹
訳者あとがきに、こうある。

  もうひとつ個人的なことを言わせていただければ、
  『グレート・ギャツビー』の翻訳においてもっとも心を砕き、
  腐心したのは、冒頭と結末の部分だった。なぜか?
  どちらも息を呑むほど素晴らしい、そして定評のある名文だからだ。
  (『グレート・ギャツビー』スコット・フィッツジェラルド著
                村上春樹訳 中央公論新社)


冒頭はよく引用されているので
なじみのある文であった。
単独でもすばらしい内容であるが、
本を一通り読んだ後、再度たち返った時
その文が本全体へ与えている影響に思い当たり
深く感動を覚えた。

私たちはその文が冒頭にあったからこそ、
ニックだけが何故、ギャツビーの理解者となり得たかを
疑問を持たずに読み通すことができたし
また、私たち自身もギャツビーに心をよせ
最後には悲しい気持ちになったのだと。


【冒頭の引用】
  僕がまだ年若く、心に傷を負いやすかったころ、父親がひとつ
  忠告を与えてくれた。その言葉について僕は、ことあるごとに
  考えをめぐらせてきた。
  「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるように
  するんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お前のように
  恵まれた条件を与えられたわけではないのだと」
  (『グレート・ギャツビー』スコット・フィッツジェラルド著
                村上春樹訳 中央公論新社)

  In my younger and more vulnerable years my father gave me
  some advice that I've been turning over in my mind ever since.
  ‘Whenever you feel like criticizing anyone,' he told me,
  ‘just remember that all the people in this world haven't had
  the advantages that you've had.'
  (『THE GREAT GATSBY』F.SCOTT FITZGERALD
              PENGUIN MODERN CLASSICS)

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