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サラバ!(上) / 西 加奈子

2024年05月20日 | 読んだ小説
                    

☆☆
父親の赴任先のイランで生まれた主人公の少年の歩には、普通の人っぽい優しい父親と、いつでも自分の
直感を信じて決して思いを曲げない自己中な母親と、生まれた時から筋金入りの奇人変人の姉がいた。

この姉が、かなりの異常者で、とにかくこんなキ〇ガイが同じクラスにいたら絶対嫌だし、ましてや家族
だったら堪らない。 姉は今で云う所の精神疾患を伴う発達障害だと思われ、毎日々家や学校で数々の
波乱を巻き起こしていき、特に母親は、この姉との日々の攻防に疲れ果て心底辟易していた。

歩は、イランでの生活、帰国後の大阪での生活の中で、姉を反面教師にしながら人と波風を立てずに上手
く接する方法を学んでいき、家でも外でも素直ないい子の大人しい少年になっていた。
そんなクレイジーな姉も、小学校の高学年になってくると少しは落ち着いてはきたが、そんな頃に家族は
再び父親の海外転勤でエジプトへ行く事になる。 

エジプトのカイロで歩は、現地の少年ヤコブと出会い、生まれ育ちや宗教を超え友達同士になり急速に
友情を深めていく。 そんな2人を繋ぐ魔法の言葉として「サラバ」があり、これはただ単に「さような
ら」という意味だけでなく、「明日も会おう」「元気でな」「約束だぞ」「グッドラック」「ゴッドブレ
スユー」、そして「俺たちはひとつだ」という強い思いがあり、2人は心の深い所の魂で結ばれていた。
ヤコブといっしょにいられた時の歩は本当に満たされて幸せだったのだろう。

しかし、そんな中で歩の両親は不仲で離婚し(父親の不倫か)、母と姉と歩は日本に帰る事になる。
歩とヤコブは、最後にお互いの友情を確かめ合うように「サラバ」と言い合い別れる。
この物語は、主人公の歩の半生を描いた自叙伝になっているが、上中下と3巻になっているため、
それぞれにレビューを書きたいと思う。


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