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酒のツマミになる話題をセッセセッセ。独断偏見は”味付け”です※文中の敬称は略。

地図のない散歩

2012-10-23 | 日記
自然なのに「歩道」と名がついている。
自動車も電車もなかった時代には、自分の足でしか移動はできなかった。

どんな険しい山も、草に覆われていても、行きたければ一歩一歩進まないとたどり着けない。

駕籠はあっても、担ぐ人間だって「歩く」わけだ。

この週末、犬を連れて、行くがままに歩いてみた。
少し歩くと、山道に入った。目に入った道標。「ちゃんとした山道なんだ」。なんだか、ほっとした。


気候も涼しい。「ま、行ってみっか!」いつもの無計画人間のままに。
この地図のない「散歩」がとんでもない結末を招いた。

山道を分け入った。途中、リュックかついだ『おばさん軍団』と遭遇。
まだ、平坦なところだった。「散歩ですか?」弾む足取りで声かけてきた。

「これ、どこへ抜けられますか?」「ちょっと行けば、山を越えて・・・」
聞き取れない。この「ちょっと・・」が田舎ではタブーなのは、若い時から知っている。

放浪のヒッチハイクで、何度だまされたか?
都会の「ちょっとそこ」と田舎の「ちょっとそこ」。

時間と距離の感覚が、まるで違うのだ。

で、山道を行けども行けども下り坂にならない。
「ちょっとそこ」ではなく「まあだ、まだ、歩かないとこの山を越えられないよ」といってくれれば・・・。

「あれ?さっきは近畿自然歩道と書いてなかったっけ?」
今度はただの「自然歩道」になっている。どう違うんだろう。道間違えたかな?


二つに分かれた道がある。どちらも、足元は草だらけ。
「ああ、こんな時に道間違えて遭難するんだ。そうなん、だ」

まだ、だじゃれをいう余裕はあった。
草が踏みしめられて、歩きやすそうな、少し広い方の道を選んだ。

「マムシ注意!」とあって、少々怖かったので、草を分け入るのは躊躇した。
万が一、かまれて、そのまま倒れれば、野垂れ死に。我がペット君は何の役にも立ちはしないだろう。

下り坂になった。膝が笑う、とはこういうことだ。
軽快に下れない。プルプル太ももが震える。蛇行しながら歩くことにした。
我がペット君はさすがに祖先がオオカミだけあって、楽しそう。

あちこち、匂い嗅ぎながら歩き回っている。元気をもらえる。

途中、古びたお寺があった。

掲示板には有難きお説が。


栗の木が、なるほど山には腐るほどある。しかし、町で売っているほどの大きさのものが落ちているのは、ほんの数えるほどしかない。
いったい、誰がとっていくのだろうか?ハリネズミのようなイガグリだけが散乱している。
少し触っても指先に針が刺さってチクリと痛い。


周囲は暗くなってきた。
昼過ぎに歩き始めて約4時間半。
秋の日は釣瓶落としとは、よくいったものだ。

もう、午後5時を過ぎると暗くなってくる。

三日月がきれいだ。

さすがにオオカミの子孫もお疲れのようだ。やたら、休みたがる。途中、道路際にあった自動販売機で「おいしい水」ペットボトルを購入。

掌に注いで飲ませた。道すがら犬の散歩なのに、抱っこして歩かざるを得ないほど歩いた。なかなか、家にたどり着かない。

「もう、バスに乗れば」
「疲れて右ひざが痛い」途中、景色などを娘に写メールで送って見せると、返事がこうだ。

確かに、バスの乗ろうか?とも思ったが、停留所らしきところで時刻表を見ると、なんと1日に4本しかない。

この周辺の人は、これでも利用しているんだろうか?日本の交通行政にも疑問が生じた。
休み休み歩いて、トータル6時間半。2万5287歩。距離にして11.2キロ。

普段見れない景色と空気を満喫できた。


我がペット君「また行こうね」と足に体を摺り寄せてくる。

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