一意専心の資格マニアの記録

いくつか資格を取得するうち、楽しさを覚えるようになりました。主にビジネス系です。

「艶然とほほ笑んでいます」(東洋経済オンライン)

2014-03-15 04:00:00 | 日本語・漢字

現在、多くのメディアで「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」のような企画を目にします。雑誌のインタビューでは、ビジネスパーソンとしても、妻としても、母としても完璧な美人起業家が、「幸運だっただけです」「周囲の協力に恵まれて」と艶然とほほ笑んでいます。 《リンク》
(東洋経済オンライン 「最新 職場の心理学 女と男の探り合い」-「『男より男な女』か『女より女な女』か? 女性政治家のサバイバル術」 2014/04/10)

えん‐ぜん 【×嫣然/艶然】(デジタル大辞泉)
[ト・タル][文][形動タリ]にっこりほほえむさま。美人が笑うさまについていう。
「四分の羞(はじ)六分の笑(えみ)を含みて、―として灯光(あかり)の中(うち)に立つ姿を」〈蘆花・不如帰〉

 上の文では「艶然とほほ笑んでいます」と書かれていますが、「艶然」という言葉にすでに「ほほえむ」という意味が含まれていますので、重言でしょう。辞書の例文のように「艶然としています」というべきです。

 日本語コーパス「少納言」で「艶然」の使用例を探したところ、上の文と同じように重言になっているものがいくつかありました。次の文はその一つです。

名前も本来マキと読むのだが、女の子たちからはマサキと呼ばれている。 と、ネコも艶然と微笑んで、 「ああ、俺もそお思てな、今日は死人も生き返って笑い死ぬぐらいの、とっときのネタ用意してきたんや。このギャグ聞いたら、聡美ちゃんも絶対元気に…」
(霧咲 遼樹(著) 「リバーゲーム」 集英社 1996年)

 「艶然」は「美人が笑うさま」を言い表す言葉ですが、この文では、「艶然と微笑ん」だ猫が男言葉を使っていて、この点でも誤っています。

 

※ 「婉然」は「しとやか」、「宛然」は「そっくりそのまま」という意味です。


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