世界の天気予報を見

世界の天気予報を見

青白い顔をヴェー

2016-09-21 10:46:10 | 日記

わたくしたちの友人がヘター殿をどんな目で見つめおられていたか、お気づきにならなかったのですか」アリアナは少し驚いたようにきいた。
「ヘターが」セ ?ネドラは繰り返した。「知らなかったわ」
「たぶん、それはわたくしがミンブレイト人だからですわ」と、アリアナ。「わたくしたちは、そのような愛情の気配に敏感なのです」
 ヘターは百ヤード行ったところで暴れ出したアダーラの馬に追いついた。かれは彼女の手綱を掴むと、乱暴に引き止め、鋭い口調で叱責した。アダーラは身をよじらせるようにして、彼女を叱りつける顔を見まいとした。
 突然、十二フィートも離れた場所で何ものかがセ?ネドラの目をかすめた。だしぬけに、二つの貧相な茂みのかげから、茶色の防水布をかなぐりすてるようにして、鎖かたびらを着たマーゴ人が立ち上がった。その手の弓にはすでに矢がつがえられていた。
 マーゴ人が狙いを定めるのを見た。「ヘター!」セ?ネドラは叫んだ。
 ヘターはマーゴ人に背を向けていたが快樂人生、アダーラは無防備なアルガー人の背中が弓で狙われているのを見た。アダーラは無我夢中でヘターの手から自分の手綱を奪い返すと、かれの馬にぶつかって行った。かれの馬は大きく前脚を上げてよろめき、ヘターを振り落としながら倒れた。アダーラは手綱の端で思いっきり馬のわき腹をたたき、マーゴ人の方に向かって突っ込んでいった。
 マーゴ人の顔に一瞬のためらいが走ったが、すぐに娘に向けて矢を放った。
 矢がアダーラを射たとき、かなり遠くにいたにもかかわらず、彼女の悲鳴はセ?ネドラの耳をつんざいた。彼女は後になっても恐怖とともにその悲鳴をしばしば思い出した。アダーラは身体を二つに折ると、空いていた手で胸にささった矢を掴んだ。馬は速度を落とすことなくマーゴ人につっ込み、かれを踏みつけた。マーゴ人は脚踏みする馬の下で転げまわった。馬が通り過ぎると、男はよろめきながらたち上がり、刀を抜いた。しかし、すでにヘターがサーベルを抜いていた。刃が陽光にギラギラと輝き、振りおろされた。マーゴ人は倒れる前に一度だけ悲鳴を上げた。
 ヘターは血のしたたるサーベルを握ったまま、怒りに駆られながらアダーラのほうに取って返した。「なんて馬鹿なことを」かれはわめいたが、急に息をのんだ。彼女の馬はマーゴ人から数ヤード離れたところに止まっていたが、娘はうなだれるようにして鞍の上に倒れていた。黒髪がルのように覆いながら流れ、その両手は胸のところで押さえつけられていた。娘は、ゆっくりと落ちていった理想生活


陽気な声を出した

2016-09-01 11:12:26 | 日記

何といってもドラスニアの繁栄は交易にかかっているのだし、きみらのような外務省の人間たちが商人を隠れみのに活動しようというのなら、真のドラスニア人は遅かれ早かれ、どこの国からも歓迎されなくなるだろうよ」マルガーはドラスニア人特有の洞察力によって、シルクの正体をたちどころに見破っていた。
「おいおい、マルガーくん」シルクはわざとらしく。「何もそう深刻ぶることもないだろう。今日び、どこの国だって同じような隠れみのを使って情報活動を行なってるんだぜ。トルネドラ人しかり、マーゴ人しかり、あのタール人だってそうだ。わたしにいったいどうしろって言うんだい。胸に〝スパイ?でございますと看板をぶらさげて歩けとでも言うのかい」
「率直に言わせてもらえば、きみが何をしようといっさい関心はない」マルガーは険しい表情でやりかえした。「ただわたしはどこへ行っても、人々からじろじろ監視されることに、いいかげんうんざりしたと言いたいのだ。それというのもきみたちが信用できるような人間ではないからだ」
 シルクは無遠慮ににやりと笑って肩をすくめてみせた。「それが世のならいというものさ、マルガー。きみも早く慣れておいた方がいいぞ。これからもそいつが変わることはないだろうからな」
 マルガーはどうしようもないといった表情で、ネズミのような顔の小男をにらんでいたが、ぷいと背を向けると、自分のラバの列に戻っていった。
「今のはやり過ぎではないかね」ベルガラスは乗り物の上でいつものようにまどろんでいたが、首をもたげて言った。「やっこさんをあんまり怒らせたら、しまいには国境警備兵に密告されかねん。そんなことになったらいつまでたってもガール?オグ?ナドラクへなど着かんぞ」
「マルガーは口をつぐんでいますよ、ご老人」シルクが安心させるように言った。「もしそんなことをすれば、やっこさんだって取り調べのために足止めをくらいますからね。積み荷の中に少しばかりちょいとした品物を隠していない商人なんぞ、今日びどこを向いたっていやしませんよ」
「ならば、なぜやつをほうっておいてやらんのかね」ベルガラスがたずねた。
「いい暇つぶしになるもんでね」シルクは肩をすくめながら答えた。「さもなけりゃ、おもしろくもない風景を眺めてなくちゃならない。東ドラスニアは退屈でね」
 ベルガラスは不機嫌なうなり声をあげると、灰色の頭巾をかぶり、再びまどろみに落ちた。
 ガリオンの心はふたたび暗然たる思いに閉ざされた。起伏の多い荒野を覆うハリエニシダの茂みが風景にいっそう陰うつな色を与え、ほこりっぽい〈北の隊商道〉が白い傷あとのようにうねりくねっていた。空はもう二週間ちかく雲で覆われていたが、いっこうに雨の降りだす気配はなかった。隊商は地平線高くそびえる険しい山々につらなる、荒涼とした影のない世界をとぼとぼと進み続けていたYumei好用