国際政治においてはトランプの取引主義は、米自身にも世界の安定にとっても、高い代償を払うことになる可能性が高い。
米国が中国やロシアに対して有する大きな優位のひとつは、長年にわたって築かれた世界的な同盟国網である。日本、ドイツ、豪州、カナダ、英国といった国々は、米国の特定の政策について疑問を抱くことは多々あった。しかし最終的には、米国との同盟は共通の利益と価値観という堅固な土台の上に成り立っていると信じて、米国との関係を維持してきた。 しかし、米国が始めた関税戦争とトランプ政権の敵対的な言動は、その信頼を根本から揺るがしている。
関税によって打撃を受けた多くの政府は、経済への被害を緩和しようと、トランプと取引を結ぶために奔走する可能性がある。しかし同時に彼らは、米国による威圧的行為に対する脆弱性を減らすために、長期的な政策調整にも動き出すだろう。それはやがて、米国の富と力に長期的な影響を及ぼすだろう。
経済的にも戦略的にも、様々な影響が考えられる。明らかな影響のひとつは、米国の武器輸出への打撃だ。
欧州連合(EU)内では「欧州域内で製造される武器を買おう」という動きが強まっている。関税政策が頻繁に変わり、米国への依存が将来的に交渉材料として悪用される可能性があるならば、外国人投資家は米国への長期的な投資に非常に慎重になるだろう。
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