一橋 文哉著
新潮社刊
2002年1月発行
【story】
海外での、臓器移植を斡旋するブローカー。
誘拐した、子供の臓器を売買するドナーハンター。
死刑囚の遺体を入手する、臓器マフィア。
代理母・卵子バンクによって、臓器製造用の
胎児を増産する闇の組織。
関係者への取材をもとに、再生医療研究の
闇を描く。
著者は、1995年、連載「ドキュメント『かい人21面相』
の正体」で、雑誌ジャーナリズム賞を受賞。
その他の作品に、
「闇に消えた怪人・グリコ森永事件の真相」
「三億円事件」「オウム帝国の正体」
「宮崎勤事件・塗り潰されたシナリオ」
「赤報隊の正体」
本書は月刊誌「新潮45」の2001年1月~4月号
と6月号に連載された、闇の連鎖シリーズを
加筆修正した物。
ドナー問題に、特に関心があるわけでは
ありませんが、一橋文哉の本なので、購入。
・・・当然ですが、娯楽性は、全然なし。
次は、明るい本を読む事にします。
出版から、6年。
最新の再生医療研究は、さらに進んでいるのでしょう。
従来は、パーキンソン病患者の脳の内部に、無菌状態
のまま人工哺乳で飼育された、SPFブタの胎児の
脳細胞を移植して治療したのですが・・・。
パーキンソン病患者一人を、治療するのに必要な
ドーパミンはブタの胎児26頭分・・・。
現在では、4~10人の中絶された、人間の
胎児の脳を移植する方法が確立しているらしい。
治療できるのは、うれしい事ですが、
なんだか、怖いですね。
暗躍する闇の商人の活動を抜きにしても、
充分、寒気のする内容です。
どんな事が書かれている本なのかは、
家族にも、話しにくいですね。
アメリカには、胎児細胞を使った臓器製造を
研究中の、大手のバイオベンチャー企業が、
8社もあり、再生医療への応用を
目指しているそうです。
ES細胞の発見によって、体の組織が
人工的に作れる様になったのですから、100%
悪い知らせばかりでは、ありませんが・・・。
一方で、移植を待つ患者の窮状も
つづられています。
マニラで腎移殖を受け、人生を取り戻したOL・・・
死刑囚の腎臓を買い、職場に復帰し、病弱な妻
の代わりに、娘を嫁がせる事ができた父親・・・。
家族を失いそうになった時、倫理観と
感情の間で、苦渋の選択を迫られる人々の
苦悩も、描かれています。
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