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いま考える「死」とは

2020年12月05日 11時43分34秒 | ハチパパのひとり言

12月3日の朝日新聞朝刊に載っていたノンフィクション作家柳田邦男さんのインタビュー記事「いま考える『死』とは」を読んで、コロナ禍のいま、家族が感染して看取れないまま亡くなってしまう現実をあらためて考える。

柳田さんが月刊誌に発表したルポで、新型コロナによる死を「さよならのない死」と意味づけたそうで、『さよなら』を言えない死別は、残された家族の心に複雑なトラウマを生じさせることがあるという。その場で手を握り、体をさすり、耳元で声をかける。ぬくもりが言わば『心の血流』となって伝わる。また、夫婦や親子の会話は、断片的な言葉だけでも思いが伝わっていると述べている。

高齢者で基礎疾患のある我が身、コロナに感染して突然発症、重篤化したら前記家族と同じことになりかねない。カミサンや息子たち家族に、人生の締めくくりの言葉を言えないまま逝くのは忍びない。しかし、死は突然やって来るもので、いつどこで交通事故で死ぬかも知れないし、心臓発作で突然死することもある。心配すればキリがないが、おやじの思いを声に出して家族に伝えておきたいものだ。

柳田さんの本は、「ガン回廊の朝」「ガン回廊の炎」「最新医学の現場」「死の医学への序章」「死の医学への日記」など、先妻がガンで亡くなった後、書店で買って読んだことがある。著作物は医療、航空機事故など多岐にわたり、その数331作品にも及ぶ。

死生観というか、生と死に関する考え方はたくさんの教えがあり、仏教でも仏の智慧として数多く伝えられている。私のような高齢者になると、生をどのようにとらえるかより、死をどのように考えるか、死後はどうなのかといったことが重要になる。

死生観は、その人の知識・経験などからも考えられて、人それぞれが異なる死生観を持つこともあるが、私の場合は仏教の教えに傾倒していることもあり、仏教経典から学ぶことも多い。「仏教名句・名言集」を広げては、釈迦や各宗祖などの教えを読誦して自問自答している。76歳のいま、どう生きたかより、死とどう向き合いどう生きるかにウエイトをおいて日々過ごすことが大切かもしれない。

 

 



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