私、水廼舎學人です

久保憲一のプライベートな世界。なんでもありです。

我が「国体」を考える

2010年04月01日 | 日本学


    我が「国体」を考える   
                                                                                   水屋神社宮司  久保 憲一

  同じ民主制国家でも、それぞれの国は特色を有する。これを「国体」と呼ぶ。この認識が曖昧であると政治制度の無原則・無秩序な採用をもたらし、結果、政治に矛盾、混乱を生みやすい。

 「デモクラシーの母国」英国は、憲法の下に国王を戴く「立憲君主国」である。またその政治制度「議院内閣制」はその歴史的由来と目的から国王を輔弼し、支えるよう考え出されたものである。 

 英国は主権在民の米国とは異なり、国王を含む議会が事実上の主権を有している。またこの国では「女王陛下の大臣」から囚人の「女王陛下の客人」に至る迄、国王の権威が社会の隅々に及んでいる。


 米国大統領は、合衆国の元首であり政府首長以上の力を有する存在である。多くの国では元首と政府の首長の役割は別であり、国王または大統領が元首、首相が政府首長として存する。合衆国では大統領は政府の首長も兼ねている。
 元首としての任務は、外交上、合衆国を代表して栄誉を与え、国を代表して儀式的任務を果たす。
また国民的指導者として重要問題に関して国民に直接訴え指導する。 かくして明確な憲法規定がなくとも国民的指導力を発揮できるのは、彼が全国規模で選ばれる唯一の人物だからである。


 わが国も「立憲君主国」であり、やはり「議院内閣制」を採用している。「大臣」も存在する。そして意識しようがしまいが、今日に至るまで天皇は日本の政治社会および文化体系の中心に位置づけられてきた。しかし天皇は必ずしも「政治権力」を持ったわけではない。どの時代においても政治権力者たちは、「天皇の権威」によってその権力正統化を図った。占領軍総司令官マッカーサーも例外ではない。
 現行憲法では天皇の国事行為・公的行為によって様々な事柄が正統化されている。内閣総理大臣や最高裁長官の任命等の国事行為の他、公的行為は今日のわが国の国際的地位向上や国連加盟国の増大、国際関係緊密化に伴い益々増加している。最近、公的行為の濫用問題も派生している。
 特に今日の天皇は、外交上「百人の大使に匹敵する」といわれるように親善の任を大いに果たされ、日本の国際的信用を保持している。


 最後に、英国の現女王は三八代、直接の祖先はジョージ一世、ハノーバー家のドイツ人であり、一般国民とは異なる民族である。ちなみに天皇が英国王と異なる点は、男系相続に限られ、百二十五代、世界最古の王室である。また英国王は英国教の単なる「擁護者」であるが、天皇は自ら神道『祭主』である。

―――――その他役職等――――――――
      

神宮評議員・神宮崇敬会評議員・三重県神社庁理事・憲法学会理事・前 鈴鹿国際大学教授・松阪紀勢界隈まちかど博物館館長・水廼舎文庫館長
 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿