日々・ひび・ひひっ!

五行歌(一呼吸で読める長さを一行とした五行の歌)に関する話題を中心とした、稲田準子(いなだっち)の日々のこと。

2006年最初の東大阪歌会①

2006年01月08日 | 五行歌な日々
22日(日)に関西新年合同歌会もありますが、
うちの歌会はうちの歌会で、歌会をしました。
メンバーが数年ぶりという人もいて、新鮮。

全作品、お披露目。

     ★


       死守したい幸せが
       阿呆らしく思える
       子の寝顔が
       ズーンと
       染み入る日        水嶋舞弓


       山師が山師を慰める
       風のせいだったと
       思わぬ方へ突っ伏した
       大木の骸
       赤く嘆きに暮れる     北里英昭


       ざくざくざくざく
       噛みしめる
       数の子
       花葉色の
       陽が昇る         増田幸三
       

       必要じゃないのに
       必要な気が
       チラシの類(たぐい)は
       いっそ見ないほうが
       お得かと         稲田準子


       質が悪くなって
       地球が
       落ちてゆくのが
       見えるよ
       苦しいね         楽  人


     ★

水嶋さんは、一年数ヶ月ぶりの出席。
おうちのことも一段落して、
今年は積極的に参加したいとおっしゃってくださり、
嬉しく思う。

「死守したい幸せ」とは、
子供が赤ちゃんの頃つながりのあった人の
幸せのこと。
その人が子供の中学受験に関する本を
選んでいるところで、
ばったり会ったのだそうだ。

すでにエスカレーター式の小学校に通っている子を、
さらにその上の学校への可能性を模索している母の姿。
それを「阿保らしく思える」作者。

で、その日の晩、
子供の寝顔が、
ズーンとしたのだそうだ。

これ以上の説明は、
歌の味を損なう気がするのでやめておきます。

ただ、
作者のお話を聞く前に、
このブログでも時々登場する、
北○くんこと北里くんが、
「ぼくの場合は、子供の顔を見ると、
ジーンとするけれど、
この歌はズーンなんだと思って……」
というところから、
ハッとして、
結構話が盛り上がったことだけは、書いておきます。

     ★

で、その北里くんも、お久しぶりで、
おとどしの二月の歌会以来。

彼の歌は、そのおとどしの頃、
働いていた和歌山の林業組合の時の、
山師の話。

私は木が思わぬ方向へ倒れてしまい、
人がひとり死んだのかと解釈して、
とても怖かったのだが(笑)

その山師の世界も、
時代の流れとはいえ、
木を畏れず、
切っていく人たちが多いのだそうだ。
その嘆きのような。

あんまりこれも、書きすぎてはいけない歌。

ですが、
私の解釈のように人が死んでいるわけではありません。
ご安心を(笑)

     ★

増田さんは、おめでたい歌をと
数の子の歌。
私は数の子が苦手なので、
つかみきることはできなかったが、
数の子が好きな人には、
たまらない歌だったそうな。

花葉色(はなばいろ)が、
なかなかイメージしづらかったけど、
ここで花葉色というものを
覚えて帰れたという幸せをもらう。

私の歌は、
歌どおりの内容で、
弱いんです。
「この券を持っていったら、5%」引きとか、
そういう誘惑に。あぁ。
そして、ついで買いがこんもりと。あぁ。

楽  人さんの歌は、
彼女は弓道をしていて、
それ専用の、
手袋のようなもの(だったかな?)があって、
鹿の皮で出来ているのだが、
今は質のいいものがない。

それは、
それをつくる職人の腕もさることながら、
いい皮を持つ鹿がいないためなのだそうだ。

いい皮を持つ鹿がいないのは、
鹿が食べる竹(?)の質が、
悪くなっているのだそうだ。

その竹の質が悪いのは、
いい土壌ではなくなっているからなのだそうだ。

で、いい土壌ではないのは、
その手袋を欲す人間のせいと還ってくる。

ぐるぐるぐるぐる。

歌自身も、
私個人としては、
五行目をどんな思いで書かれたのか、
あえて書いたのは何故なのか、
聞きたいなと思ったり、
他の人も、
「地球」の部分は、別の言葉でも、
思いつくけれど、
あえて、これに着地したのは何故なのか、とか、
「落ちていく」は「堕ちていく」も、
よぎったりしたけど、
このかたちに落ち着かせた作者の言葉のチョイスは、
何故なのか、とか、

歌的にも、
ぐるぐるぐるぐる……した(笑)

     ★

実は、
水嶋さんの子供さんを預かっている
お母さんの体調が優れないので、
三時には、退出させてほしいと、
私は朝から連絡をもらっていた。

「五首だったら、三時までに、
なんとか終われそう……」と判断した私は、
普段は、のんきにする、
近況報告も含めた自己紹介も縮めて、
一気に三時までにひととおり終わらせた。

それから休憩を入れて、
再度近況報告をし、
歌の話で言い残したところはないか、聞いてみたりする。

しかし、流れを一度断つと、
なかなか戻るのは難しく、
短時間で集中したのとで、
そんなに発言もなく。

そこで、今年から復活と聞いていた、
伊古奈内の花筐に、
今から行ってみないか、と提案した。

お正月などが重なって、
三ヵ月後の歌会の場所の予約を、
まだしていないので、
4月は、花筐で歌会をすることは、
独断で決めていたのだが、

4月以降、どうするかは、
いろんな人の意見を聞きたいと思っていたので。

特に今日は、
ご年配の増田幸三さんも来ていることだし、
駅から遠いところなので、
一度歩いてもらって、その疲労具合を、
聞いてみたいと思っていたのだ。

というわけで、一路、花筐へ。

という話は、明日へ続く。

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