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至誠惻怛(しせいそくだつ)=真心と慈愛の精神

映画「キング・コング」

2010-03-15 | 日記
  ――映画「キング・コング」 (ナオミ・ワッツ、ジャック・ブラック、エイドリアン・ブロディ、監督=ピーター・ジャクソン・2005) BS-hi 23:00~26:10
 
 幻の孤島で捕らえられた巨大な野獣と、人間の美女の悲恋を描くアドヴェンチャー大作。1933年作品のリメイク。監督・製作・脚本は「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのピーター・ジャクソン。主演は「ザ・リング」シリーズのナオミ・ワッツ。
 
 
 
 【あらすじ1】
 1933年、大恐慌時代のニューヨーク。売れない女優のアン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)は、芝居小屋が突然閉鎖になり路頭に迷っていた。その彼女を救ったのは、出資者から見離されていた映画監督カール・デナム(ジャック・ブラック)だった。彼は幻の島へ行って冒険映画を撮ることに賭けていた。最初は彼の誘いに抵抗を感じたアンだが、脚本が憧れのジャック・ドリスコル(エイドリアン・ブロディ)だと知り、承諾した。こうしてデナムは、助手のプレストン(コリン・ハンクス)に命じ、主演男優のブルース・バクスター(カイル・チャンドラー)らスタッフと機材を3時間足らずで船に乗せ、急いで大西洋へと出航していった。唯一、本当の目的地をデナムから聞いていたエングルホーン船長(トーマス・クレッチマン)は、危険を承知で南インド洋の海域に近づいていった。そして、デナムが探し求めていた髑髏島にたどり着いた。
 
 
      女優アン・ダロウ(ナオミ・ワッツ)は、映画撮影クルーと南インド洋の髑髏島へ
 
 上陸したクルーは、原住民たちの攻撃に遭って数名が命を落とした。まもなく彼らにアンがさらわれ、巨大な野獣、キング・コング(アンディ・サーキス)がアンを奪い去った。アンを追ってジャングルの奥地に進んだクルーだったが、恐竜や未知の生物に襲われ、つぎつぎに命を落としていった。アンも恐竜に襲われた。
 
 
 
 しかし、コングはアンを恐竜から救い、アンはコングと心を通わせていった。やがてジャックが、アンを連れもどすことに成功。怒ったコングだったが、デナムによって生け捕りにされた。
 数ヵ月後、コングはブロードウェイで人間たちの見世物にされた。その最中、怒り出したコングは、拘束具を破壊してニューヨークで暴れだした。街がパニックに陥る中、コングはアンを優しく捕まえ、エンパイアステートビルの頂上に登っていった。だが飛行隊の機銃掃射を全身に浴びて力尽き、落下。頂上に残されたアンのもとに、追い掛けてきたジャックが寄り添うのだった。
 
 【あらすじ2】
 山師的な映画監督カールは新作の撮影のためにプロデューサーを出し抜き、極秘に入手した未知の孤島、スカルアイランドにスタッフやキャストを強引に引き連れて乗り込んでいった。そこは、すでに絶滅したと思われていた恐竜やおぞましい姿形のクリーチャーが跳梁跋扈する原始の世界だった。予想だにしなかった世界に足を踏み入れ歓喜するカールだったが、島住民の襲撃に遭い、主演女優役のアンが拉致された。アン救出のため、脚本家のジャック、カールたちが乗組員を引き連れ、ふたたび上陸した。
 一方、とらわれたアンは原住民たち儀式の生け贄として拘束され、最後を待つばかりだった。ときおり島中に響きわたる何かの咆吼。その声の主は、原住民が作り上げた巨大な扉の向こう側に生息していた。生け贄の儀式に原住民が踊り狂う中、意識朦朧としていたアンの眼前に巨大な野獣、キング・コングが出現した。コングはアンを手に取ると山奥へもどっていった。救出隊は決死の覚悟もむなしく、つぎつぎに肉食恐竜の餌食になっていった。一方、アンはコングに恐怖を覚えつつも、彼女を恐竜から守ろうとするコングに心を開いていった。
 
 
 
 その矢先、ジャックたち救出隊と再会、無事に船へ帰還することができたのだが、アンを追ってきたコングの咆吼はすさまじい。アンの不安な表情をよそに、カールはコングの生け捕りにかかった。
 そして、ニューヨークのある夜。観客で賑わう劇場のうたい文句は「世界八番目の不思議」。スカルアイランドから連れてきたコングを、世にも恐ろしい巨大なビーストとして見せ物にしようとするカールの満面の笑みがそこにあった。舞台には両手両足を拘束されたコングが眠らされ、アンに似せた女性が“生け贄の美女”を模していた。原住民に扮装したダンサーが陽気に踊り、臨場感を盛り上げていた。しかし、アンはその場にいなかった。
 にぎわう観客たちの前で目覚めたコングは、そこにアンがいないと分かると、結束の鎖を裁ち切り暴れ始めた。凶暴化したコングはNYの街へ躍り出て、軍の追撃を逃れながらアンを探した。騒ぎを知ったアンは街に飛んで出て、コングと再会した。
 
 
 
 
 
 コングはアンを手にして、エンパイア・ステートビルの頂上へと向かった。
 
 
 
 
 スカルアイランドでアンとともに眺めた美しい夕日を追体験するひとときもつかの間、飛行機による機銃掃射がコングに降り注いだ。コングは力尽き、アンをビルに残して地上に落下、絶命した。
 
 
 
 ビルに残されたアンの前に現れるジャック。アンの悲しみを受け止めることができるのは彼しかいなかった。コングの死骸に群がる民衆たち。だれかの「飛行機によって野獣は殺された」という言葉に反し、カールはつぶやいた。 
 「美女が野獣を殺したのだ」
  ◇
 「美女が野獣を殺したのだ(Beauty killed The beast)」というラストのセリフが印象的な映画「キング・コング」には制作された1929年に起こった世界恐慌の世相が反映されている。最初に公開されたのが1933年。当時の街には失業者があふれ、先の見えぬ不安と、何か新しいものを求める雰囲気があった。
  ◇
 まさに美女と野獣。美女を演じるナオミ・ワッツ(Naomi Ellen Watts)は、それはお美しい限りでございます。かわいらしさと表情の柔軟さに釘付けになったのはキングコングだけではなかったのではないでしょうか。
 最初はキングコングの餌食にされるのではないかと恐怖に打ちひしがれていた美女に心の変化が現れます。キングコングから逃げようとした美女は、違う恐竜たちに襲われることになります。それを救ったのがキングコングなのでございます。このときのアクションシーンは小さな画面でも躍動感を感じたので、映画館でみたらすごかったのではないかと確信いたしております。
 
 
 
 美女を救ったキングコングは自分の住処にもどり、精魂尽きた傷だらけの体を横たえ、断崖からずーと先の彼方を見つめているだけでした。美女はキングコングを元気づけようと、いろいろな仕草を試みます。その時のナオミの演技がまたたまらなくキュートなのでございます。しかしキングコングは、また遠い彼方に目線を合わせます。どうしてだろうと美女もその目線に目を向けます。それがオレンジ色に熟した美しい夕日なのでございます。キンクコングは、美しい夕日の景色を見て、心と体を癒していたのだと思います。美女もそのことを察して、キングコングにある言葉をひとつの動作で教えたのでございます。胸元に手を当てて心にノックするように「う・つ・く・し・い」と諭したのでございます。
 
 
 
 舞台はニューヨーク・エンパイアーステイトビル。キングコングは美女を探しまわり、街中を暴れ狂います。美女は美女で怯むことなくキングコングに引かれていきます。どうして美女はキングコングに惹かれていったのでしょうか。私が思うのに、美女とキングコングは「美しい」という価値観で惹きつけあったのではないでしょうか。キングコングは、美女の美しさから全てのものの生きる美しさを教えてもらったのではないでしょうか。最後のシーンでキングコングが殺されて朽ち果てる時、美女の瞳を見つめ、「う・つ・く・し・い」と胸をやさしく叩いたのでございます。感動ものでございます。
 
 
 
 この世で一番強いものは力ではないと私は思います。本当に強いものは「美」だと思うのです。ですから男性より女性のほうが本当は強いことを知らなければいけません。 (cf. ナイガイセルフ社長ブログ「キングコングに学ぶ」)


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