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至誠惻怛(しせいそくだつ)=真心と慈愛の精神

映画「隠し砦の三悪人」

2009-10-30 | 日記

 ――映画「隠し砦の三悪人」(松本潤、長澤まさみ、宮川大輔、阿部寛、椎名桔平、甲本雅裕、生瀬勝久、古田新太、上川隆也、高嶋政宏、國村隼、黒瀬真奈美、坂野友香、監督=樋口真嗣・2008) 日テレ系列 21:00~22:54
 
 
 
 今からちょうど51年前の1958年、後に世界中を席巻する宇宙版冒険活劇のバイブルとなる作品が、日本で誕生した。巨匠・黒澤明の「隠し砦の三悪人」だ。黒澤監督は脱出不可能な無理難題を提示し、三悪人たちが知恵を絞って解決策を見つけるという、それまでになかった新しい脚本と、迫力あふれる斬新な映像で、観ている者に味わったことのないスリルと痛快感を与えた。この作品に衝撃を受けたジョージ・ルーカス少年は、その後、世界的に大ヒットする「STAR WARS」シリーズを監督することになった。つまり、この「隠し砦の三悪人」がなかったら、「STAR WARS」はこの世に存在しなかった。
 
 
 
 そして迎えた21世紀。「日本沈没」「ローレライ」と、つぎつぎに話題作を放ってきた日本映画界の気鋭・樋口真嗣が、この黒澤映画のリメイクに名乗りをあげた。とはいえ、オリジナル版の作品を完全に再現するのでは面白くない。そこで、樋口監督はオリジナルの物語とキャラクターを大胆に脚色し、独自のイマジネーションで新たな作品を生みだした。さらに、アニメーターから特撮マンとなった、まさに日本のピーター・ジャクソンともいえる樋口監督らしく、時代劇にも得意のVFX技術を華麗に使用。冒頭で城跡が爆発するシーンや、クライマックスの砦から脱出をはかるド派手なシーン。さらに、殺陣で刀と刀がぶつかりあう瞬間という細かいカットまで、映像をよりリアルで、かつカッコよく見せるために、高度なVFX技術を惜しみなく披露している。
 
 
 
 そのような樋口監督の映像に負けず劣らないエネルギーを放出しているのが、これ以上にないはまり役の豪華なキャスト陣。主役の武蔵を演じるのは「嵐」のメンバーとして人気を博し、バラエティやドラマでさまざまな顔を見せてくれる松本潤。今作では原作にはないしたたかで野性味あふれる武蔵というキャラクターを、ときに荒々しく、ときに誠実に、そしてときに繊細に演じ、これまでにない新たなイメージを打ち出している。一国の未来を託された雪姫には、多くの若手女優の中でも人気、実力ともに文句なしの長澤まさみ。清楚なルックスに甘い喋りで妹キャラを演じることの多い長澤だが、今作では一転、戦乱の時代に信念と正義を貫く気丈なヒロインを清々しく、かつ凛と演じている。その雪姫を強靭な肉体と精神力、そしてとっさの機転をきかせる柔軟な頭で守り抜くサムライ中のサムライ、真壁六郎役には男らしさ全快の阿部寛。さらに、この3人と旅を共にすることになるお調子者の木こり・新八役にはお笑いタレントの宮川大輔。ほかにも、椎名桔平、國村隼、高嶋政宏、甲本雅裕、生瀬勝久、古田新太、上川隆也、KREVA、ピエール瀧などと、多彩なる顔ぶれがずらっと並ぶ。
 無事に宝を隣国へ運ばねば、国の未来が途絶えてしまうというピンチに立たされている姫と彼女を守るサムライ。報酬目当てにそのお宝運びを手伝うことになった2人の山の民。そして一行を追いかける一万人の敵軍。はたしてこの追跡ゲームを制するのは誰なのか。

 
 
 
 【ストーリー】 時は戦国。とある地方に国境を接する3つの国があった。海に面した豊な国「早川」、その早川と同盟を結ぶ、小国ながら肥沃な土地と豊富な金鉱に恵まれた「秋月」、そして権力を拡大しようと野心を燃やす「山名」。
 自国の資源を吸いつくしてしまった山名は、大国「早川」攻略のためにまず、豊富な金を持つ小国「秋月」を滅ぼすのが得策だと考え、秋月に攻め入った。圧倒的な山名の軍勢を前に、秋月はなす術もなく、城は陥落した。焼け落ちた城跡に入城した山名軍は、秋月の軍資金“金塊百貫”を探すものの、生き残った雪姫(長澤まさみ)とともに軍資金は城から消えていた。
 その軍資金を探すため、山の民で金堀り師(金を掘る坑夫)の武蔵(松本潤)と木こりの新八(宮川大輔)は、山名軍に強制労働をさせられていた。しかし、毒臭騒ぎに乗じて二人は強制労働からの脱走に成功。逃げる道中、ひょんなことから「秋月」の紋章入り金塊を発見した。思わぬところで金塊を発見して大喜びをする二人だったが、突如現れた真壁六郎太(阿部寛)と名乗る男とその弟に捕えられ、隠し砦に連行されてしまう。この場で切り捨てられてしまうことを恐れた武蔵は、金塊を秋月の同盟国「早川」へ運びだそうと企む六郎太に、秘策があると提案。さらに、秘策を伝授する代わりに、金塊の分け前がほしいと要求した。武蔵が考えた秘策とは、あえて危険な山名領を横断して早川へ脱出するというものだった。
 武蔵たちには「野ぶせり」と名乗った六郎太だったが、その正体は凄腕のサムライで、秋月の残党の一人だった。そして、その六郎太の弟だと名乗っていた男装の少年は、なんと秋月家唯一の生き残りである雪姫だった。秋月の残党を率いていた城代の長老・長倉和泉(國村隼)は、武蔵の秘策を妙案だと称え、六郎太に護衛させ雪姫を早川へ脱出させようと計画した。雪姫が命を落とすようなことがあれば、それこそ秋月の国は名実ともに滅びてしまうからだった。長倉は、山名の道を熟知している武蔵と新八に道案内をさせるため、二人に金塊をちらつかせて、脱出の旅に同行させることにした。
 長倉とその他の秋月の残党、そして雪姫の替え玉となった六郎太の妹さよ(坂野友香)はみな砦に残り、姫たちが無事早川へ逃げおおせるまで時間を稼ごうという作戦だった。こうして六郎太、雪姫、武蔵、新八の男3人、女1人の、早川までの長く過酷な旅が始まった。
 しかし、彼らのすぐあとを山名のサムライ大将・鷹山刑部(椎名桔平)の手勢が追いかけていた。砦に残っていたのが雪姫ではないと知った鷹山は手勢に命じ、雪姫たち一行が早川へと入国する前に、あらゆる手段を使って一行を探しだそうとする。そして、旅を始めて間もなく姫と三悪人は早くも危機を迎えた。

 
 
 
 
 
 
 
 



 ※明日の予定…
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