「W杯ではディテールが勝敗を分ける」
サッカーのスター選手や名監督のインタビューに、
上のような文句が度々登場したが、
正直、意味がよく分かっていなかった。
しかし今大会の日本の惨敗、
そしてギリシャの奇跡や、
コスタリカの冒険を受けて、
「ディテール」の意味が少しだけわかったような気がする。
「死の組」を突破してのベスト8のコスタリカ、
そして予選グループC最下位だった日本に、
私は大きな差はあったと思っていない。
実際に調整試合とは言え、
直前のアメリカでの対戦では3-1で日本は勝っているのだ。
この試合を称して「格下のとの対戦」とのたまうたライターもいた。
ましてやグループ2位のギリシャと、
最下位の日本との間に大きな差があったという人は、
よっぱど自虐的な人だろう。
つまりはこうだ。
日本にせよコスタリカにせよ、ギリシャにせよ、
あるいはドイツにせよ。
W杯出場のために予選リーグを突破してきた以上、
皆、それだけの力を持っている。
同じ人間がプレーしているのだから。
だから「絶対勝てる対戦相手」はいないし、
「絶対に勝てない対戦相手」もいない。
ではどこで勝敗を分けるのか。
それがメンタルだったり、事前の準備や調査だったり、
戦術の選択だったり、協会や選手間の関係だったり…、
選手や監督の言う「ディテール」なのだと。
あるいは「運」もディテールと言えなくもない。
コスタリカは意図的かどうかはわからないが、
その5バックからのカウンターが、
ブラジルでの気候とマッチし、快進撃を見せた。
またドイツは
「欧州勢が南米の大会に勝てない」理由を徹底調査し、
ブラジル仕様にチーム戦術を作り変えたそうだ
(Number記事より)。
準決勝ではオランダがPK戦のために、GKを交代させた。
ファン・ハール監督の
「事前に決めていた」
という談話に、早野さんは解説で
「そんなことはないと思いますけれど」
といっていたが、代わって入ったクルルは、
コスタリカの選手の蹴る方向を全て読んでいた。
多分、ファン・ハールは本当にPK戦も想定し、
クルルを起用することを決めて準備させていたのだと思う。
あるいはこれもファン・ハール一流の
「ディテール」の準備と言えるのではないだろうか?
一方の日本はブラジルの気候というのを軽視し、
気候に合わない「自分たちのサッカー」にこだわり、
結果、「自分たちのサッカー」を見せることすら出来なかった。
思えば私自身も恥ずかしながら「W杯予選を勝ち抜いてきた」各国を
勝手に格付けしてきたところがあるような気がする。
実力は一日一朝にしてはアップできない。
そこを選手、チーム、リーグ、果てはサポーターまで着実に上げていくのは当然のこと。
そして「W杯に出られるような実力」をつけて、「
3年後に予選を突破できた(それを「当然」と思ってはいけない)ならば、
是非、次の大会ではこの「ディテール」にもこだわって
大会に挑んで欲しいと思う。