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新対局日誌

天下初段「棋書ソムリエ」の囲碁将棋な日々

【棋書評】囲碁・初段になるための新格言

2023-05-15 22:55:55 | 棋書
囲碁・初段になるための新格言」(水間俊文:マイナビ出版)

割と多く出ている囲碁格言の本だが、
twitterで相互フォローしている絵師とろろさんのカワイイ碁石さんの挿絵が特色。
上級者から初段ぐらい向け。

書かれていることは至極もっとも。

有段者でも、全部をきちんと出来ている人は少なく、
そこが私が対局で付け入る隙でもある
(全部きちんと出来ている人には私は勝てない)。
よってこれらをしっかり実行できれば、
ネット碁入段はもちろん入段後も安定して勝てると思う。
解説図も丁寧でわかりやすい。

ただ肝心のオリジナル格言は覚えやすいとは言えず、
格言本とした特色は活きていないか(汗)。

格言には期待せず「初段のための33のテーマ」というような感じで活用し、
息抜きにとろろさんの挿絵で癒されれば良いかと思う。

【棋書評】初段を目指す手筋問題集

2023-01-05 23:15:15 | 棋書
囲碁・初段を目指す手筋問題集」(鶴山淳志、林漢潔著:マイナビ出版)

タイトルの通りの手筋問題集で全200問。
年末年始年を跨ぎながら解いてみたが、私の正解率が95%強。
レベル的にもタイトル通りかと思う。

ホップ(50問)は初中級者でもちゃんと時間をかければ解ける。
(ここで私が1問ウッカリしたのは内緒♪)
ステップ(77問)で多少躓く級位者がいるかも知れないが、ホップで解いた問題に実はヒントがあったりするので、こちらもじっくり腰を落とせば解けるレベルか?

ジャンプは難易度にばらつきがあり比較的難しいけれど、こちらもホップ、ステップにヒント…というかちょっと手数を進めた問題があったりするので、前から順番に解いていけば正解できるか

有段者は時間を問わなければ、正解かどうかは別として自分なりの答えを出せるはず。

上記の問題の並びに本書の長所、工夫が凝らされていると言える。
ただ惜しむらくはホップ、ステップの解説が1題2図で統一されていること。
例えばここでクドいくらいにもっと図を使うなど解説を増やし、本書ならではという付加価値がもう少し欲しかった(ちょっと気になる変化が書かれていない問題があった)
コラムも…まぁ、付加価値というには厳しいかなぁ(汗)。

一桁級の級位者や低段者で他に手筋問題集を持っていないのであれば良い問題集だと思うが、既に自分のレベルにあった問題集を持っているならば、無理に入手する必要はないかと思う。
余談だが野狐囲碁の死活対戦を良くやっている人には
「あ、コレみたな」
という問題が結構あると思う。

【棋書評】9路盤で勝つ21の必殺戦法

2022-06-15 22:15:55 | 棋書
9路盤で勝つ21の必殺戦法」(山田晋次著:マイナビ出版)

9路盤の主要5戦法(初手天元3型、高目1型、星1型)と
初手目外し、初手小目を含む16のマイナー戦法を解説。

9路盤というと以前紹介した安斎プロの「9路盤完全ガイド」があり、
特に主要戦法5型については重複している箇所もある。

しかしあちらは見やすさなどを多少犠牲にしても
初手天元、初手星、初手高目に関するいろいろな変化を
網羅的に詰め込んだという感じなのに対し、
こちらの方が戦法を絞って、かつ細かく章を区切り、
さらに戦法ごとに名前がついているため検索性に優れ、
解説もよく整理されていて歯切れも良く理解しやすい。
山田本にはずれなし。

どちらかというと本書の第1章で主要戦法をマスターしてから、
載っていない変化を「完全ガイド」でカバー、
煮詰まったらマイナー戦法で気分転換するという
使い方が良いのではないだろうか?

どちらか1冊だけというならば「完全ガイド」を手にするとは思うが、
上手く棲み分けが出来ていると思う。
読み比べするのもまた理解が深まる。

なお形によっては終局近くまで記されているところもあり、
「完全ガイド」よりはやや易しめだが、
序章以外は有段者以上高段者向けなのは変わらない。

本書を読んでまた囲碁クエストの、
最高レーティングを更新することが出来た。

【棋書評】棋譜並べ上達法【江戸時代前編】

2022-06-05 21:55:55 | 棋書
碁の感覚がわかる棋譜並べ上達法【江戸時代前編】」(大橋成哉著:マイナビ出版)

同名のタイトルの続編。今回は江戸時代前期、
具体的には初代名人碁所の本因坊算砂から安井仙角仙知までの棋譜を、
前著と同じ形式で解説している。

江戸時代前期というのは道策を除いて正直、
古碁を並べる趣味がある人でも相当マニアックなチョイスだと思うが、
第3局の道策 vs 知哲戦や第6局の仙知 vs 春策因碩戦は、
大模様からの軟攻が非常に面白かった。
戦略的にもアマが真似しやすく、参考になるのではないかと思う。

ただ前著と同じく、収録全6局全て中押し碁あるいは途中までなのが非常に惜しい。
前著の書評にも書いた通り、ヨセまで収録してこそ1手1手解説あるいは、
1譜5手に譜分けした特長が活きると思うので残念だ。

前著と違うのは巻末に復習問題として次の一手が収録されている点だが、
私の嫌いな選択式だし、これもあまり効果的とは思えない。

むしろページをめくる前に次の一手を予想するなど、
自分なりに工夫した方がためになるかと思う。

そもそも1譜5手に固定する必要もないのではないか?
個人的には手の流れと関係なしにページが変わり、
並べにくく感じるし、余白の使い方が勿体ない。

【棋書評】碁の感覚がわかる棋譜並べ上達法

2022-05-15 22:55:55 | 棋書
碁の感覚がわかる棋譜並べ上達法」(大橋成哉著:マイナビ出版)

1譜5手に分け、その1手1手にコメントをつけるという画期的な打碁集。
細かく譜分けした打碁集は「名局細解」や「世界一やさしい打碁集」などがあるが、
さすがに全ての手にコメントを入れている打碁は初めてだろう。

ただ1譜辺りの手数が少ないので並べやすいと言えばその通りだが、
1手1手コメントが必ずしも局面を理解を助ける内容にはなっておらず、
解説も少ないため必ずしも「わかりやすく」はない。
読んだ率直な印象としては
「NHK杯の実況解説を、読み上げ(座標など)も含めて文字にした本」
という感じ。

参考図の中には10手以上の手順のものもある。
よって本書を読んでその碁を「ある程度理解できる」には、
NHK杯の碁をみて楽しめる程度の棋力は必要な気がする。

今期からNHK杯で導入された「AI予想手」にも言えることだが、
個人的には「16の四」などの座標を示されて、
直ぐどこかわかる人は少ないのではないかと思う。
また「ノビ・ハネ・アテ」など石の動きを記載しているのも、
どの程度有用性があるか?
正直紙面が費やされているその分に、もっと理解を助ける内容が欲しい。

また残念なのは形勢判断が終局の場面でしかされていないこと。
手の意味や細かい解説はともかく着手の方針として、
こまめな形勢判断を示すのは一局の流れを示すために必要だと思う。
極端な話1譜ごとに形勢判断を入れても良いくらい。
どこでその一局の形勢が傾いたのかがハッキリしない。

NHK杯は毎週観ているけれど棋譜並べの経験のない人に、
最後まで並べるという体験をして貰うには良い本だと思うが、
そこから棋譜並べに対する理解を深め、他の打碁集を並べてみる、
そんな発展までは至らないのではないかと感じた。

収録局は江戸時代から近代、現代までヴァリエーションに富んだ全6局。
三連星や中国流も出現しそのセレクトに不満はないが、全て中押し局
(巻頭の知哲vs道策は作り碁だが途中まで)
なのも少し何だかなと。

ただ好評を博したらしく続巻が出ているので、
棋譜並べに慣れている私の感覚と合わないだけかも知れない。
後続の巻でどのように展開されているだろうか?
(目次の本因坊道策が、本因坊道になっている誤植はさすがにどうかと思う)