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ちょっと番外編;日本シリーズJTカップ観戦記

2009-12-10 11:14:45 | 石川遼&世界ランク

前の記事(「またまた番外編;日本シリーズJTカップを観戦しに行きます!」)でコメントくださった皆さん、それから、コメントしなくても気にしてくださっていた皆さん、ありがとうございました。
そのお礼も込めて、テレビでは伝えられていない現場の雰囲気などもお伝えしたいなと思い書き始めたのですが、現地にいたギャラリーでも、いろいろな感じ方があったと思います。
私はこんな状況でこんなことを感じた…という、単なる私自身への記録になってしまっているかもしれませんが、読んでいただけると嬉しいです。 
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 18番ホールで待つ人々

2組目で回る遼くんのプレーを追っていた私は、15H後半と16H・17Hは諦めてパスし、18Hに直行しました。グリーン周りのすり鉢状の斜面は、もう既にレジャーシートとそれに座っている人でいっぱいでしたが、私一人分なので何とか確保しました。
大きいモニター画面(何とかビジョン?)のほぼ正面で、右を向くと少し遠く(197ヤード)の小高い場所にあるティーグラウンドが見えるという、観戦には絶好のポジション。

私のすぐ周りに座っていたのは、数人グループのオジサンたちとか、30歳くらいのカップルとか。聞こえてくる会話(とか、ほとんど独り言みたいなウンチクとか解説)からすると、昔から何度もゴルフ観戦に来ているという感じ。オジサンたちは「ホントにギャラリー多いし、層が変わっちゃったな。石川効果、すげぇよな。」と少し迷惑そうに話したりするものの、遼くん自身に対しては何気に応援している感じです。ほんの少し向こうには私と同じような遼くん目当てのおばさんたちも居ます。

つまり、私の周りは、その日あちこちで私の周りにいたギャラリーと同じような、平均的な雰囲気だったと思います。

いつの間にか、巨大モニターで遼くんのプレーが映し出されていましたが、無音なので状況がよく判らず。周りのひとの「17番、イーグルパットが惜しかったみたいだよ」という会話で判りました。ギャラリー全体に残念がる雰囲気がパラパラと広がったものの、それは、緊迫する優勝争いの場面とはやはり違っていました。

もう既に完全に「石川遼の賞金王は確定」という空気でした。ただ、最後にどんなプレーで締めくくるのか、なにを起こしてくれるのか、そんな期待(と少し不安)。周りの柵の外側にもびっしりと人垣ができていました。

 石川遼登場

18Hティーグラウンドに着いた石川遼が巨大モニターに映し出され、ティーグラウンドにも赤い人影が小さく見えます。
誰もが、身を乗り出してじっと見つめる中。
ティーショット。
びゅぃーーん…(結構長い。私は一度玉を見失い、落ちてくる寸前にまた視界に捉える)……ぽとっ、ピタッ。

「おおおお…」「う。。。すげぇな、やっぱ。」
「ぽとっ」と「ピタッ。」に、みんな"やられて"しまいました。
もしかすると、実際よりもっとスーパーショットに見えたかもしれません。でも、今年最後のショット、このホールで3Rまで全てボギーというプレッシャー。そんな中で。
「やっぱり賞金王になるだけのことはある」そんなことを、隣のオジサンたちは言っていました。

他の2人も打ち終わり、選手たちが小高いティーグラウンドからこちらに向かって来ます。橋を渡って、巨大モニターにアップが映って、選手紹介アナウンス---「石川遼!」

 「劇的瞬間」ではなく

皆が祈る中、バーディーパットは外してしまって、苦笑い気味に”お先に”でパーパットを入れたときは、とても盛大だけれども、興奮というより暖かな歓声が周りを包んでいました。まだプレーの残っている組、そして試合ですから、遼くんは控えめに帽子を挙げて挨拶をしていました。
「劇的瞬間」ではなく、「涙」とか「感動」というよりも、大きくて暖かい「ありがとうそしてお疲れ様」の大声援でした。

けれども、一行がグリーンから去って行ったとたん、すごい数のカメラマンが後を追って大移動して行く姿に、ギャラリーは苦笑気味。
お疲れ様どころか、これからが大変だね。

 丸山プロの激闘と優勝インタビュー

後からテレビを見たら、遼くんはこの後すぐ裏でインタビューを受けていますが、もちろん18Hは次々とプレー続行中です。3組目から最終の9組まで、テレビ観戦暦もせいぜい1年ちょっとの私ですら馴染みの有名選手ばかり。

最初は単に「試合後のセレモニー待ち」のつもりだった私も、トイレにも行く間が無いくらいです。
途中で、巨大モニターのリーダーズボードのトップが丸山に。そしてその丸山が18Hのグリーンでパットに入るとき、丸山が背を向けているモニターにあるキムのスコアが変わって、トップタイに。ギャラリーのどよめきの意味を、丸山は気づいているや否や。
そして、プレイオフ。
なぜか二人のボールが見事なくらい同じ場所に落ちる繰り返し。やはりどうしても丸山のほうが拍手の音が大きかったのですが、あまりに二人とも頑張るので、だんだん二人ともに気持ちが入り、最後にキムが入るはずのパーパットを外したときは、思わず本気で「あーっ」っと惜しむ声が。(私も。)
激闘でした。セレモニー待ちの時間だなんて思ってたこと、ごめんなさい。

優勝したマルちゃんのインタビューは、喜びにあふれていました。アメリカ。優勝。長いスランプ。そして再起のこの優勝。「最近やっと調子が出てきて、カシオで遼くんと一緒に回ったとき、来年はもっと一緒に(最終組近くで)回れることになりそうだ、と話してたんです…」と。
このとき、大勢のギャラリーの感動の渦の中心は、完全に丸山プロでした。

 「丸山さんのあとで、スイマセン。」

そして、続けて次は、同じ場所で遼くんのインタビュー。ホールアウトで受けた大声援から、2時間半ぶりの登場です。

マイクを向けられた遼くんから最初にでた言葉は「丸山さんのあとで、スイマセン。」苦笑いと照れ笑いが混じって、少しおどけたように。
なぜスイマセンなのか、
 大先輩の後で(若輩者の僕が)、
 優勝者の後で(スコアの悪かった僕が)、
 感動的なインタビューの後で(感動の薄い僕が)
どういう意味なのかはっきりしないけれども、なぜかその言葉がそのときの場の空気と遼くんの雰囲気に合っていて、ギャラリーからもふふふという笑い声。

インタビューの内容は…ごめんなさい。実は、あまり細かく覚えていないんです。正直なところ、遼くんにしてはツマラナイものでした。優勝インタビューなどではいつも、私たちの心に残る具体的な言葉を話してくれますよね。「深堀プロに実力の勝ちだからと言われた」とか「ギャラリーのドンマイコール」とか…。でも今回のインタビューは、そういう言葉がなかったんです。なんだか少しだけ、無理に答えているようにも見えました。
「こんなにたくさんの人に見守られて達成できて、感無量です!」その言葉にウソはないだろうけれども、「感無量」なのは大勢のファンの声援と祝福を受けている今に対してで、「賞金王を取った」という感動からは、もう既に気持ちが切り替わっているように見えました。

ただ、私の心に残ったのは「これからもっともっと努力します」という言葉。
これだけのことを成し遂げながら、「達成感」よりも「足りない感」。賞が足りないというのではなくて、「今の自分はまだまだ足りない」と思っているのが伝わってきました。そうか、「丸山さんの後でスイマセン」なのは、「丸山さんよりいろいろ足りない僕が…」ということだったのかな。ただむやみに謙虚なのではなくて、具体的に、ああいう場面のあのショット、とか、気持ちの持ち方、というのを感じているのかも。

その後、あちらにもこちらにも手を振って、頭を下げて、大声援に応える遼くん。

 大きな宝物

その間に用意された、優勝者のためのレッドカーペットと表彰式の舞台。
そこでの優勝スピーチで、丸山プロは「挫折」という言葉を使っていました。挫折して、ボロボロになってアメリカから帰ってきたと。うまく行かなかったとか、思うようにならなかったとか、そういう表現ではなく。
これだけの大観衆の前での「挫折」という言葉は少し衝撃的でしたが、それを克服したと思えるからこそ言える言葉なのでしょう。

このスピーチを石川遼はどんな気持ちで、何を思って聴いているのだろうと思いました。自分が目指そうとしているアメリカで、成功して、挫折して、そしていま目の前で復活し優勝の涙を流している大先輩。

全員揃った閉会式が始まってもしばらく、目頭を押さえたりしていた丸山プロは、宮本選手会長の挨拶が終わる頃には、今度は少しはしゃぎ気味でした。率先して手を挙げてポーズをとって、選手たちみんながそれに乗らないと、「なんでみんなやらないんだよぅ、やろーぜー」というそぶりをしています。他の選手も、遼くんも、ニコニコ笑って見ていました。
泣いたりはしゃいだりと落ち着かない40歳---でもそれは、いろいろないろいろな経験を経てきたからこそのこと。
偉業を成し遂げたばかりにしてはあまりに落ち着いている18歳は、それをどこまで解っているのか…遼くんのことだから、きっとわかっていると思うけれど…

これから先の長いゴルフ人生の中で、遼くんは何度も、このときの丸山プロを思い出すことがあるだろうな。
その1度目はきっと、アメリカに行くと決断するときでしょう。
そしてもしかしたら、今の丸山プロの気持ちを、嫌というほど解るときも来るかもしれません。
マルちゃんが優勝してよかった。
遼くん自身が優勝するよりも、むしろ大きな宝物になったんじゃないか、そう思えてきました。

考えてみたら、こういう状況は…遼くんが丸山プロのスピーチを生でしっかり見て聞いて、泣いている丸山プロと同じ壇上に居るという状況は、この日本シリーズでしかありえないこと。しかも、とっくにアテストもホールアウト後のインタビューも終えていたはずの遼くんは、プレイオフでの丸山の激闘もしっかり見ていたはず。

苦難を乗り越えた40歳の優勝と、これから苦難を味わうはずの18歳の賞金王確定。その両方を、ツアー最後のこの日に持ってくるなんて…
…ゴルフの神様って…


 蛇足(?) 
マルちゃんのスピーチには感動してじぃんとしたし、
宮本会長のスピーチは、的を射ていて、でも面白くて笑ってしまいました。「若手が躍進した中、40代も頑張った。」と40代の選手を紹介した後に「この1年、そんなツアーを支えてきたのが…この僕です。」にはどっと笑いが。最後の「来年のこのスピーチは、ぜひ僕が、(優勝者の)赤いジャケットを着て!」という言葉でも、おどけてどっと笑いを誘いつつ、本気もたくさん詰まっているのを感じさせました。遼・勇ばかりではないということをさりげなくアピールしているスピーチで、(遼くんを応援しに行っていた私でも)好感を持ちました。
JGTOの小泉会長(だったよね、確か)のスピーチもまあまあだったけれど、経済界出身ならスピーチ上手そうなのにプロゴルファーに完全に負けていましたね。
私も、「ゴルファーってものが、素晴らしい、と思いました」(By 約1年前の遼くん)