フランス映画の運動の拠点となった場所でもあるシネマテーク(映画資料館)の移設の話です。日本にこういう場所があるかというと、少なくとも僕は知りません。シネマテークは国の予算で維持されているようですが、最近話題の韓国でも映画の国立アカデミーがあると、韓国人留学生から聞いたことがあります。とはいえ、国民の芸術や映画への関心が強いという点も日本と違うのではないか、と感じます。依然として、ハリウッド映画が . . . 本文を読む
続いて、映画の分析とその批評に関する部分です。
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彼女たちは、アレクサンダー・ペイン監督の原理の上にキャンプする。二人のほろ酔いの男たち、識別表を持てない個々人のなかの喪失を嘆き悲しむ。一人の男は臆面もなく年老いた母の貯金を盗み、高い文化的な価値を自ら説教した果汁を誤使用する。そして、もう一人の男はベットから次のベットへ、スリーサイズを気にすることなく愉快に楽しむ、結婚指輪と財布を置き . . . 本文を読む
続いて、映画の内容の概略部分です。
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「サイドウェイ」は行き詰まった男たちの小旅行記である。離婚したばかりで(再婚はしていない)、国語教師で売れない文筆家のマイルスは男友達ジャックと南カルフォニアのワインの道にいる。二人は有り得ないデュエットを演じる。なぜならジャック(古風な役者「であり続ける」)は陽気な男なのであるが、マイルスはひどく禁欲的だ。もしジャックが暗い男で一つのアイディアし . . . 本文を読む
南カルフォルニアのワインの産地を舞台としたアメリカ映画「サイドウェイ」(公開は3/5より:ヴァージンTOHOシネマ、六本木ヒルズほか)。映画に紹介されたワイン銘柄は軒並み売り上げが上がっているそうだ。この映画を見るとカルフォルニアワインを飲んでみようかという気になるかもしれない。
今回の記者は、ハリウッド大作映画「アレキサンダー」を酷評した記事で記憶に新しいJean-Luc Douin氏。大人 . . . 本文を読む
ムンクは、多くの文章を残している。それは、友人でもあり文筆家のJaegerの影響だと言われる。ムンクが残した言葉のうちの一つを引用しよう。
「私たちは、単なる自然の写真以上のものを必要としている。私たちは、応接間に掛けられた綺麗な絵は必要としていない。私たちは、人間性に何かを与える芸術を創るか、少なくともその基礎を生み出したい。人の心を掴み離さない芸術を。人の最も奥底の心から創り出された芸術を . . . 本文を読む
死への恐れや苦悩という感情が画布の上に発露する。原色に近い色彩と漆黒とのコントラストがドリッピングにより抽象化される、曲線同士は混じり合い、永遠に続く苦悩を象徴するかのようである。
表現主義のパイオニアと目され、スカンジナビア半島で最も大きな影響を与えた芸術家と言われるノルウェー画家ムンク(写真)。その人生は、幼少の頃から苦難の連続だった。5歳の時に母を亡くし、その後、姉を結核で亡くす。母が . . . 本文を読む
ユダヤ人の全てはイスラエルに自分たちの帰属の土地を見出すシオニズムに賛成しているのだろうか?実はユダヤ人とシオニストは等価ではない。アラブにおける反シオニズムとは別に、少数派ではあるが反シオニズムを唱えるユダヤ人のグループ(Orthodox,正統派)もあるのである。
ポーランド系ユダヤ人から分離した一派やイスラエルのシオニストから分離した一派[参考1]もあり、その要因として、ラビを中心とし . . . 本文を読む
イスラエル。ユダヤ人の国。アメリカとの繋がりと中東諸国との確執。穏健派と過激派の権力争いや要人暗殺。連日の報道に反して、生きたイスラエル国民の生活のイメージは不思議と湧いてこない。
1898年にシオニズム運動が生まれ、委任統治していたイギリスの撤兵の後、1948年にはイスラエルが建国された。そして、アラブとユダヤとの軋轢の表面化、そして度重なる戦争とその中にある大国の思惑。このイスラエルとパレ . . . 本文を読む
上司にアレキサンダーの話をしたところ、一冊の本を貸してくれた。プルターク著「人生"Lives"」。ローマ皇帝カエサルとアレキサンダー大王の人生をそれぞれ明かし、後で比較してみるという面白い趣向の本だ。ところが、めくったページがギリシャ語だったので、「あのー僕読めないんですけど・・・」と言ったら、向かいのページに格調高い英語で対訳がついていた。でも大変だな・・・やっぱ読まなきゃダメ?
本の題名 . . . 本文を読む
なんたることだ、古典への冒涜だ・・・と朝の会話は始まった。
そう言い始めたのは映画「トロイ」を観に行った上司だ。西洋古典文学を原文で読み、古典ラテン語や古典ギリシャ語を愛する人なので、期待のあまり「イリアス」を復習してから行ったそうだ。で、何が不満かというと、衣装や戦争シーンはさておき、当時の人間の心情や信仰心が表れていないというところらしい。これでは現代人が昔の鎧を着て闘っているみたいだ、と嘆い . . . 本文を読む
イギリス王室のハリー王子がパーティーでナチスのコスチュームを着ていたことが報じられて騒ぎになったようで、彼はこのあとアウシュビッツの開放記念日にイギリス代表団の一員として訪れることになりそうです。若い世代では、もうすでに生まれるずっと前のことですが、人々の記憶には爪跡がまだ鮮明に残っていることがよくわかります。
さて、記事は昨今のドイツのナショナリズムにまで解説は及ぶ。
近年、若い世代の間で . . . 本文を読む
仏語の勉強がてらにCinema欄の評論を読んで、週一ペースぐらいでここで紹介することにした。映画情報としても最新だし、僕の勉強にもなる、あまりの素晴らしいアイディアにほくそえんでしまった僕だった。
この映画の監督はオリバー・ヒルシュビーゲル、ヒトラー役はブルーノ・ガンツが演じた。ブルーノ・ガンツといえば、「ベルリン天使の詩」の名演で皆さんご存知かもしれない。アカデミー外国語賞が期待されている作 . . . 本文を読む