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下地さんから 手紙(12月21日付)

2012-12-31 00:27:19 | 獄中からの手紙
下地さんは12月28日、釈放されましたが、
未掲載の手紙がありますので、掲載します。

<下地さんから 手紙(12月21日付)>

(A)
 原発事故から1年と9ヵ月が過ぎました。まるで事故などなかったかのような選挙結果にガックリしてる人もいると思いますが。しかし、そもそも「高額供託金」「不公正な報道」「小選挙区制をはじめとする歪んだ選挙制度」。気づき始めた少数派の意見が反映されにくい仕組みなのですから。2005年総選挙では、小選挙区に限って言えば、確か50%足らずの得票で70~80%の議席を獲得してたんじゃないでしょうか。小党乱立の今回のような状況では、なおさら新勢力は不利です。しつこいようですが、草の根の活動が大事です。

 取調べでも検事調べでも、原発や放射能のことを聞かれます。話してもみると(別に驚きもしませんが)彼らなーんにも知りません。まあ、そりゃそうです。反原発・脱原発の旗を掲げている人でも、目下勉強中の人がほとんどなわけで、「電気どうするの?」のレベルの人がなんにも知らなくても当然と言えば当然です。

 だから話しましょう。飽くことなく話しましょう。話すのが下手でも、ひどいこと言われても、それを糧に少しずつ上達しましょう。あなたの家族や友人は、話し上手な人ではなく、あなたの話を聞きたがっているかもしれまあせん。留置場で知り合って男の子も自分の取調べだかなんだかのときに、僕に教えてもらったばかりの原発の話をしたそうです(笑)。こういう広がりが大事。

 私たちにはまだできること、まだあやってないことがあります。一つずつやっていきましょう。


(B)
 震災ガレキ問題のことを振り返っておきたいと思います。

 「被災地のために受け入れる必要があるのと違うの?」という人が留置場にもいます。だから説明します。「被災地のためにこそ、断らなアカンのです。」

 災害があれば、必ずガレキ処理が問題になります。そのとき、必ず念頭に置くべきことは、「輸送費を節約すること」です。これは専門家でなくとも、すぐにわかることでしょう。

 「では、被災地で処理できるのか」と問う人があります。元々ガレキの総量は大幅に過大推計されていましたし、十分処理できます。少なくとも、輸送費分のお金を直接被災地に渡した上で、地元に選ばせるくらいはすべきです。また数百万トンの可燃ゴミの中で、大阪市が受け入れる予定の36000トンというのは誤差にすぎません。「大阪市が受け入れて、ギリギリ足りました」なんて、バカも休み休み言え、と言う話です。

 ただし、以上は安全性に関する環境省の主張を前提にした話です。僕は、この環境省の主張自体に問題があると思いますので、現在被災地で進められている処理にも賛成できません。もっと慎重であるべきだと思っています。

 環境省の安全基準をざっくりまとめるなら次のようになります。

 「1kgあたり8000ベクレルまでは、燃やしても埋めてもOK。焼却炉はバグフィルターがあればいい。処理場ではビニールシートを敷いて土をかぶせとけばいい。とんでもなく乱暴な話です。この結論を出したとされる災害廃棄物安全評価検討会は、その肝心の部分で議事録が存在しません。わざわざ隠したのです。薬害エイズの被害をもたらした厚生省エイズ研究班の議事録隠しを思い出させます。

 この基準が震災ガレキに適用されるだけでもひどいのに、環境省はこれを、今後の放射性廃棄物処理(つまり、東北・関東の放射能汚染下におけるごみ処理)の基準にしようとしています。本来拡散せぬよう厳格に管理すべき汚染物を「薄めてバラまく」ことで、低いコストで処理しようというわけです。

 これは汚染者である東電(そして原子力産業全体)に対する巨額の補助金です。財源は私たちの生命と未来です。こんな酷い政策を許してよいはずはありません。

 これまで共に取り組んできたみなさん、とにかく声を上げ続けてください。最近になって初めてこの問題に気づいたみなさん、どうか力を貸してください。大阪市の本焼却を止め、北九州もやめさせ、とにかく「危ないものは危ない」という前提に立ち返って、処理の見直しをさせねばなりません。災害時において「二次被害を防ぐこと」は復興以上に重要なことです。

下地さんから 手紙(12月20日付)

2012-12-28 00:44:02 | 獄中からの手紙
<A>
 選挙の結果をうけてガックリきている人も多いと思います。でも、まあ、こんなものです。いまさらガックリしても仕方ない。

 ほんとうに大事なことは草の根の活動です。一人一人に話すこと。その積み重ね以外に、ないです。これまでしてきたことを点検してみると、これまでやってこなかったことが多いことに気づくと思います。

(1)紙に文章を書いてみてください。下手でもいいし、断片的でもいいですが、「主語と述語のある文」を書いてみてください。それを読み上げて、耳から入ってきたときに、どのくらいわかりやすいか、ほんの少しだけ考えてみてください。完璧主義にならないように注意してください。「今よりほんの少し上手になる」だけで十分なのです。大事なことは、向上心、工夫する姿勢です。

(2)「運動に関わっていない人」に話す機会、伝える機会を作ってください。活発に活動している人でも、ご近所さんや友人、知人、職場の同僚には話しづらく、していないものです。無理をしないように、しかし、まったくゼロにならないように、生活圏の中で問題提起をしてみてください。これが一番難しく、しかし、一番大切なことです。
 一人ひとりが力量をあげていく必要があります。一人ひとりが今までおろそかにしてきた、避けてきたことに取り組む必要があります。僕も留置所の同室の人に原発のことや放射能のこと、その他さまざまな社会問題について話します。取調べはほとんど授業になっています。それぞれの持ち場で、草の根の活動をがんばりましょう。

<B>
 警察、とくに公安警察のやることが、最近とてつもなく乱暴になっています。なんでもかんでも逮捕する。なんでもかんでも起訴する。まあメチャクチャです。でもこんなメチャクチャなことにも理由はあるし、経済学的な分析が有効です。

 公共選択理論の世界でよく知られた法則に、こういうものがあります。「規模を拡大した官僚組織が、自らの規模を縮小・抑制することはない」。なんという名前の法則だったか忘れましたが。官僚組織の予算最大化行動というやつです。

 この法則は、もちろん、警察にもあてはまります。警察もまた官僚組織の一種ですから。犯罪者が減ること、いなくなること、これは普通に考えれば良いことです。個々の警察官でもそう思うでしょう。しかし、官僚組織としての警察にとっては違います。彼らにとってその必要性が減り、予算を減らされることは望ましくないことなのです。予算を減らされるくらいなら、ムダなことでもやる。酷い場合は、「悪いことでも」やるようになってしまう。そういうものです。少なくとも、「そういう側面がある」くらいのことは、常識としてわきまえてほしいものです。

 その結果、「年度末のムダな道路工事=公共事業」と同じような理屈で、やる必要のない、市民運動の弾圧に手を染めてしまうわけです。どこを探しても過激派がいないので、『こいつはいつか過激派になるに違いない』などという妄想のもとに、こういうバカげた仕事をやるわけです。これでは公安警察こそが「過激派」になってしまいます。バカバカしい話ではありますが、実際問題、現実はこのくらいくだらない理屈で動いているものです。

 警察組織に作用している「利潤動機」は他にもあります。たとえば、「天下り先」の確保です。これは組織のメンバーの再就職先の確保であると同時に、組織の影響力の拡大につながります。

 もちろん、天下りを受け入れる企業にとって、これはコストですから、そこに「うまみ」が必要です。関西電力のような企業にとっては、「反原発・脱原発の市民運動をつぶす力になる」ことは一つの魅力となるでしょう。そこに、警察OBに再就職先を提供することの利益があります。天下りは現実に存在しますし、なにより、関西電力本店ビル内では、警備担当者と公安の警察がヒソヒソ打ち合わせをしている様子が何度か目撃されています。

 少し前に文章にしました、10月5日の関電前不当逮捕の件、つまり、「どうして転び公妨の自作自演までして市民を逮捕せねばならなかったのか」についても、理由は明瞭です。
警察と関西電力の利害関係について(はっきり言えば、癒着)があるからこそ、抗議する市民と一私企業に過ぎない関西電力の関係について中立であるべき警察が、ことさら関電に肩入れすることになるのです。実につまらない。

 しかし、このくだらない、つまらない状況がもたらしている酷い人権状況は、ささいな問題ではありません。早急に歯止めをかけるべき重大問題です。ぜひ多くの人に知らせてください。

 

下地さんから 手紙(12月19日付)

2012-12-24 10:30:08 | 獄中からの手紙
検事調べの中で、逮捕状記載の被疑事実はまったくのデタラメである旨いくつか述べたところ、「どうして素直に話してくれないのか。黙秘されると、こちらとしても勾留せざるをえない」というようなことを述べられました。しかしこれはとんでもない話です。

警察組織は何を(あるいは誰を)捜査し送検するかについての絶大な権限を持っています。警察組織を構成する個々の私的な利益のために職権を行使することがありうる。これは公共経済学的には(公共選択理論的には)あたり前のことです。今回のように警察の不当行為を抗議されたことへの逆恨みとして、あるいは、重要な天下り先の一つである関西電力の意向を受けて、市民運動に関わる者を逮捕する。そんなことは当然ありうることです。検察は「警察性善説」に立っている。これではまったくダメです。

だからこそ、職権乱用の被害者が身を守れるためにこそ、悪意をもって職権を乱用する者に協力しない権利が「権利として」保障される必要があるのです。「黙秘しているから勾留」などというのは本来とんでもない話です。

「疑わしきことは被告人の利益に」、これは実際の裁判でのみ考えればよいことではありません。逮捕も勾留も、重大な権利制限なのであり、きわめて慎重に運用されるべきものです。現状の運用は「20日の禁固刑は警察の都合で好き勝手に発動できます」と言うに等しい。実にひどい現状です。逮捕・勾留でもちゃんと客観的証拠を要求すべきです。その日数も厳しく制限すべきです。

人を信じるためにこそ、疑う。『Liar Game』というマンガの中で、主要登場人物の一人(アキヤマ、だっけ?)が言うせりふです。

警察だって過ちを犯す。悪いことをする。そういう前提で疑ってかかるのは、それでも残る信じられるものを発見するためです。「警察は悪意をもって捜査したり、送検したりはしない」こんなことを信じるのは、よほどのお人よしか、さもなければ、「その人が本当には過ちや悪事を犯していても迷惑をこうむることのない人」、端的に言えば、無責任にすぎません。(いや、もっと別の、もっと悪い可能性もありますね)

そもそも有罪率99.9%、その他勾留が許可される確率とか、諸外国と比べれば異常な数値が、日本の司法統計には並びます。

「絶対確実なものだけを起訴するから有罪率99.9%なんです」と言うかもしれません。これは個人の信念としてはわからなくもないですが、社会科学的知見としてはお話にならない

権力は必ず腐敗しますが、一人ひとりのモラルを当てにした制度はもっとも酷いレベルで腐敗します。野放しに等しいからです。

日本の刑事訴訟制度の社会科学的分析が必要です。検事や裁判官の意識調査(たとえば黙秘権の意義や権力乱用の可能性、逮捕・勾留の権利制限の重大性についてなど)が必要です。刑事司法の「良心」を可視化する研究が必要です。そういう研究はないものでしょうか。

警察が恐くはないですか?と時々聞かれます。もちろん恐くないことはないのです。僕は留置場の環境にうまく適応しているし、ここで得ることもありました。しかし、僕が受けている人権侵害はとてつもなくひどいものですから。

僕はむしろ、悪いことをしていないのに警察が怖い世の中、「悪いことをしていないのに警察が怖い」ことを人々が当たり前に思い疑問に感じていない世の中、そういう中で誰もが黙り込んでしまう世の中こそ怖いと思います。しかも状況はますますひどくなっているのです。

こんな世の中は、当の警察官にとってもかわいそうです。とりわけ、若い警察官がかわいそうです。なんとかしてあげませんか、私たちの力で。

警察官に限らず、若い人の顔をみるとき、理屈ぬきの希望や喜びと同時に、申し訳なさを感じます。彼らに残すであろうこの世界のありようは、現状、あまりにも酷いからです。少しでもマシな姿にしておきませんか。私たちの力で。

原発や放射能のことだけではなく、この国が警察国家化しているという危機のこともすぐに手を打たねばなりません。この1、2年になにをなすかによって、私たちの未来は大きく変わります。とくに「学者」と呼ばれる皆さん、今、行動を起こさずして、別の機会はもうありません。今しかないのです。

2012.12.19 下地真樹

下地さんから 手紙(12月18日付)

2012-12-22 23:17:03 | 獄中からの手紙
本当に、本当にみなさん、ありがとうございます。
留置所の中は、想像していたより、かなり快適に過ごしています。
同じ部屋には僕を含めて3人、うまくやっています。心配ありません。

朝は7時ちょうどに起床。布団を片づけ、掃除。それから洗顔。
8時ごろから朝ごはん。終わると、数人ずつ交代で「運動」。「運動」と言っても部屋より3・4倍広いくらいのベランダのようなところに行くだけです。まわりは壁とすりガラスで、外の様子は見えません。

そこでは、ヒゲそりができて、タバコが吸えます。僕は吸いませんが、これをたのしみにしている人は多いです。また他の部屋の人と話ができる数少ない機会なので、気分転換になります。交代で「運動」に出て、だいたい10時頃に終わります。

運動のあとは、基本的に夜まで、本とノートとペンが使用できます。
本は部屋の中では3冊まで、いつでも交換できます。ストレッチなどしながら、書き物と読書。昼食が12時、夕食が17時。ずっと部屋の中です。

ただし、時々、取り調べがあり、これがかなり面倒くさいです。取り調べには一人で立ち向かわねばなりません。正直、かなりの重圧ではありますが、しかし、外の支援が支えてくれている、と思うとき、なんともなくなります。恐るるに足りず、です。こんなことしてるくらいなら本を読みたい。退屈。

18時45分くらいから、部屋の検査と布団の準備。このとき、筆記具と本は一旦返します。布団の用意をして、その後は、夜用の本、一冊だけ選べます。消灯前に返却。そして21時消灯。夜は割りとグッスリ眠れます。問題なし。でも、長すぎて朝はわりと早く起きます。

留置所の中にいたいとは思いませんが、ここで気づかされることは多いです。ヤクザも警察官も人間です。外では絶対できない経験をしています。フィールドワークのようなつもりで、開き直ってやっています。こう言ってはなんだけど、おもしろいです。

今日、いろんな方から4通の手紙をもらいました。それぞれありがとうございます。励まされています。たくさんの人たちからムリヤリ切り離されたおかげで、以前よりたくさんの人ともっと強くつながったこと、なんだか不思議に思います。

今日、午前中、検事調べありました。警察のデタラメについて厳重に抗議しました。検事はいちいち言い訳してて、たとえば「黙秘せずに話してくれれば」と言いました。私は、「これほどまでにハッキリとウソを書いて逮捕状を請求する警察に、話したことがちゃんとまともに扱われると思えるわけがないでしょう。証拠も証言も後から作れます。警察が恣意的に職権行使をすることがありうる、だから黙秘権が大切なのです」。
「検事は警察性善説に立っているのですか」と問い返しました。他にもいろいろやり取り。果たして今後どうなるか、見物です。

これから勾留理由開示裁判に行きます。久しぶりにみんなに会えるので楽しみです。

 これからどうなるかわからんけど、僕はとても元気です。全然心配いりません。外の闘いを頼みます。ガレキのことも頑張って。ガレキ問題についての文章も追って書こうと思います。

下地 真樹  2012.12.18



<勾留理由開示裁判にむけて>

2012.12.18のために、2012.12.15記す

今日きてくれた皆さん、ありがとう。本当にありがとう。
中に入ってわかったことがある。彼らは僕らのことを恐れている。本当だ。彼らは本当に僕たちのことを恐れている。どんどん激しくなる弾圧も、やけくそのような起訴も、必死になって僕らを抑圧し、分断しようとするのも、すべて彼らが僕らを恐れているからだ。

今日の勾留理由開示裁判は、完全勝利の日にしよう。一言も発することなく、誰一人退廷させられることなく、無言でいい。全力で裁判長をにらみつけてやってください。彼は、彼らは、僕らのことを恐れていますから。(でも騒いだ人がいても、僕は怒りません(笑)。人のこと言えませんし)

僕は、与えられた10分間に読む文章を準備しています。そこにすべてを叩きつけます。
他にも不当に逮捕・起訴されている仲間の分も、すべてを叩きつけます。

僕らは必ず勝利します。と言うより、すでに勝利しています。ウソをつく者は、ウソの中に生きるしかない、という意味で、すでに地獄に生きるしかないからです。僕らは自らが正しいと信じることに忠実に誠実に生きることにおいて、すでに勝利しているからです。彼ら自身の運命を決めるのは彼らです。それは彼らに決めてもらいましょう。同時に僕らは飽くことなく、現実を変えるための闘いを粛々と続けましょう。

下地 真樹