阿佐ヶ谷の古本屋「元我堂」ナンダ店長日記

下町とモダンが混在する町、阿佐ヶ谷。そこに妙に佇む一軒の古本屋「元我堂」を水曜店主ナンダが見たままに。そのままに。

白いTシャツ

2005-05-28 20:42:10 | てくてくと吐き出すところ
今日は来るべき夏に備えて真っ白軍団のTシャツたちを洗ってみた。

やっぱりTシャツといったら白、が気分。
白いものを着ているとどんな瞬間も気を抜けなくて結構大変なのだけど(こぼすから)
それでも夏にサラリと一枚で着るならやっぱりお日様に似合う白がいい。

さあさあ出番ですよ、という気持ちで洗って干す。

白はシンプルでかつ実はとても派手なんだね。

この間元我堂に来てくれたお客様の白いTシャツのイラストがすごくかっこ良くて、思わず
”それ、どこのTシャツですか”と聞いてしまいました。
ー”安斎肇先生のデザインだよ”
だって。

うあーーーー。
この訳わかんないデザインのゆるさ。白に映える大胆な色使い。まさに安斎先生(ソラミミストのね)っぽい。

つまりかっこいい。

ほしいなーと思って聞いてみると原宿でただいま個展中らしい。

あったあった。ラフォーレのLAPNETで「安斎肇個展」
でも、明日までだって。

あーん。無理だな。

でも行ける方是非どうぞ。ほんとにかっくいかった。
水色のごにょごにょしたやつ。


貸本屋のこと

2005-05-28 20:19:03 | 阿佐ヶ谷の小ネタ
阿佐ヶ谷に引っ越してきてまず驚いたのが飲み屋の多いこと。
その次がここ意外と新宿近いんだということ。
その次が貸本屋っていう存在のこと。

貸本屋って…!

こんな商売やっていけるもんなのかな、と思っていた。

最近の朝日新聞「東京欄」ではずっと”中央線の詩”というのが連載されていて、
今ちょうど阿佐ヶ谷の文士たちのこと。
先日貸本屋について載っていた。
なんと昭和31年には貸本屋が全国に3万軒あったとか。

これに対して普通の本屋は7千軒とな。

古本屋は…?


目線が上がらず

2005-05-27 23:29:34 | 元我堂店番日記
本日、読売新聞の記者の方が取材にいらっしゃるはずだったのですが、
ナンダが開店に遅刻したせいで受けられなかったー!

…。

申し訳ありません。てっきり夜遅くかと。(前回の日刊ゲンダイの件もあり)まさか開店直後だとは。
というのは世にも恐ろしい自己解釈の世界のことです。
5時開店なら5時開店しなくちゃらないのです。

あー。どうにも自分が嫌になるのはこういうときです。

どうしようもない、後悔。

やすさん、記者の方、店長各位、ごめんなさい。

友だちの彼女

2005-05-19 23:17:54 | 元我堂店番日記
というとちょっとエロい感じ。でもないか。

今週から”映画特集”の元我堂。
植草甚一本やなにやら貴重なパンフレットなどなど。
しかしまぁ昔のクラシック映画の女優さんは彫刻のよう。彫れそう。丸刀より三角刀が望ましい。
お客さんと話していたら、イングリッド・バーグマンの「カサブランカ」を貸してもらえることになった。
観たかったんだ。そういえば。
でも実際のカサブランカは全く良い思い出なし。
モロッコの都市の中でワーストかも。(滞在時間も10時間ぐらいだったけど)
ピザーラみたいなへんちくりんなペラペラピザとやたらと高いコーラを食しただけ。

大学の友だち来る。
バナナを一房くれた。しょうがないので一房全部食べたらちょっと気持ち悪い。猿じゃないっての。
彼女さんも、友だちの差し入れにバナナだけ持ってく彼氏でいいんだろうか。
でもどうやらいいみたい。良い雰囲気のお二人さん。
彼女が銀色夏生の詩集を選んでお支払い。

Tくん  ”いいよ、俺出すよ”
彼女さん ”えーいいよー。”
Tくん  ”いや、いいからいいから”
彼女さん ”えーほんといいよいいよ”
Tくん  ”いいんだ、いいんだって”

えーっと…。となぜかこっちが照れる。
くそぉ、Tったらあたしのときにはそんなの無かったわ。

でもオシャレな二人でうらやましい。

また来てね。

あ、そうそう。Tくんは元我堂図書券を使いにきてくれたのだった。1000円分ナリ。まいど。

最低で最高な古本屋?

2005-05-18 15:00:00 | 本や文章、本屋について
【今日の仕入れ本】

■「星の王子さま」サン=テグジュペリ(岩波少年文庫)400円

■「ムギと王さま」エリナー・ファージョン(岩波少年文庫)400円

■「グレイ・ラビットのおはなし」アリソン・アトリー(岩波少年文庫)400円

■「長い長いお医者さんの話」カレル・チャペック(岩波少年文庫)300円

■「ちいさいおうち」バージニア・リー・バートン(岩波の子どもの本)300円

■「くまくんのおともだち」EHミナリック さく/モーリス・センダック え 300円

■「椋鳥の夢」濱田廣介 1000円

■「いまはあき」ロイス・レンスキー 450円

■「ふゆがすき」ロイス・レンスキー 450円


■「地下鉄のザジ」レーモン・クノー(中公文庫)400円

■「ノックの音が」星新一(講談社文庫) 200円

■「はだか/谷川俊太郎詩集」佐野洋子/え 900円

■「ガラスの地球を救え」手塚治虫 700円

■「人魚の鱗 vol.1」松谷みよこ、川上弘美、今江祥智 他 700円

■「おやゆびひめ」(いわさきちひろ おはなしえほん) 700円

■「モモ」ミヒャエル・エンデ 1200円

■「小さな魔女」オトフリート・プロイスラー 700円


■「紙の絵本シリーズ BLUE TO BLUE」駒形克己 1200円

■「生活”照片雑文”」島尾伸三 2200円

■「月の本」林完次/写真 2500円

■「袋小路の男」絲山秋子 900円

■「神の子どもたちはみな踊る」村上春樹 800円

■「ファッションディレクターの言葉と心と夢」福田春美 600円

■「最低で最高の本屋」松浦弥太郎 初版 700円

■「ジプシー」ジュール・ブロック(白水社新書)600円

■「萩原朔太郎詩集」岩波文庫 500円

■「人の砂漠」沢木耕太郎(新潮文庫) 400円

■「ニューギニア高地人」本多勝一(朝日文庫) 200円

■「夏と花火と私の死体」乙一(集英社文庫) 300円

■「乳房」伊集院静(講談社文庫)250円

■「方丈記」鴨野長明(岩波文庫)200円

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なんとなく最近は好きな本を見つけると、自分で読んで感動して、大切にしまっておくというよりも、やっぱりそれはもっと他の誰かに読んでほしいという気持ちが強くなってきました。
だから、前みたいに手元に置いておきたいというのはそんなに無くなったかもしれない。
自分の本棚の本が増えてもあまり興奮しなくなってきた。あれれ。

私はこの本に出会っただけでもいいじゃない、と。
またどこかですぐに手に取れるわ、と。
記憶が残っていればいつだって再生可能なんだ。
(と言いながら先日の「月の本」はやっぱり手放せません。
でもやっぱり誰かにおすすめもしたいので自分のとは別に仕入れました)

だからというか、ほんとに好きな本、自身持っておすすめできるような本をどんどん仕入れていこうと思います。高価な貴重本じゃなくても、何度も読み返したくなるそんな本を。
いや、今までもその気持ちはあったのですが、今回ちょっと改めて決意。

でもたまに冒険もするかもしれない。(…え。)


そんなわけで今回の品出し本。
本棚からあーこれこれと引っ張り出してきたものがたくさんあります。

「人の砂漠」なんてこれまで何度仕入れたか分からないし、「萩原朔太郎詩集」や「乳房」はひっそりとした感動を求めている人に是非読んで欲しい名作だと思います。
「モモ」は平和を求めるエンデの強い想いを汲みながら、いや、汲まなくてもいいやこの際。最近忙しさで自分を見失いそうな人に。
トイレでちょこっと読み用に「ノックの音が」、「人魚の鱗 vol.1」あたりいかがでしょう。
「袋小路の男」はとても静かな純愛小説です。新刊書店でもたくさん売っていますが古本ならちょっとだけ安いです。でも中身は同じ。同じ良さがある。
本多勝一さんを読んで、ルポライターっていうのは文章力だけじゃないんだな、と実感したり。
さてさて休日には「ムギと王さま」や「グレイ・ラビットのおはなし」を日だまりで読んでみて、夜更かしするなら乙一、または「神の子どもたちはみな踊る」とビールを。ナンダは”アイロンのある風景”という短編が一番好きなのです。ま、それはいいのですが。
アラーキーが「センチメンタルな冬の旅」なら、谷川俊太郎さんは「はだか」で勝負。愛です。
島尾伸三さんの写真にも愛が詰まっていますが、さらに、写真に添えられた短い言葉にはセンスがあります。この「生活」は、目次からすごいです。


えーとキリが無いので終わります。

これだけ本が世の中に溢れていると、人一人が一生の間に出会える本なんて限られていて、
でもそこには色んなタイミングやチャンスが転がっていて、出会わない本と出会わないままでいるのも運命だし、そこでこの本手に取るかー!っていうのもそれもまた運命。

そんなようなことを「最低で最高の本屋」の中で松浦弥太郎さんが書いていたなどこだっけ、と今読み直していたら、ほとんど全部読んでしまって(しかも結局その箇所は見つからず。あれー?)再度感動してしまって売りたくなくなってきました。
この人の丁寧な姿勢はいいなあ。真剣にていねい。こだわりはあるけど執着はない。
常に前を向いているところ。新しいことを含め、前。 やっぱりすごいや。

で。とにかく本に出会うこと、出会わないこと。これはそんなに大げさな違いではないと。
そうそう。
ほんの少しのタイミングでこれはどうにでもなるものだから。
でも読むなら、せっかく手に取るなら、少しでもそこにストーリーがあったらいいな。
本棚の陳列の中からレジへ持っていくという単なる動作じゃなくて、どこで買ったか、どんな日に買ったか、どんな想いで買ったかという記憶が残ればいいな。

元我堂で本を買ってくれるお客様には、ほんの少しでも、元我堂で買ったんだこれという記憶が残ればいいなと思います。レシートという記録は無いのですが。

元我堂は店長がそれぞれのテンションで、そこに座ってお客様を迎えます。
お客様とできるだけ近い距離でいたい、時にはお客様に大切なことを教えてもらうこともあります。
日々勉強です。
そんなお店があってもいいんじゃないかなと思います。



ー自分のためになるってことは、そんなに大したことじゃない。
自分じゃない誰かに喜んでもらいたいと思ったときに、人はがんばれる。ー


これも弥太郎さんの言葉ですが、ほんとにそんな気持ちってあります。

できないことはそれはそれは果てしなくありますが、できることならきっと、できる。


。・。・。・。・。

そんな元我堂の地図は >>こちら






守るべきものを抱いて

2005-05-16 02:17:36 | てくてくと吐き出すところ
というテーマで綴られていくのはナンダのお気に入り、旅空というサイトの中のブログ、”素顔のアジア”というものなのだけど、このサイトの管理者でもあるフォトグラファーの三井さんは本当に人の素顔を撮るのがうまい。

特に美少女を撮るのがうまい。
人それぞれの一番美しいその瞬間をシャッターに収めるのがうまいと言うのかな。
ただでさえ、人を撮るのってその距離感の取り方が難しいのに。
ここには、この写真の中にはどんな空気が流れてるのだろう。
それが知りたい。


それにしても”守るべきものを抱いて”。
このテーマで出てくる写真はやっぱり子ども。赤ちゃん。

守るべきものがあるときの”人”って強くみえる。
そしてたぶん、本当に強いんだ。







10時半ちょっと過ぎ ただいまのオススメ ~元我堂から~

2005-05-11 22:47:34 | 元我堂店番日記
■「さわってごらん ひとの からだ」山本直英



写真絵本は好き。
うちの「このあの文庫」に置いてる本でもイーラの 「二ひきのこぐま」やマーシャ・ブラウンの「めであるく」など、
写真絵本はその写真を壊さないように優しく添えられた文章が音階を綴るようであたたかい。

でも、この本はストレート。写真も男の子と女の子がじゃれ合うのを眺めているだけでハッピーになってしまうのだけど、言葉が実に良い。
ああ…!と思う場面がたくさんあるのですよ。

思わずそうだよなー。そうだよなー。と相槌。

自分以外の誰かに改めて触れるってことがいつの頃からか特別なことになっていてそんな特別なことを特別な人にする(される)のって実はものすごいことなんだな。ものすごい嬉しいこと。

触りたい、って気持ちは ああなんて素直でいとおしいんだろう。

触れると温度が伝わってくる。触れているということは離れてはいないこと。
触れるということは何かを伝えたいこと。

そんなことだと思う。

最近人と触れ合ってないなぁとふと思った方にぜひ。
500円で販売中。

9時ちょっと前 ただいまのオススメ ~元我堂から~

2005-05-11 20:19:38 | 元我堂店番日記
■「バスルーム寓話」おかざき真理


かわいいお客さまMちゃんが店内の椅子に座ってむぅっと読み耽ること1時間。

読み終えて顔を上げると”ナンダさん、これ、ものすごい切ないんですよぉぉ”とそんなあなたが十分切ない顔になってる。

短編集の漫画。
特に最後の「拍手喝采ピエロ」が切なさ200%ということで読んでみた。


**********

うぼーーー。
とにかく誰かにすがりつきたいでもこちらを見て欲しいわけじゃない今だけただ今だけの…
そんな気持ち。

何も求めないでほしいと求められる。
そんな気持ち。

640円にて販売中。

バチストという古本屋さん

2005-05-11 01:33:10 | 本や文章、本屋について
なんかこの”阿佐ヶ谷の古本屋 元我堂のナンダ店長日記”は全然元我堂のことはおろか、最近じゃ古本のこともあんまり書いていないじゃないか、ということに気付いた。

なので、道で見かけた100%の女の子の後をちょっとだけつけたことをレポートするのは止めておいて(またの機会にぜひ)、ここはやっぱり今日非常に楽しかった”阿佐ヶ谷の古本屋 劇団バチスト”のことを。

元我堂通りのもちょっと駅寄りにそれはある。土日だけ空いてる古本屋さん。上に続く変な階段。

石ころ店長のところへ乙女話をしに寄った帰り、バチストが開いてた。
今日は平日なのにハテナ?と思って行ってみた。
足を運ぶのは何回目かだけど初めてオーナーさんがいて、なんだか優しそうで草食動物系でよろっとしていて好感が持てた。(こんなこと言っていいのかな。でも大丈夫。”え。ブログって何?”って言ってたから、ここはきっとバレない)
映画と演劇の帰り、というと全品10%引きだそうな。
というよりもそもそも値段なんてあってないようなもんだから安くしてと言ったら安くしてあげるんだって。すご。

日本一周をした話とか劇団員時代の話とかポール牧さんは実はとても誠実だという話とかふんふん聞いていたらあっと言う間に2時間ぐらいたってた。
いや、でも本も楽しいものがちゃんとずらりと揃ってたな。ぽつぽつでなくずらり。
狭いけど居心地も良くって。

欲しい本がたくさんあったけどなんとか2冊に選んで購入。
「月の本」と「日本亭主図鑑」。亭主の方は井上ひさしさんだけど、「月の本」は久しぶりにうわーうわーとヤラれた本。(そんなに古くないんだけどね)
装丁がかっこいい。そして内容も素敵。ハートくりぬかれました。
こういう本とのひょんな出会いがあるとたまらないったら。
今年のベスト10には入りそう。むひひ。
しかも。値引いてくださりました。
しかも。亭主はもらってしまいました。
しかも。「島の国の島」大庭みな子 もくれました。なぜか。
しかも。「島旅の楽しみ方」河田真智子 は借りてしまいました。高いから買わなくていい、貸すからって。
しかも。「三丁目の夕日シリーズ」西岸良平 も借りてしまいました。おすすめらしい。

古本屋っていいよね。

(元我堂もいいよ。コソコソ。)







長年のお付き合い その弐

2005-05-10 01:32:49 | てくてくと吐き出すところ
爪噛みも治らないなあ。
爪というか、ナンダの場合はささくれ噛みです。
ささくれでもなくて爪の際のところ噛みです。
電車の中や会話中、気が付くとむしむしやってます。だからいつも爪周りが赤い。

本人真剣なんだけど。やっぱりやめなきゃね。れでぃだからね。いちおう。