野球小僧

ロドリゴ・ロア・ドゥテルテ (Rodrigo Roa Duterte) フィリピン共和国大統領

先日、東京へ私用で行った際に、やけに多い警察官と検問。それとどこかで見たような国旗。そう、この日の夕方にフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領が来日する日だったのです。



さて、フィリピンはここ数年、経済成長率が年率6%前後でASEANでもトップクラスの発展をしています。しかし、インフラ整備が追い付かず、マニラではマイカー増加による慢性的な交通渋滞が市民を悩ませたり、国民生活では相変わらず富裕層が富を独占して格差解消が進まず、庶民は成長の果実を実感できていません。また、汚職や治安の問題も深刻となっています。

前大統領ベニグノ・アキノさんは、フィリピンの民主化の象徴だった元大統領コラソン・アキノさんの息子で、国民の絶大なる人気がありました。2010年の大統領選で圧勝したものの、この2年は治安悪化に伴い支持率が落ち込んでいました。2016年の大統領選では、アキノさんの後継候補でフィリピン第3共和国の初代大統領マヌエル・ロハスさんの孫のマヌエル・ロハスさん、上議院議員で有名俳優の養子であり、人生の大半を米国で過ごしていたグレース・ポーさん、前副大統領で元マカティ市長であり政治家一族であるものの、汚職で問題になってしまったジェジョマル・ビナイさん、上院議員で度々大統領選に出馬しており、アジアのノーベル賞と言われるマグサイサイ賞受賞者のサンティアゴさん、そしてロドリゴ・ドゥテルテさんが立候補していました。

前政権にとってはロハスさんでもポーさんのどちらかで良かった。それで、当初人気のあったビナイさんを汚職問題で潰したら、予想に反しドゥテルテさんが急浮上してきました。慌てて、ドゥテルテさんの隠し資産問題を暴露し、メディア対策を打ったものの効かず、候補統一にも失敗してしまい、前南部ダバオ市長のドゥテルテさんが同市を含むミンダナオ島で圧勝、ロハスさんがセブ島やパラワンなどを含む中部、ポーさんが首都圏郊外をそれぞれ分け合う結果になって、第16代大統領に当選しました。

ドゥテルテ大統領は検察官を10年間務めた後、南部の都市、ダバオの市長に転身しました。憲法の多選禁止規定のため、下院議員や副市長を挟みながら、市長を計7期、22年間も務めました。

1988年 ダバオ市長に選出され、1992年と1995年に改選、3期務める
1998年 ダバオ市初となる下院議員となり、2001年まで務める
2001年 再びダバオ市長に立候補して当選し、2004年と2007年に改選され3期、合計で市長職を6期務める
2010年 改選では自身は立候補せず、娘のサラ・ドゥテルテさんが立候補し当選、本人は副市長となった
2013年 市長選挙で再び出馬し当選、7期目の市長を務める

フィリピンといえば治安の悪さで有名ですが、ドゥテルテ大統領はダバオ市長時代に海賊やイスラム過激派の跋扈する地から「東南アジアで最も治安の良い都市」と言われるほどに育て上げました。「市内全域の時速30キロ制限の実施」や「公共の場での喫煙の禁止」「バーは深夜1時まで」という常識的な施策から、私警団、デス・スクワットを組織し、犯罪に手を染める輩を一掃するという、その手法は他の追従を受け付けない独特かつ強引なものでした。まるで、米国映画の「ダーティー・ハリー」です。「Go ahead, make my day」。

「私が大統領になれば、国民を不幸にする人間を皆殺しにする。(処刑される)人数は5万人、10万人に増え、(遺体の遺棄で)マニラ湾の魚は肥え太るだろう」などと過激な発言が目立っていましたが、政策のプライオリティは「農業、教育、健康」であり、お米に関しては自給自足だけではなく、輸出を積極的に行っていくこと、地方の中小企業の支援や出稼ぎで海外で働いているフィリピン人の呼び戻し政策なども念頭に入れていて、地に足をおいた政策で国民には圧倒的な人気があり、支持率は8~9割もあるそうです。

ダバオ市長時代には家族旅行で日本に来たそうです。戦後日本の経済協力を評価し、「私は安倍晋三首相のファンだ」と公言するなど、大の親日家と言われています。
日本へ来る前には中華人民共和国を訪問し、南シナ海の領有問題に関するオランダ・ハーグの仲裁裁判所による裁定の棚上げを示唆し、多額の経済援助を取り付けました。中国での演説では「米国との経済、軍事上の決別」を宣言しており、「米国依存からの決別」が真意と説明しています。ただ、フィリピンは自国の領土・領海を守るために中国との領海問題についてハーグ裁定を求めたはずです。目先のお金で転んだのだとしたら情けない。

10月26日の岸田文雄外相との夕食会では、好物の和食と日本酒でもてなされ、「フィリピン国民は心から日本に感謝している。必ず恩返ししたい」と話しました。さらに、「よかったら来月も日本に呼んでくれ」と語るなど、ご機嫌であり、注目されていた発言は大人しいものでした。また、帰国時の飛行機の中でお告げがあったらしく、以降は悪態をつかないとの発言でしたが、舌の根も乾かないうちに、また一言。

正直言って、日本の一般庶民である私には、ドゥテルテ大統領の考えは判りません。まあ、自国の首相の考えも判らないのですから、それはしょうがないかも知れませんけど。

でも、ドゥテルテ大統領の最大の政策課題である麻薬撲滅運動は一貫しています。その手段について米国や欧州連合、国連などから批判されても、自分の主義主張を一切変えません。オバマ米大統領には「売春婦の息子」、国連の潘基文事務総長には「バカ者」、EU首脳には「偽善者」、そして悪態復帰後の一言「このサルどもは、われわれが買おうとしていた銃をもう売りたくないのだそうだ。ばかげている」と米国機関へ向けて容赦なく投げつけます。

フィリピンには300万~400万人といわれる麻薬中毒者がおり、ドゥテルテ大統領は「麻薬を撲滅しなければ国が亡ぶ」という危機感を持っているそうです。フィリピン国民には暗殺も覚悟して戦う英雄に思えるのかも知れません。

奇しくもお隣の国の大統領は自己利益のために行動してしまい、現在は厳しい立場となっています。
ドゥテルテ大統領は外野の声に惑わされず、国益のため忠実に行動する姿勢を変えない限り、フィリピン国民からの支持は変わらないことでしょう。そして、その政策の評価についてはフィリピン国民がこれからの未来を考え、歴史が決めてくれるでしょう。

言動と手法は別として、多くの政治家が見習うべきなのかも知れません。

コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
私の用事ですか? ロッテ球団職員への応募じゃないですから。

大丈夫です。”ロド”、”クロ”と呼び合う仲になるかも知れませんから。

すべてを肯定できるわけではないですが、まだまだ治安が安定していない国では、こうするしかないのかも知れませんが。

私ですが、決してロッテ球団職員への応募じゃないですからね。
eco坊主
おはようございます(*Ü*)ノ"☀

ドゥテルテ大統領できましたかぁ~
大丈夫ですか?
こんなブログ書いてドゥテルテ大統領の口撃を受けませんか?

確かに目的や目標は素晴らしいと思います。
が、然し方法や発言は・・・やはり疑問符です。
私はフィリピンの大統領のことはよく知りませんでしたが
今回の中国訪問と演説(米離れ)で知りました。
それが彼の認知を高める手法だとしたら・・やられました。

でも一番知りたいのはまっくろくろすけさんの私用ですけど・・
まさか、某社にFA宣言?(´Д`;)
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