明日から大相撲初場所が早くも始まります。昨年末の大相撲11月場所は横綱白鵬関が優勝40回の前人未到の大台に乗せて、なんとなく幕を閉じました。しかし、土俵上ではなく、プロレスさながらの場外乱闘の方が世間の注目を集めることになってしまいました。
とりあえず、当事者の一方の横綱が引退することになりましたが、親方の処分問題、横綱の取り口問題、さらには行司のセクハラ問題などとどこまで問題は一向に収まる気配は見当たりません。まだまだ何かありそうな気配が漂っています。
ところで今回の騒動で、ひょんなことで高校相撲の名門校の名前が報じられることになってしまいました。それは鳥取・鳥取城北高です。
今回のゴタゴタのおさらいから・・・貴乃花親方は弟子に戦う相手である他の部屋の力士と必要以上に親しくなることを禁じています。しかし、この時は鳥取巡業ということもあって貴ノ岩関は母校である鳥取城北高相撲部の集まりに呼ばれ、「それならいいだろう」と貴乃花親方は出席を許したそうです。鳥取城北高OBには関脇・照ノ富士関や大器の逸ノ城関、小兵ながら抜群の身体能力で関取になった石浦関などの現役力士がいます。対戦相手ではあるものの、同窓の仲間の集まりなら、と貴乃花親方は許したのです。
ところが、そこになぜか同校OBではない横綱・日馬富士関、白鵬関、鶴竜関のモンゴル出身の3横綱がいたことから、話はややこしくなります・・・長くなりそうなので、続きは「ミヤネ屋」でご確認くださいませ。
さてさて、高校野球では参加することに意義がある的に思われている鳥取県の高校スポーツですが、高校相撲ではど真ん中に君臨しています。年6回行われる全国大会で、鳥取城北高はどの大会でも上位に進出し、最も重要な大会である8月の全国高校相撲選手権では今年、団体戦で準優勝し、個人戦ではモンゴル人留学生アマルサナー選手が優勝しました。ちなみにアマルサナー選手と決勝を戦ったのは、元横綱・朝青龍の甥の日体大柏高のビャンバスレン選手です。
高校相撲の全国大会
•全国選抜高校相撲弘前大会(2月)
•高校相撲金沢大会(5月)
•全国高校相撲選手権大会(7月)
•選抜高校相撲十和田大会(8月)
•選抜高校相撲宇佐大会(9月)
•国民体育大会相撲競技会(10月)
高校野球ではプロ野球選手を毎年のように数多く輩出する名門校があるように、高校相撲にも大相撲力士を次々と排出している強豪校があります。
鳥取城北高は現役力士では先ほどの4人の人気力士に加え、十両力士の山口関と5人の関取がいます。2010年まで大関として活躍した琴光喜さんはOBです。2011年には6つの全国大会の団体と個人戦のすべてを優勝するという圧巻の成績でした。しかし、昔から強かった訳ではなく、1985年に創部しましたが、指揮を執る石浦外喜義監督は「当初は土俵すらない状態からのスタートだった。15年ほど前から外国人留学生も採用し、OBには現在でも各界で活躍している照ノ富士や逸ノ城がいるのだが、彼らも最初から強かったわけではなく、特に逸ノ城は女子部員にも土をつけられてしまう」というほどだと言っています。石浦監督の熱心な指導のもと、彼らは成長し、全国屈指の相撲部にまで成長して行きました。指導の秘訣は”厳しさ”と”理詰め”だ。もちろん稽古中は厳しく、基礎から徹底的に教え込み、その一方で単純な根性論ではなく、なぜその組み方がいけないのかなどをしっかりと説明しながら指導をするという、体と頭、両方で理解するのが鳥取城北高の相撲なのです。
少し前まで全国大会で強さを誇ったのは東京・明大中野高でした。1980年代には全国選手権で4連覇を含む5回の優勝を果たし、OB力士としては貴乃花親方(中等部卒で角界入り)、その兄で第66代横綱・若乃花の花田虎上さん(高等部中退で角界入り)、元大関・栃東さんなどがいます。ただ最近は全国大会で好成績を残すことはできていません。
明大中野高とともに古豪で、現在も強さを維持しているのが、石川・金沢市立工業高と熊本・熊本農業高です。金沢市立工業高は全国選手権で1989年に初優勝、2014年には25年ぶり2度目の優勝を果たしています。OBには元大関・出島さん、元関脇・玉乃島さんらがいます。熊本農業高は1995年に全国制覇をして以来、優勝からは遠ざかっていますが、強豪として大相撲力士を輩出しています。主なOBには元小結・智ノ花さん、現役では関脇・正代関です。伝統高としては青森・弘前実業高(OBには第49代横綱・栃ノ海さん、元小結・岩木山さんと高見盛さん)、青森・三本木農業高(OBに小結・阿武咲関)、兵庫・報徳学園高(OBに栃乃若関)、長崎・諫早農業高(OBに元小結・両国さん)などです。
一方の新興勢力高校として、名前が挙がるのが高知・明徳義塾高、埼玉・埼玉栄高、石川・金沢学院高と鳥取城北高です。
明徳義塾高は、第68代横綱・朝青龍さんの出身校で一躍有名となったように、いち早くモンゴルからの留学生を受け入れたことで全国区の強豪になりました。OBには朝青龍さんのほかに、元関脇・朝赤龍さん、現役では大関・琴奨菊関、関脇・栃煌山関、徳勝龍関、東龍関、大翔丸関(明徳義塾中)らの関取がいます。
埼玉栄高は純国産路線です。日本全国から有望な素材を集めて鍛えることで実力を上げてきました。輩出した大相撲力士は35人という一大勢力です。現役では大関・豪栄道関をはじめ、成長著しく有望な貴景勝関、妙義龍関、大栄翔関、北勝富士関、元関取では関脇・追風海さん、小結・豊真将さん、栃栄さん、清瀬海さんらがいます。
金沢学院高は5月に高校相撲の全国大会が開かれる「相撲どころ」金沢で、名門市立金沢工業高の対抗勢力として力をつけてきました。OBには人気の遠藤関や大翔丸関らがいます。今年の全国選手権では優勝しており、今一番勢いのある高校相撲部とのことです。
最近の全国高校相撲選手権では金沢学院高、鳥取城北高、埼玉栄高、明徳義塾高、市立金沢工業高、三本木農業高などが上位を競っている状況です。
そうなのです。高校野球が強くなくてもいいじゃありませんか。鳥取には高校相撲があるのです。