康太の言葉に、美帆が驚きました。
「て、事は‐、星河さんが捕まって、円山さんが亡くなって、次の年にこのアイドルが引退して、私達が生まれた?なんか短期間に集中してるよね。」
「ちょっと、待て。薬物所持で捕まったの、まだ誰か分かんないだろ。」
晴海が反論しました。
「星河ってヤツで合ってるよ。」
と康太が言いました。
「……新聞記事の切り抜き見て思い出した。このホテルの写真を宮子の家でみた時は知らなかったけど、その後で、同じ高校だったヤツに名前を聞いた。珍しい名字だから、覚えてる。」
晴海が聞きました。
「おばさん、新聞見てて、記事の写真の顔に気付いたのかな?で、念のために切り抜きを取って置いた。」
「…そうだな。そうかも知れない…。
でも、宮子がどうしてそうしたのかは、正確には分からない…。
その時はまだ結婚式の前で、宮子と美帆は実家にいたから…。」
何となく複雑そうな康太の表情を見て、美帆が言いました。
「あのね、お母さんが言ってたけど、写真の事、お父さんに言わなくなったのは、お父さんの事が…。」
「分かってるから、大丈夫だよ。」
康太は美帆に言いました。
「宮子も少し不審に思う所があったんだろうな。今の君たちみたいに。だから、写真と記事を遺した。」
「でもさー、結局わかんないよな。」
晴海が言いました。
「え?何が?」
美帆が聞きます。
「殺人の動機、もし只の事故じゃない場合。」
晴海が答えました。
「えー何だろう?何かマズイものを写したから?」
「まあ、それはあるかも。口封じってヤツ?月森ひじり以外、誰か写ってるかな?」
三人はもう一度じっくり写真を見ました。
「月森ひじりはこの後、誰かと会う予定だったのかな?でも、相手は写ってなさそう。」
と晴海。
「後ろの方に写ってる人達は?」
と美帆。
「こっちのグループは外国人かな?こっちのグループは日本人?残念だけど、この写真じゃ、顔ははっきりとは分からないな。」
と康太。
「だね…。」
結局、月森ひじりがロビーにいて、円山陸と星河勲夫が自分たちを写しながら、一緒に彼女を写していた以外の事は分かりませんでした。
「おじさん、この写真どうしたらいい?」
晴海が康太に尋ねました。
「どうしたもんかな…。フィルムも新聞記事も一緒に預かろうか?一応宮子の形見みたいなもんだから。」
と康太。
「元あった引き出しに閉まって置いたら?」と美帆が言いました。
「文代さん…お義母さんは知らないから。」
「そうだなー…。その方がいいのかも。」
康太が言いました。
「じゃ、三人だけの秘密だね。」
美帆がいたずらっぽく言いました。
美帆と康太は美帆と晴海の高校の事を話し始めました。
「でね、こんな事があってー…。」
でも、晴海は少し浮かない顔で考え事をしてました。
(何かまだありそうなんだよなー。まあ、ミステリーファンの勘なんだけどね。)
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