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比較芸術文化論

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「資生堂アートハウス」という野外彫刻の外部経済波及効果

2013-02-10 15:03:45 | アート・文化
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<資生堂アートハウス外観>

Photo
<青木野枝>

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<青木野枝>

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<鷲見和紀郎>

◆典型的なアートメセナである。天下の資生堂、瀟洒な建築もさることながら、かつて同社の図案家だった小村雪岱をはじめ、林武、李禹煥、青木野枝まで、日本の近現代美術の外延をそつなくなぞった小気味良いコレクションを擁している。隣接する資生堂企業資料館とともに、良く手入れされた芝生を含む起伏に富んだ敷地全体が、周囲の茶畑の多いなだらかな丘陵地帯を借景とするかのように、アート施設がさながらひとつの野外彫刻のようである。(イサムノグチの札幌・「モエレ沼公園」を思い出した。)入館無料ということもあるのだろうか、決して麗らかな季節ではないにも関わらず来館者はそれなりに(小一時間で十数名ほど)見受けられた。ただ、掛川の駅や街から少し離れており、幾分かツンと澄ました余所余所しい相貌ものぞかせている。しかも、同館のパンフレットやフライヤー(ちらし)のアクセス地図が自動車での来訪者しか想定しておらず、小生のように掛川駅から徒歩で行く場合の最短経路の図示がない。スマホを持っていないので大回りをしてしまい、1時間弱のちょっとしたハイキングとなってしまった。(最短距離では30分弱)
◆ところで、そもそも資生堂ほど、純粋美術(ハイアート)の外部経済の恩恵に浴している企業もなかろう。化粧品としての商品の中身もさることながら、その瓶や容器のデザイン、あるいはコマーシャルから醸成されるその企業イメージを消費者は対価を払って購入していると言っては言い過ぎだろうか。ただ、それを深く自覚しているからこそ、こうした積極的なメセナ活動があるのだと思う。同社は東京銀座にも「資生堂ギャラリー」を擁し、若手最先端の美術家の企画展を催している。この掛川の施設はそうした企画展から輩出された作品のコレクション用収蔵庫としての役目もあるのだろうと思うが、地元に対して更に開かれたアート施設となって、今度は外部経済効果を地元に対して波及させる側になることを望みたい。
(Field work notes:「版画・パステル・水彩 資生堂アートハウスコレクションから」資生堂アートハウス(静岡県掛川市) 2013年2月3日(日))




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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-03-17 20:17:30
私のほしかった情報が得られました‼ありがとうございます。
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