<駒止茶屋手前の急坂:登山客が続く>
酷暑の登山道を登る:丹沢:塔ノ岳(今年36回目)
(単独山行)
2009年8月9日(日)
■なま暖かい朝の空気
梅雨はとっくに明けたはずなのに,相変わらずハッキリしない天気が続く.そんな中,台風9号が発生し,西日本に大雨が降り始めたようである.
夏休みに入って,このところ孫達が頻繁に我が家を訪れてくる.そうなると,山行よりは,孫達のお相手をしている方が,どうしても楽しいので,山行はお留守になる.そうこうしているうちに,いろいろなお仲間の鎌倉案内の予定があったりして,ますます山行から遠ざかる.
そうこうしているうちに,前回,塔ノ岳を往復してから,1週間も間を空けてしまった.
幸いなことに,今日(8月9日)は,どうやら雨にはならないようである.私は意を決して塔ノ岳を往復することにする.
連泊している孫達を起こさないように,5時10分,そっと家を出発する.まだ早朝だというのに,外の空気がなま暖かく,じめじめした感じがする.モノレールの駅へ急ぐが,何となく足が重いような気がする.今日はあまり調子が良くないなと予感する.
■ネコが出迎える
今日は日曜日.こんな暑い最中なのに,渋沢発大倉行の1番バスは,数名の立ち席が出るほど混雑している.例によって,韋駄天のTさん,私より1歳年上のK女史などご常連が数名乗車している.
バスは7時02分に大倉に到着する.韋駄天のTさん他,ご常連はそそくさと歩き出す.
私は,どんぐり山荘の待合室に入って,半ズボンに履き替えたり,ストレッチ体操をしている内に,瞬く間に5分,10分と出発が遅れる.そうこうしている内に,2番バスが,大倉に到着してしまう.
7時13分,2番バスの先頭グループと一緒に歩き出す.足元で,可愛いネコが私の方をじっと眺めている.私がカメラを構えると,ネコも興味深そうに見上げる.
■体調が悪い
大倉から,ほんの50メートルほど歩いたところで,今日は極端に足が重いことを実感する.やはり,1週間のブランクが利いているようである.
無風である.湿度も高い.極々普通の速度で歩いているのに,絶えず汗が吹き出てくる.手元の温度計は+28℃になっている.
「こりゃ~ぁ・・ダメだな・・」
私は,塔ノ岳山頂まで無事に往復することだけを考えて,登ることにする.
登山口辺りで,同じバスに乗り合わせた方々の集団に追いつく.平素見かけない方々である.私がいくら体が重いといっても,たまにしか登山をしない方々に比較すれば,多少なりとも速く歩けるのは自明のこと.「スミマセン」と声を掛けながら,次々に追い越させていただく.
7時49分,雑事場ノ平を通過する.ここまで来れば,尾根越に少しは風が吹いているだろうと期待していたが,今日はまったく無風のまま.参ったなと思いながら,7時51分に見晴茶屋に到着する.もう茶屋のベンチには沢山の登山客が休憩を取っている.
茶屋を過ぎて,一本松への急坂にさしかかる頃,2番バスで来られたご常連のNさんに追いつかれる.私を見つけて,
「あれ,どうしたんですか・・・」
と驚かれる.
「もたもたしている内に,2番バスの皆さんと一緒になっちゃいましたよ・・」
■雲に覆われて富士山は見えない
一本松を過ぎる頃から,少し体が馴れてきたのか,何となく楽に歩けるようになる.平坦な尾根道に入ってから,少し歩行ピッチをあげてみる.後ろを振り返ると,いつの間にかNさんの姿が見えなくなっている.
やがて,駒止茶屋手前の階段道にさしかかる.何人もの方が,殆ど止まってしまいそうな速度で登っている.
8時18分に駒止茶屋を通過する.大倉を歩き出してから1時間05分経過している.体調が悪いなと思いながら登っているにしては,それほど遅い訳でもなさそうである.
やがて,堀山の尾根にさしかかる.雨こそ降らないが,上空には雲が立ちこめていて,富士山はおろか,近場の山も濃い霧に覆われていて,視界は殆ど利かない.風もまったくないので,相変わらず蒸し暑い.
<残念ながら富士山は見えない>
■盛況な堀山の家
8時36分,堀山の家に到着する.小草平のベンチでは,沢山の登山客が休憩を取っている.ご常連のK女史が,小屋の方と大声で話をしている.
「Kさん,随分,速いですね・・」
というと,小屋の方が,
「Kさんは,何時もこの時間には,ここまで登ってこられますよ・・」
と私に説明する.
私はそのまま堀山の家を通過する.1週間振りの山行なので,下山時の体力温存を考えて,意識的に登攀速度を抑えて,ゆっくりと登り続ける.
■萱場平
長い急な上り階段で,男性に追い抜かれる.大分,「はあ,はあ」しながら,無理をしているように見えるが人それぞれ.
8時55分に萱場平を通過する.萱場平には霧が立ちこめている.相変わらず暑い.
先ほど私を追い越していった男性が,ベンチに座り込んでいる.
■韋駄天のTさん,早々と下山
引き続き長い上り坂が続く.やはり,体力が落ちている.私は無理をしないように,自分に絶えず言い聞かせながら,登り続ける.
花立山荘手前の長い上り階段で,また,先ほどの男性に追い抜かれる.あいかわらず「はあ,はあ」と荒い息をしている.
9時17分,ようやく花立山荘に到着する.先ほど私を追い抜いた男性が,ベンチで横になっている.この男性を見ながら,私もかつてはあんな登り方をしていたなと懐かしく思い出す.
疲労が貯まりだしたのか,ピッチがあがらない,
8時22分,韋駄天のTさんとすれ違う.Tさんは,
「今日は,蒸し暑いですね・・・」
と言いながら,快調な足取りで下っていく.凄い!!
■シカと出会う
9時27分,花立場を通過する.花立山荘から10分も掛かっている.
登山道脇の茂みで,シカが盛んに草を食べている.どうやらお腹が大きくなっているようである.
花立山荘を通過してからは,絶えず微風が吹いているので,大分凌ぎやすい.
9時32分に金冷シを通過する.そして,ますます歩行速度が遅くなり,9時47分,漸く,塔ノ岳山頂に到着する.
大倉から塔ノ岳山頂までの所要時間は,実に2時間34分.最悪,最低の記録である.
「もう少し,継続的に山行をしなければダメだよ」
と自分に言い聞かせる.
■尊仏山荘のノンビリネコ
尊仏山荘に入る.今日の小屋番はオーナーのHさんと,ネコのOさん.
早速,300円也のお茶を所望する.
私は,今朝,購入した『神奈川新聞』をHさんにお渡しする.新聞に掲載されていた「富士山登頂666回の66歳の男性」「北アルプス南岳でツアー登山中の男性が急死」などの記事が話題になる.
やがて,Nさんが小屋に到着する.Nさんが,
「・・堀山の家辺りで,急に速くなったでしょう・・・後ろ姿が見えなくなっちゃいましたよ・・・」
私はそうだったかなと思い出す.
そうこうしている内に,2階から営業部長がトコトコと降りてくる.そして,バケツに顔を突っ込んで,水をピシャピシャと飲み始める.
「やあ,元気かな?」
私はネコを相手に,まるで人間を相手にするように話しかける.ネコはうさんくさそうにそっぽを向く.
やがて,K女史も山荘に到着する.山荘は一段と賑やかになる.
K女史から糠漬けのキュウリを頂戴する.年季の入ったぬか床らしく美味しい.
■良く知らない方から声を掛けられる
私は,大倉発12時40分のバスに乗りたいなと思う.下りには2時間10分程度の時間を掛けたいので,余裕を見て,10時17分に山荘を出発,下山を開始する.
あんまりゆっくり下山していたので,途中でK女史に追いつかれてしまう.
下山途中,金冷シ付近で,同じバスに乗っていた茅ヶ崎の女性とすれ違う.
花立山荘付近で,女性から,
「さきほど,ドングリ山荘で準備をしていた方でしょう.もう下山ですか?」
と話しかけられる.私より速く歩く人,遅い人,さまざまだなと思う.
堀山の家近くで,見知らぬ男性から,
「やあ,今日は・・相変わらず週に2~3回登って居られるんですか」
私は面食らう.
「いえ・・せいぜい1~2回ですよ」
と返事をするが,
「さて,この方,誰だろう・・・」
物覚えの悪い私には思い出せない.
<K女史に追いつかれる>
<チャンピョンとすれ違う:萱場平付近>
[ラップタイム]
7:13 大倉歩き出し
7:34 観音茶屋
7:51 見晴茶屋
8:18 駒止茶屋
8:36 堀山の家
9:17 花立山荘
9:32 金冷シ
9:47 塔ノ岳山頂 着
=============================================
10:17 塔ノ岳山頂 発(+19.6℃)
10:32 金冷シ
10:46 花立山荘
11:19 堀山の家
11:35 駒止茶屋
11:59 見晴茶屋
12:11 観音茶屋
12:29 大倉 着
[山行記録]
■水平歩行距離 7.0km(片道)
■累積登攀下降高度 1201m
■登攀所要時間
大倉 発 7:13
塔ノ岳山頂着 9:47
(所要時間) 2時間34分(2.57h)
登攀速度 1201m/2.5=467.3m/h
■下降所要時間
塔ノ岳山頂発 10:17
大倉 着 12:29
(所要時間) 2時間12分(2.20h)
下降速度 1201m/2.20h=594.6m/h
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/4e582bc529a1922e25c37fe1afa0ae5c
「丹沢の山旅」の次回の記事
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