中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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春たけなわの丹沢:霧と泥濘の塔ノ岳(今年9回目)

2010年03月04日 11時34分03秒 | 丹沢の山旅
                    <湧き上がる雲:堀山の尾根>

       春たけなわの丹沢:霧と泥んこの塔ノ岳(今年9回目)
              (単独山行)
           2010年3月3日(水)

■さあ,気晴らしに山へ行くぞ
 毎回愚痴で始まるのは宜しくないが,このところ,余りよい天気に恵まれなくて残念である.明日からの予報を見ると,この先,1週間ほどは芳しい天気の日はなさそうである.もし,塔ノ岳に登るとすれば,今日を置いて,天気が良い日は当分なさそうである.
 実のところ,ここ数週間,私はある講習会を受講していた.それも講習会の内容を勘違いしていた私は,親切に面倒を見てくれた講師の方々には大変感謝しているが,講義当初から,内容は自分には全く興味のない世界のことばかりだったので,内心イライラがつのるばかりであった.
 「こんなはずじゃなかった・・・なんでこんなことを覚え込んでいるんだろう・・」
結果的には疲労困憊,テスト結果も不出来であった.私は,心の中で,
 「こんな世界には二度と足を踏み込まないぞ・・」
と思っている・・・が,時間が経過すると,また,気分が変わるかもしれない.そこが,私の長所でも欠点でもある.
 さあ,山へ行くぞ! 私は,胸の中に込み上げてくる嬉しさを押さえ込むようにして.大船5 時44分発東海道本線小田原行に乗車する.
 天気予報では,今日は朝7時頃までは曇.一旦,晴れ間も出るがまた曇,午後から晴ということである.
 「雨さえ降らなければ,結構,結構!・・」
 私は数日ぶりの塔ノ岳詣でが嬉しくて仕方がない.

<霧の登山道>

■霧深い登山道
 渋沢発大倉行1番バスには,10名ばかりの登山客が乗車している.韋駄天のTさん,三角ひげのTさん他,韋駄天組は勢揃いしている.これらの方々は2時間前後で,塔ノ岳山頂まで登ってしまう.私から見たら雲の上の存在である.
 辺り一面には濃い霧が立ちこめている.バスの中から,辺りの風景を見ていると,登山途中で雨に降られるのではないかと心配になってくる.
 7時少し前にバスは大倉に到着する.韋駄天組の皆さんは,競い合うように,すぐに歩き出す.例によって,私は何となくモタモタ.どうやら今日の気温は高そうである.私は,前回と同じようにクイックドライの半袖シャツの上に,薄手のポリエステル製の長袖シャツを着ただけの薄着になる.ジッとしていると少し寒いが,歩き出せばこれで十分だと判断する.
 そして,私としては精一杯の早さで,7時04分に大倉を歩き出す.
 辺りは濃い霧に覆われている.真っ白の霧の中に杉の木立が影絵のように生えている.
 歩き始めてすぐに,今日も身体が重いことに気がつく.
 「やっぱり,運動不足だな・・なんて重いんだろう・・」
 私は自分の不甲斐なさにイラつくが,歩き始めの30分ほどは無理をしないでユックリあるこうと自分に言い聞かせる.
 登山口を経由して,いよいよ登山道に入る.
 両側の杉木立に霧が掛かっている.ほんの数メートル先の登山道が霧に隠れて全く見えない.

<湧き上がる雲>

■湧き上がる雲
 7時26分に観音茶屋を通過する.すでに何時もより2分ほど余計に時間が掛かっている.
 登るほどに,朝霧の上に出たらしくて,辺りが明るくなってくる.それと同時に足下の泥んこが次第にひどくなり始める.
 雑事場ノ平手前のトラバース道に差し掛かる.谷を挟んで向こう側に三ノ塔の尾根が見えている.谷筋から真っ白な雲が湧き上がっている.私は思わず足を止めて,湧き上がる雲の風景に見とれる.


■富士山は見えない
 8時12分,ようやく駒止茶屋を通過する.歩き出してからすでに1時間08も経過している.私としては受け入れがたい遅い記録だが,この年だから無理をしてはいけないと,無理矢理自分に言い聞かせる.
 登山道はますます泥濘がひどくなる.ぬるぬるする泥で,一歩一歩ごとに,足を取られる.しかし,歩き出しをセーブしたこともあって,いつの間にか体調はきわめて良くなっている.それと同時に,とても楽しい気分になってくる.泥んこに悩まされながらも,駒止茶屋から17分で堀山の家に到着する.相変わらず,富士山は見えないし,辺りは不気味なほどに静まりかえっている.

■どうして今日も山へ登るの?
 堀山の家を通過して,長い急勾配の上り坂に差し掛かる.私の前後には誰も居ない.静まりかえった坂道を淡々と登り続ける.登りながらいろいろなことが脳裏に去来する.
 「何で,おまえ,今日,山に登っているんだ・・?」
 心の中の意地悪な私が,この表の私に問いかける.
 「何でって?・・・困ったな.何でだろう?」
 実のところ,私には自分が何で山に登っているのか,心の奥底の理由は,自分でも分からない.ましてや“そこに山があるからさ”なんて,気障な理由は付けたくない.そのうちに,心の中の私が,
 「山へ登っていれば楽しいんだろう.嬉しいんだろう・・それで良いじゃないか」
 「なるほど!」
 確かに,登っている最中は,シンドイ.でも,それがまた,言いようもなく楽しいのだ.今,こうして登っている瞬間でも,身体は汗ばんでいるし,足も疲れてくる・・・でも,何だろう? とにかく嬉しくて,楽しいんだ.
 目の前の坂道,冬枯れの木立の間から見える遠くの峰々,風の音,小鳥たちの囀り,ときどき火照った頬を撫でるように通り過ぎる風,どれをとっても楽しいものばかりだ・・
 「ああ,山にきて良かったな~ぁ・・」

■意外に乾いている萱場平
 8時45分,萱場平を通過する.霧はすっかり消えている.多分,雲の上に出たのだろう.上空には厚い雲が垂れ込めている.
 最近作られた立派な木道が萱場平を横切っている.
 春先になると,何時もこの辺りの泥んこで悩まされるが,今日は意外に良く乾いている.
 

■花立山荘
 やがて,“あと7分”の坂まで到着する.
 「この坂さえ登れば,山頂は間近だ・・ミー君は何をしているかな・・」
 この長い坂を見上げてしまうと,あまりの長さに絶望するので,なるべく足下ばかり見ながら,ひたすら登り続ける.途中で,いつの間にか近付いてきた若い男性に追い抜かれる.
 9時11分,花立山荘を通過する.人気がなくてひっそりとしている.富士山も見えないので,そのまま通過する.
 山荘の先で,登山道の整備工事が進んでいる.作業員に,
 「ご苦労様です・・」
と挨拶して通過する.
 9時21分,花立場(花立山)を通過する.眼下に雲海が広がっている.先ほどの霧は,この雲海の中だったことが良く分かる.
 ユックリと歩いている女性を追い抜く.




■塔ノ岳山頂
 金冷シ直前で,韋駄天のTさんと三角髭のTさんとすれ違う.多少私の方が遅く歩き出したとはいえ,同じバスに乗っていたのに,これだけ速さが違うのだから恐れ入る.
 「今日は何も見えませんね・・残念ですね・・」
と一言二言,挨拶をする.
 その後,お二人は,先ほど私が追い越した女性と,また立ち話をしている.ということは,この女性もご常連さんなのかもしれない.
 9時26分,金冷シを通過する.先週はこの辺りからものすごい泥んこ道だったが,今日は意外に乾いている.先週まであった残雪も綺麗になくなっている.次から次に下ってくる韋駄天組の皆さんとすれ違う.
 9時40分,ようやく塔ノ岳山頂に到着する.大倉からの所要時間は,実に2時間36分.
 “遅い! だめだな~ぁ・・・”
 天を仰いでため息をつきたくなるが,一方では,
 “まあ,おまえさんも年だから,こんなところで我慢しなさい.多くを望まないようにしなさい”
という天の声を聞こえてくる.

<韋駄天さんが下る> 

■尊仏山荘
 頂上で儀式の写真を数枚撮ってから尊仏山荘に入る.
 今日の小屋番はオーナーのHさん.辺りを見回すがミー君の姿がない.Hさんではミー君を呼んでもらうわけにもいかない.今日は,ミー君と会うのを諦める.
 山頂の気温は0.0℃.春とはいえ,まだまだ山は寒い.
 300円のお茶を所望する.先客は3~4人,皆,ご常連である.半時ほどの間,皆で他愛のない雑談を交わす.
 

■霧の中を下る
 10時06分,尊仏山荘を出発する.
 いつの間にか,山頂も濃い霧に覆われている.全く視界が利かない.この辺りは熟知している登山道なので,いくら視界が悪くても全く苦にならないが,見知らぬ山で,こんな濃霧にあったら,困惑するに違いない.
 金冷シ手前の坂道を下っているときに,
 「あら,FHさんじゃないですか・・・やっぱりお出でになっていたんですね.今日は絶対にFHさんに会えるって言っていたところでした・・」
と,いきなり話しかけられる.
 一瞬,誰かなと思ったが,すぐに山旅スクール8期のSさん(男性)とYさん(女性:名前は忘れた.御免)である.久々の再会.5分ほど立ち話をする.Yさんが,私の身体を上から下までスキャンして,
 「FHさん,身体に全く無駄がないんですね~ぇ・・」
という.
 「いえ,そんなことないですよ・・結構,無駄が多くて・・」
と訳の分からない返事をする.要するに太っていないということ.でも,私のBMIは22.5.標準値をちょっと越えている.
 まあ,どうでもいいや.とにかく,週1~2回の山登りをしていれば,そこそこの健康は維持できるのは確かである.
 健康だから山登りができるのか,あるいは逆に山登りをするから健康なのか,この辺りのことは医者でない私には分からない.どっちでもいいや!
 「今日は,久々なので,丹沢山まで行ってみようかと思っています」
いやはやお元気な皆さんである.
 堀山の尾根辺りは特に霧が濃い.霧の中からうっすらと人影が現れる.そしてすれ違う.また,濃い霧の中に消えていく.そんなことを繰り返す.
 12時26分,大倉に到着する.

<ラップタイム>

 7:04  歩き出し
 7:26  観音茶屋
 7:42  見晴茶屋
 8:12  駒止茶屋
 8:30  堀山の家
 9:11  花立山荘
 9:26  金冷シ
 9:40  塔ノ岳山頂 着
====================================
10:06  塔ノ岳山頂 発(0.0℃)
10:32  花立場
10:38  花立山荘
11:12  堀山の家
11:33  駒止茶屋
11:57  見晴茶屋
12:09  観音茶屋
12:26  大倉 着

[山行記録]

■水平距離 
      7.0km(片道)

■累積登攀下降高度   1269m

■登攀所要時間
  大倉  発       7:04
  塔ノ岳 着       9:40
 (所要時間)  2時間36分(2.60h)
 登攀速度   1269m/2.60h=488.1m/h

■下降所要時間
  塔ノ岳 発      10:06
  大倉  着      12:26
 (所要時間)  2時間20分(2.33h)
 下降速度   1269m/2.33h=544.6m/h
                        (おわり)
「丹沢の山旅」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/13ebd6da3ec766b4b764312c86726cdb
「丹沢の山旅」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/5df315ca6eeed1e7fc59e32e2b01c4bb


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