中高年の山旅三昧(その2)

■登山遍歴と鎌倉散策の記録■
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鎌倉の秘境:早春の番場ヶ谷を巡る

2010年01月26日 23時21分21秒 | 鎌倉あれこれ
                      <絵柄天神>

        鎌倉の秘境:早春の番場ヶ谷を巡る
     (山旅スクール5期「鎌倉トレッキング会」)
2010年1月24日(日)

<散策地図>




<プロフィールマップ>



■鎌倉駅前
 同じ釜の飯を食べた仲間とお会いするのは楽しい.今日は,かつて山旅スクールで3年間にわたって,山歩きの基礎を学んだ仲間と,早春の鎌倉秘境のトレッキングをすることになっている.
 私は,昨夜一夜漬けで作成した散策地図を持って家を出発する.
 大船駅前のコンビニで,俄か漬けで作った地図をコピーしてから,横須賀線の電車で,集合場所の鎌倉駅に向かう.
 鎌倉駅前は,まだ10時前だが沢山の観光客で賑わっている.平素,塔ノ岳で見慣れている登山客とはいささか装備が異なるが,私たちと同じようなリュック姿の年配グループが,何組も集まっている.そんなわけで,なかなか自分のグループ仲間を見つけるのに難渋する.

■鶴岡八幡宮
 集合時間10時少し前に,参加予定者全員が集まる.今日の参加者は,順不同で,マオリ酋長さん,漬物さん,おカアさん,太目さん,痛子さん,馬子さん,それに,私ことFH.合計7人である.
 実は,昨日も,あるグループの皆様と鎌倉散策を楽しんだ,昨日のグループは,ほんのお散歩程度の散策を楽しむグループだが,今日のグループの人たちは,山歩きに馴れた人たちばかりである.それだけ,案内役の私は,随分と気が楽である.
 10時丁度に鎌倉駅を出発する.
 まずは,小町通りを北へ向かう.小町通りの駅近くで行われていた電線の地下化の工事が進んで,わずか100メートルほどとはいえ,すでに地下化が実現している.同じ道でも,電柱が取り払われると,視覚的には随分と広くなったような感じがする.
 人混みを避けて,途中からで狭い裏路地を抜けて,鶴岡八幡宮の境内を通過する.

■どちらへ行くか迷う
 西御門を北上する.来迎寺手前から左折して,第二中学校校門の前に到着する.
 ちなみに,来迎寺付近は高松寺跡,太平寺跡,そして,第二中学校付近には報恩寺跡がある.特に太平寺は尼五山のひとつであった.太平寺の本尊聖観音は,後に東慶寺に祀られ,仏殿は円覚寺舎利殿(国宝)になっている(鎌倉市教育センター,2009,pp.40-41).
 来迎寺のすぐ脇にスサノオノミコトを祭神とする八雲神社がある.
 私は,これらの社寺や旧跡を訪ねてから,山道に入るか,それとも,第二中学校校門脇から,すぐに山道に入るか迷ったが,今日のメンバーは鎌倉の社寺や旧跡にはあまり興味がなさそうに思えたので,なるべく早く山道に入ることにする.

■第二中学校の裏山
 第二中学校門脇から,いきなり急坂を登る.そして,西御門の西側の尾根を外さないようにして北上する.学校近くは生徒も歩くところなので,山道はシッカリしている.
 ところどころに樹林の説明板がぶら下げてある.生徒たちが通る山道は,学校のグラウンドに面した尾根を一周するようにして,校庭に降りられるようになっている.
 私たちは,途中から右折して,さらに枝道に入る.枝道に入った途端に,藪まみれの踏み跡のような心細い道になる.結構な痩せ尾根が続く.細かいが急傾斜のアップダウンが連続する.さらには片側が弾劾になっているトラバース道も通過する.逸れほど長い距離ではないが,変化に富んだ山道が続く.
 やがて,凸凹な山道もなだらかになり,10時57分に建長寺境内にある回春院に抜ける道と交差する.
 ここで,10分ほど休憩を取る.

■四国大窪寺薬師如来像
 ここからの経路は残念ながら,このブログで明らかにすることはできない.
 左折して回春院を経由すれば,川村瑞賢の墓がある.瑞賢は江戸,大阪を巡る航路を開いた人物である(鎌倉市教育センター,2009,p.311).瑞賢の墓の手前から尾根道をたどれば,半僧坊の脇に出ることができる.この辺りからの富士山の眺望は素晴らしい.
 11時12分頃,十王岩付近を通過する.この近くに有名な朱垂木ヤグラがある.
 11時27分,鷲峰山に到着する.石段を登って,山頂にある四国八十八か所巡り大窪寺薬師如来像を参拝する.石段脇のヤグラには,八十二番,八十三番,・・・命名された首無しの仏像が並んでいるが,なぜか,八十七番だけが,ここにはない(どこにあるかは,ここで明かにすることはできない).


■鎌倉の最高峰大平山
 やがて,百八ヤグラ脇の十字路に到着する.この辺りまで来ると,沢山のハイカーとすれ違う.
 私たちは,公開されている上から2段目の百八ヤグラを,そっと見学させていただいた後,天園ハイキングコースをたどる.
 そして,12時07分,鎌倉市の最高峰,大平山山頂(標高159m)に到着する.
 今日は天気が良いので,眺望がきく.遠くに三浦三山が並んでいるのが見える.その手前に三浦半島の最高峰,大楠山(標高242m)が見えている.さらにその手前に二子山(標高208m),阿部倉山(標高161m),仙元山(標高118m),峰山(標高147m)の山々が並んでいる.
 私たちは,暫くの間,大平山山頂からの眺望を楽しむ.

                 <大平山からの眺望>

■豪華な昼食
 大平山山頂直下の広場で,車座になって昼食を摂る.
 例によって,漬物さんをはじめとして,主婦の皆さんから,沢山のネーベンが提供される.特に漬物さんが提供してくれた白菜と大根の漬物は,歯ごたえも良くて,何とも言えないほど美味.
 高い空の上から,数羽のトンビが,ハイカーの食事を狙って旋回している.私たちの近くで食事をしていた方が,トンビの襲撃を受ける.
 本音を言えば,タイムキーピングをしている私は,何時までもユックリしていては困るなと思うが,まあ,ここは旅行社のツアーではない.したがって,何処まで行かなければならないという明確な目的地はない.私は参加者が自発的に立ち上がるまで,適当に休憩をとることにする.そして,心の中で,最悪の場合は獅子舞ヶ谷を経由して,一直線に下山しようと腹をくくる.
 食事をしながら,他愛のない雑談が続く.

■滑川の源流
 ふと気がつくと,先ほどまで,この広場で食事をしていた沢山のハイカーが,大分少なくなっている.
 12時56分,私たちも重い腰を上げて,午後の部の散策を開始する.
 途中,トイレ休憩をしてから,峠の茶屋の前を通過する.ついでに,だれか顔見知りのご常連が居ないか,店を覗く.
 展望岩塊で鎌倉の眺望を楽しんだ後,尾根伝いに横浜方面へ少し進む.トラバース道の尾根側に,何の目的か分からないが,土管が埋められている.ここから,右折して谷筋の道を下る.かなり急な下り坂である.
 下り始めてすぐに,滑川(正確には支流の吉沢川)の源流を通過する.
 「・・ここが滑川の源流ですよ・・・」
と一同の注意を喚起する.何人かの人たちが源流の写真を取る.

                  <滑川(吉沢川)の源流>

■川の中を下る
 銀杏が群生する小さな広場を通過する.ここから先,暫くの間は,谷底を流れる川の中を歩く.当然,滑りやすいが,さすがに登山学校卒業生である.何の問題もなく粛々と下る.
 所々,最近の雨で,地形が変わっている.岸辺にあった踏み跡が流出しているところもある.川岸に登ったり,川を渡って反対側の踏み跡をたどったりしながら下り続ける.やがて,川幅が少しずつ広がりはじめ,2~3メートルになる.
 やがて,川の両側が高さ1メートルほどの崖になる.左岸の川岸の道を下る.途中で崖を降りて右岸にわたる.籔っぽい道を100メートルほど進んで,再び崖を降りて左岸にわたり返す.ここから高巻きの道を進む.暫く右岸を道なりに下る.

■谷間の小さな池
 やがて,道は再び川に突き当る.ここに静かな小さな池が広がっている.ここで一休み.
 この池の周辺には沢山のモミジが自生している.ここは隠れた紅葉の名所である.秋になると素晴らしい紅葉を楽しむことができる.
 「・・・さて,これからどちらへ行きますか.山道を歩くか,それとも一寸長いけど平坦な道を歩きますか・・・」
と一同に聞いてみる.
 全員が,もっと山道を歩きたいという.

■吉沢川支流を遡る
 川を渡って,吉沢川の支流に入る.荒れた登山道が沢沿いに続いている.足許は良くないが,さすがに山道に馴れた方々である.何の問題もなく,荒れた登り坂を進む.
 坂の途中で,谷に架かる一本橋に到着する.前回,別のグループを案内したときに,同行者の1人が,私の制止を振り切って,この橋を渡り始め,途中でバランスを崩して,川に飛び降りたことがあった.そのとき,私は,心臓が飛び出すほどビックリした.今日は,橋を渡らずに,一旦川底まで降りて,反対側の岸を登り返すことを強制する.

■お塔の窪ヤグラ
 川の左岸を登り続ける.途中でお塔の窪ヤグラを見学する.ヤグラの中央に風化が進んだ五輪塔が立っている.その脇にひとつの岩石を刻んで作った籾塔が10数基並んでいる.ここは北条一門の頸を埋蔵したところだろうといわれているが,真偽のほどは良く分からないという(御所見,1983,p.232). 



                    <お塔の窪ヤグラ>

■瑞泉寺登山口
 急坂を登り切ると,天園ハイキングコースに飛び出す.たまたまハイキングコースを歩いていたハイカーに,
 「・・・どこから来たんですか・・?」
と尋ねられる.正確に答えるのは面倒なので,適当にはぐらかす.
 ここからは,ポピュラーなハイキングコースをそのまま辿って,14時47分,瑞泉寺登山口に無事下山する.

■絵柄天神の梅
 瑞泉寺には立ち寄らずに,永福寺(ようふくじ)跡を経由して大塔宮(鎌倉宮)に到着する.ここで一休み.
 その後,絵柄天神に立ち寄る.境内にある筆塚で,一同,暫くの間,動かない.待っている私は,16時頃までに鎌倉駅に戻れるかが心配になり始める.
 絵柄天神の梅が見事である.

                 <絵柄天神の境内:梅が見事>


                      <絵柄天神の筆塚>

■小町通りの「モア」でお茶
 腹積もりより,進捗が遅れているので,最初計画していた源頼朝墓詣では省略する. 鶴岡八幡宮には立ち寄らずに,裏道を通る.若宮幕府跡,大仏次郎邸,宇津宮幕府跡を経由して,予定通りの16時ピッタリに鎌倉駅前に戻る.
 全員がお茶をするという.そこで,昨日に引き続いて,小町通りの「モア」でティーブレーク.
 雑談をしているうちに,2月上旬に三浦アルプスへ行こうという話になる.めでたし,めでたし.
 鎌倉駅から大船経由で帰宅する.
 こうして,一昨日は塔ノ岳,昨日は鎌倉江ノ電沿線,今日は番場ヶ谷と3日連続で遊びまわった.明日ぐらいは,終日,家に籠って,雑用をしようかと思っている.

[参考文献]

鎌倉市教育センター,2009,『かまくら子ども風土記』かまくら春秋社
御所見見直,1983,『誰も知らない鎌倉路』集英社
                                 (おわり)
「鎌倉あれこれ」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/7058eeddb9b2b653e92b652811ca47ca
「鎌倉あれこれ」の次回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/33c6aea0bcefe818bfc0218e4743a086
「鎌倉関連」の前回の記事
http://blog.goo.ne.jp/flower-hill_2005/e/bb995a268aab3e68a80face3a7c7cc51 


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