CDドラマ② ユニオンフラッグ
ナレ:西暦2304年、ユニオン所属
米軍のMS開発工場で
一機の最新鋭試作MSが、
ロールアウトしようとしていた。
ビ:開発番号YMS01-A、
開発コード名、フラッグ。
遂に完成までこぎ着けましたね、
エイフマン教授。
エ:このような兵器を作ることは
私の本意ではないが、
AEU、人革連が軍備増強路線を
歩んでいる今、我々が彼らに
遅れを取るわけにはいかん。
人類の模範となるべき
国政を示し、世界をリード
するのが、ユニオンに
課せられた使命なのだからな。
ビ:心中お察しします。
ところで、この機体の
テストパイロットは誰が
担当するんですか?
エ:一人、目をかけている
男がいてな。
そろそろ、ここに来る頃
じゃろうて。
グ:ほぅ…これが我が軍の
時期主力MS選定候補機ですか…。
ビ:君は?
グ:ユニオン所属米軍第一航空戦術飛行隊
からやって参りました、
グラハム・エーカー少尉です。
エ:良く来てくれた。
開発主任のレイフ・エイフマン
じゃ。カタギリ君。私は彼に
フラッグを任せようと思う。
ビ:本気ですか、教授。
見たところ、彼はまだ若く、
とても、経験豊富な
パイロットには…
グ:お言葉ですが、実力に年齢は
関係ありません。
それに、あなただって充分に
お若い。
ビ:ビリーだよ。
開発担当の、ビリー・カタギリ。
グ:カタギリ…あ…もしや、
カタギリ司令の?
ビ:甥っ子、ってことになるね。
グ:そうでしたか。
ビ:君に言っておきたいことがある。
この機体は、僕とエイフマン教授、
そしてアイリス社の技術者たちが
心血を注いで作ったものだ。
他の陣営のMSを遙かに凌ぐ
性能を持ち、自律可変機能も
備わっている。
この機体が、次期主力機に
選ばれるかどうかは、
ひとえに君のパイロット能力に
かかっていると言っていい。
グ:そのご期待に応えてみせましょう。
エ:エーカー少尉、さっそくだが
機体構造の説明と操縦方法の
レクチャーを受けて
グ:その必要はありません。
今すぐ、この機体で空に上がります。
ビ:君、何を言っ
グ:どのような状況でも即時に
対応する。そういう資質が
パイロットには必要だと、
私は考えています。
ビ:無茶過ぎる。
エ:やってもらおう。
ビ:エイフマン教授。
エ:そういう気骨さを気に入って、
私は少尉をここに呼んだのだ。
グ:恐縮です、プロフェッサー。
エ:いかがかな、フラッグの性能は。
グ:まさしく驚嘆に値します!
出力、旋回性、操作性、
機体のレスポンス。
現行機であるリアルドを
遙かに凌駕している!
エ:お褒めに預かり、弘栄じゃ。
ビ:そして、僕は謝らないと
いけないな。
君の実力を疑っていた。
申し訳ない。
グ:言葉より、態度で示す。
師より教わったことを
実践したまでです。
エ:しかし少尉の実力は、
私の想像を遙かに超えて
おるようじゃ。
まさかこのフラッグを、
空中で変形させるとは。
グ:どういう意味です?
ビ:知らないでやってのけたのかい!
エ:フラッグは、空中変形が出来る
仕様で設計してはおらん。
空気抵抗による失速を
引き起こしかねんからな。
だが少尉はその失速を逆手に
取り、驚異的な制動を披露した。
スタンドポジションになる
ことで、攻撃や戦術の幅も
広がる。
この技に名をつけるとすれば、
さしずめグラハムマニューバ
といったところか。
ビ:それでは味気なさ過ぎますよ、
教授。あれはスペシャル…そう、
あの技はグラハム・スペシャルです。
エ:そうじゃな。
空中時での変形、
とても他のパイロットたちに
推奨出来ん。
まさに、少尉にしか出来ん
特別な技じゃ。
グ:恐縮です。
ビ:ああ、そうだった。
君を訪ねて来た人がいたよ。
宿舎に待たせているから、
会いに行ってくるといい。
グ:お気遣い、感謝します。
ナレ:機動戦士ガンダムOO
アナザーストーリー
ユニオンフラッグ。
ハ:グラハム・エーカー少尉。
グ:おお…
ハワード・メイスン准尉!
ハ:少尉、最新鋭機の性能は、
いかがですか?
グ:うむ、すこぶる良いな。
あの機体が実戦配備された暁には、
人革もAEUも、ものの数では
無くなる。
ハ:そのことで、小耳にはさんだ
ことがあるのですが。
グ:そのための陣中見舞いか。
で、何だ。
ハ:実は、フラッグと同じ次期主力
MS候補である
ベルファクトリー社の、
ブラストのことです。
何でも、ブラストの
テストパイロットには、
スレッグ・スレーチャー少佐が
選ばれたとか。
グ:何ッ…スレーチャー少佐が?
ハ:航空戦術飛行隊勤続30年、
総飛行時間8000時間を
超える生きる伝説、
不動のトップガン。
よもや、あの方が少尉の
相手になるとは。
正直申し上げて、
こちら側の不利は否めません。
グ:いいや…これは、チャンスだ。
ハ:チャンス…ですか。
グ:ああ。
世代交代と言うものは、
いつも突発的に起こるものだ。
かつての師に引導を渡す役目、
このグラハム・エーカーが
引き受けた。
ハ:流石は少尉、頼もしい限りです。
では、自分は任務がありますので、
これで。
グ:ご苦労。
などと強がってはみせたものの、
ハッ これはなかなかに苦難だ。
よもやスレーチャー少佐と
争うことになるとは…ッ!
ナレ:それは、今から2年前のことである。
グ:失礼します。
この度、ランドルフ空軍基地から
第三航空戦術飛行隊に配属
されました、
グラハム・エーカー准尉です。
ス:いよーぉ、お前さんだろ。
訓練基地で歴代トップの
成績を残し、この部隊に
入ってきた若造というのは。
グ:はっ! 恐らく。
ス:お前さんに、一つ聞く。
MSパイロットに必要な
素養とは、何だ。
グ:冷静沈着な状況判断、
自らの力量に見合った
戦術飛行をとることです。
ス:優等生だな。
訓練基地で教わった通りの
答えだ。
そうじゃなくて、
お前自身は、
どう思ってるんだ、若造。
グ:今言った言葉に
嘘偽りはありません。
ただし、予測不可能な状況に
陥った時、機体性能や
戦術マニュアルは
無用のものとなります。
そういう事態に対応するのが、
本物のパイロットであると
私は考えます。
ス:予測不可能な事態に
対応する、か。
フッフッ
おもしろい奴だの、お前は。
グ:ありがとうございます。
ス:なら、さっそく
見せてもらおうか。
機体に乗れ。
グ:今、すぐにですか?
ス:予測不可能な事態に対応しろ。
口じゃなくて、態度でな!
グ:はっ!了解しました!
ビ:そうか、ベルファクトリー社の
最新鋭機のテストパイロットは、
かつての君の上官だったのか。
グ:それこそ、操縦のイロハから
教わったよ。
訓練基地で学んだことが、
いかに杓子定規なものであるかも、
痛感させられた。
46回ほど手合わせした
1対1の模擬戦でも、
一度も勝てたことがない。
ビ:スレーチャー少佐とは、
それほどの人物なのかい?
グ:生きた伝説だよ。
ビ:それは困った。
フラッグ陣営にとっては、
最悪の状況だよ。
グ:だが、一つ不可解なことがある。
スレーチャー少佐は、
昨年病を患い、それ以降
MSには乗っていない。
なのに、なぜ過酷な
テストパイロットのオファーを
受けたのか。
ビ:少佐は、君と戦いたいと
思ってるんじゃないかな。
自分を追い抜き、
トップガンになろうと
している君と。
グ:ハッ あの人は、もっとクールだ。
そんな子供じみた感傷で
MSに乗ることなどあり得ない。
ビ:んっふ、ともかく、
少佐の戦闘データを研究し、
教授と対応を検討するよ。
グ:おっ グラハム・エーカー少尉だ。
ンっ はっ…了解いたしました。
では、後ほど。
ビ:アハッ 誰からだい?
随分、恐縮してたみたいだけど。
グ:件の人物だ。
ビ:えっ
グ:スレッグ・スレーチャー少佐だよ。
ナレ:西暦2304年、ユニオン所属
米軍のMS開発工場で
一機の最新鋭試作MSが、
ロールアウトしようとしていた。
ビ:開発番号YMS01-A、
開発コード名、フラッグ。
遂に完成までこぎ着けましたね、
エイフマン教授。
エ:このような兵器を作ることは
私の本意ではないが、
AEU、人革連が軍備増強路線を
歩んでいる今、我々が彼らに
遅れを取るわけにはいかん。
人類の模範となるべき
国政を示し、世界をリード
するのが、ユニオンに
課せられた使命なのだからな。
ビ:心中お察しします。
ところで、この機体の
テストパイロットは誰が
担当するんですか?
エ:一人、目をかけている
男がいてな。
そろそろ、ここに来る頃
じゃろうて。
グ:ほぅ…これが我が軍の
時期主力MS選定候補機ですか…。
ビ:君は?
グ:ユニオン所属米軍第一航空戦術飛行隊
からやって参りました、
グラハム・エーカー少尉です。
エ:良く来てくれた。
開発主任のレイフ・エイフマン
じゃ。カタギリ君。私は彼に
フラッグを任せようと思う。
ビ:本気ですか、教授。
見たところ、彼はまだ若く、
とても、経験豊富な
パイロットには…
グ:お言葉ですが、実力に年齢は
関係ありません。
それに、あなただって充分に
お若い。
ビ:ビリーだよ。
開発担当の、ビリー・カタギリ。
グ:カタギリ…あ…もしや、
カタギリ司令の?
ビ:甥っ子、ってことになるね。
グ:そうでしたか。
ビ:君に言っておきたいことがある。
この機体は、僕とエイフマン教授、
そしてアイリス社の技術者たちが
心血を注いで作ったものだ。
他の陣営のMSを遙かに凌ぐ
性能を持ち、自律可変機能も
備わっている。
この機体が、次期主力機に
選ばれるかどうかは、
ひとえに君のパイロット能力に
かかっていると言っていい。
グ:そのご期待に応えてみせましょう。
エ:エーカー少尉、さっそくだが
機体構造の説明と操縦方法の
レクチャーを受けて
グ:その必要はありません。
今すぐ、この機体で空に上がります。
ビ:君、何を言っ
グ:どのような状況でも即時に
対応する。そういう資質が
パイロットには必要だと、
私は考えています。
ビ:無茶過ぎる。
エ:やってもらおう。
ビ:エイフマン教授。
エ:そういう気骨さを気に入って、
私は少尉をここに呼んだのだ。
グ:恐縮です、プロフェッサー。
エ:いかがかな、フラッグの性能は。
グ:まさしく驚嘆に値します!
出力、旋回性、操作性、
機体のレスポンス。
現行機であるリアルドを
遙かに凌駕している!
エ:お褒めに預かり、弘栄じゃ。
ビ:そして、僕は謝らないと
いけないな。
君の実力を疑っていた。
申し訳ない。
グ:言葉より、態度で示す。
師より教わったことを
実践したまでです。
エ:しかし少尉の実力は、
私の想像を遙かに超えて
おるようじゃ。
まさかこのフラッグを、
空中で変形させるとは。
グ:どういう意味です?
ビ:知らないでやってのけたのかい!
エ:フラッグは、空中変形が出来る
仕様で設計してはおらん。
空気抵抗による失速を
引き起こしかねんからな。
だが少尉はその失速を逆手に
取り、驚異的な制動を披露した。
スタンドポジションになる
ことで、攻撃や戦術の幅も
広がる。
この技に名をつけるとすれば、
さしずめグラハムマニューバ
といったところか。
ビ:それでは味気なさ過ぎますよ、
教授。あれはスペシャル…そう、
あの技はグラハム・スペシャルです。
エ:そうじゃな。
空中時での変形、
とても他のパイロットたちに
推奨出来ん。
まさに、少尉にしか出来ん
特別な技じゃ。
グ:恐縮です。
ビ:ああ、そうだった。
君を訪ねて来た人がいたよ。
宿舎に待たせているから、
会いに行ってくるといい。
グ:お気遣い、感謝します。
ナレ:機動戦士ガンダムOO
アナザーストーリー
ユニオンフラッグ。
ハ:グラハム・エーカー少尉。
グ:おお…
ハワード・メイスン准尉!
ハ:少尉、最新鋭機の性能は、
いかがですか?
グ:うむ、すこぶる良いな。
あの機体が実戦配備された暁には、
人革もAEUも、ものの数では
無くなる。
ハ:そのことで、小耳にはさんだ
ことがあるのですが。
グ:そのための陣中見舞いか。
で、何だ。
ハ:実は、フラッグと同じ次期主力
MS候補である
ベルファクトリー社の、
ブラストのことです。
何でも、ブラストの
テストパイロットには、
スレッグ・スレーチャー少佐が
選ばれたとか。
グ:何ッ…スレーチャー少佐が?
ハ:航空戦術飛行隊勤続30年、
総飛行時間8000時間を
超える生きる伝説、
不動のトップガン。
よもや、あの方が少尉の
相手になるとは。
正直申し上げて、
こちら側の不利は否めません。
グ:いいや…これは、チャンスだ。
ハ:チャンス…ですか。
グ:ああ。
世代交代と言うものは、
いつも突発的に起こるものだ。
かつての師に引導を渡す役目、
このグラハム・エーカーが
引き受けた。
ハ:流石は少尉、頼もしい限りです。
では、自分は任務がありますので、
これで。
グ:ご苦労。
などと強がってはみせたものの、
ハッ これはなかなかに苦難だ。
よもやスレーチャー少佐と
争うことになるとは…ッ!
ナレ:それは、今から2年前のことである。
グ:失礼します。
この度、ランドルフ空軍基地から
第三航空戦術飛行隊に配属
されました、
グラハム・エーカー准尉です。
ス:いよーぉ、お前さんだろ。
訓練基地で歴代トップの
成績を残し、この部隊に
入ってきた若造というのは。
グ:はっ! 恐らく。
ス:お前さんに、一つ聞く。
MSパイロットに必要な
素養とは、何だ。
グ:冷静沈着な状況判断、
自らの力量に見合った
戦術飛行をとることです。
ス:優等生だな。
訓練基地で教わった通りの
答えだ。
そうじゃなくて、
お前自身は、
どう思ってるんだ、若造。
グ:今言った言葉に
嘘偽りはありません。
ただし、予測不可能な状況に
陥った時、機体性能や
戦術マニュアルは
無用のものとなります。
そういう事態に対応するのが、
本物のパイロットであると
私は考えます。
ス:予測不可能な事態に
対応する、か。
フッフッ
おもしろい奴だの、お前は。
グ:ありがとうございます。
ス:なら、さっそく
見せてもらおうか。
機体に乗れ。
グ:今、すぐにですか?
ス:予測不可能な事態に対応しろ。
口じゃなくて、態度でな!
グ:はっ!了解しました!
ビ:そうか、ベルファクトリー社の
最新鋭機のテストパイロットは、
かつての君の上官だったのか。
グ:それこそ、操縦のイロハから
教わったよ。
訓練基地で学んだことが、
いかに杓子定規なものであるかも、
痛感させられた。
46回ほど手合わせした
1対1の模擬戦でも、
一度も勝てたことがない。
ビ:スレーチャー少佐とは、
それほどの人物なのかい?
グ:生きた伝説だよ。
ビ:それは困った。
フラッグ陣営にとっては、
最悪の状況だよ。
グ:だが、一つ不可解なことがある。
スレーチャー少佐は、
昨年病を患い、それ以降
MSには乗っていない。
なのに、なぜ過酷な
テストパイロットのオファーを
受けたのか。
ビ:少佐は、君と戦いたいと
思ってるんじゃないかな。
自分を追い抜き、
トップガンになろうと
している君と。
グ:ハッ あの人は、もっとクールだ。
そんな子供じみた感傷で
MSに乗ることなどあり得ない。
ビ:んっふ、ともかく、
少佐の戦闘データを研究し、
教授と対応を検討するよ。
グ:おっ グラハム・エーカー少尉だ。
ンっ はっ…了解いたしました。
では、後ほど。
ビ:アハッ 誰からだい?
随分、恐縮してたみたいだけど。
グ:件の人物だ。
ビ:えっ
グ:スレッグ・スレーチャー少佐だよ。