自分がゲームをしてきた中で、思い出深いシリーズはアークザラッドシリーズと幻想水滸伝シリーズだった。どちらも最後の作品はPS2でシリーズは打ち止め(アークザラッドは数年前スマホで出たが…)となってしまい これらのシリーズ以降に楽しみなゲームのシリーズと言えばいつのまにかFFだけとなってしまっていた。
そんな状況が続いてから久しぶりにシリーズのリリースが楽しみな作品と出会った。それが英雄伝説の軌跡シリーズである。初めてプレイしたのは「空の軌跡FC」だった。正直この作品は楽しめた記憶がなく、むしろ安い恋愛劇場を見せられているようで どうにも馴染めない作品だった。テキストの稚拙さも相まって社会人がプレイするには青臭さが目立つ印象。ただどこをどうみてもこの作品の評価は良く…そこに興味が湧いたという感じであった。
興味があるなら自然と続編に手が出るもの。またこの続編「SC」は「FC」に輪をかけて評価が良い。なるほど、続編をプレイした上で前作も評価できるワンパッケージものの評価なのかと思い込み。(かくいう自分の大好きなアークザラッドがその良い例である)そんな経緯で続編である「SC」もやってみたのだが、どうにもこれも不発だった。基本的には「FC」とほぼ同様の感想に留まった。10代のピュアすぎるとも言える恋愛劇を見せられるのは個人的には苦痛で…。よって「SC」もダメだった。世間の評価は着実な高評価を得ているのに自分に全くはまらないのは、期待していただけに残念だ。
なのにも関わらず次の続編「3rd」にも手を出す不思議な自分がいた。そして初めてこの作品でしっくりとハマッた。諦めずにやってよかった。さてこの「3rd」は過去2作品の外伝的な扱いであり、本編としてのシナリオもありつつ、過去2作品の側面を補完するようなシナリオも散りばめられている。そしてココが肝であった。側面を補完しつつも軌跡シリーズという世界観の壮大さを一気に表現できており、そして過去2作は単なる単発シリーズではなく、大きな世界観の中の一部のシナリオであることを改めて気づかされ、そして制作サイドで確固たる企画が出来上がっている。と認識させられた。この作品で一気に軌跡シリーズに触れたい衝動が大きくなり、次作「零の軌跡」→「碧の軌跡」と一気にプレイするのである。
次作の「零」と「碧」は「3rd」で触れられていた舞台へと移り変わり、場所もキャラクターも一新された。この2作は新天地での続き物であり、過去3作のキャラクターも冷やかし程度に登場する。これはこの後に続く作品にも言えることなのだが、軌跡シリーズは過去の登場人物を非常に丁寧に扱っており、次作以降の続編にもあらゆる場面で冷やかしにやってくる。過去作と比較してラブ要素は薄くなり、情熱的な展開と世界観を深掘りできるシナリオに仕上がっていた。ちなみに自分は当2作における「ロイド」という主人公警察官がシリーズで一番好きなキャラクターである。システムも過去3作を継承しつつ良い具合に昇華されている。「零」「碧」の最後は一旦終わりつつも、シナリオとして様々な課題を未消化に残した。そして軌跡シリーズの前半集大成ともいえる続編「閃の軌跡4作品」へと物語は続く。
とうとう問題の「閃の軌跡」が始まった。過去5作で大国として、そして明らかなラスボス感を出していたエレボニア帝国が舞台である。(アークザラッドで言うならばロマリア、幻想水滸伝で言うならばハルモニア神聖国といった国家)これがとにかくロングラン。ただでさえ1作品50時間は平気で要するシリーズで4部作である。時間がない人にとっては鬼畜としか言いようがない。しかしこの時には既に軌跡シリーズの虜となってしまっていた自分は続けざまにプレイをしていた。
「閃」シリーズでは、改めて登場キャラクターが一新される。しかしラスボス国家が舞台ということもあり、制作サイドの気合い入れようと言ったら凄まじい。
1では懇切丁寧にお国柄を説明するシナリオが用意され、2では様々な課題を浮き彫りにし、3では急展開を迎え、4で大団円という起承転結が用意されている。この中で過去作のプレイアブルキャラクターが代わるがわる主人公達の助っ人として登場し、また因縁の敵キャラクターもしっかり出てくる。ここまでになってくると過去作で用意された複数の勢力が複雑に絡み合い、利害を一致させ主人公達との接触を図ってくる。中々頭が追い付きません。正直なところ自分なんかは考察サイトを巡って何とか大筋を掴めたような位だった。
そして過去作で断片的に描かれた不可解な事象がこの4作目でほぼ紐解かれる。空の軌跡~閃の軌跡まで合計9作品。ずっと伏線を張り続けてきたことに天晴と感じる。フィナーレは過去作の決算と言わんばかりに丸く収めた印象です。よくもまあここまで引っ張ったなと感心さえ覚える。しかしながらそれ故に当然、引き伸ばし感もあり、個人的には1と2で前編、3と4で後半の2部作にすればもっとスレンダーに収まったのではと思えることもある。天晴でありつつも制作サイドの自己満が垣間見える作品でもあった。
何度も上述したように空の軌跡から始まった軌跡シリーズは閃の軌跡で一旦の区切りとなる。軌跡シリーズ全体の世界観シナリオから鑑みてもここまでで約6割とかという話を見たことがある。なんというか とてつもないスケールで描いているらしい。確かに区切りとはいえ複数の勢力の行方は まだてんで途中であるし、世界観の風呂敷を広げたところも数多くある。まだまだ収束は見えない。
さて そんなこんなで次に出たのが「創の軌跡」だ。これは「空の軌跡 3rd」と同じ観点で理解すればよろしい。「閃の軌跡4」の後日談がメインシナリオで、「碧の軌跡」のEDで残された課題に決着をつけるというもの。そしてそれと同時に次作の新天地に繋がるパイプ役ともいえるシナリオも嚙ましてある。演劇でいうところの幕間といったところか。本作の持ち味はなんといってもそのプレイアブルキャラクターの多さだ。これまでの過去作にかかわった、そのほとんどのキャラクターの操作が可能となっている。もちろんそれは「空の軌跡FC」からという理解で良い。ざっと見て50人?はいるのか…。シリーズファンとしては嬉しい限りだ。自分で言っておいてナンだが幕間というわりには随分豪勢であり、やり込みや仕込みがたくさん用意されている。結局80時間とか かかるんだからナンバリングとそう変わらない幕間であった。
そして次作ではシリーズを一新した「黎の軌跡」が発売された。これは過去作でラスボス国家であったエレボニア帝国とライバル関係にあるカルバード共和国が舞台となる。これまでこのカルバードという国は大国という脅し文句があったが本編シナリオに食い込むことは多くなかった。要するにシリーズとしても未開拓な地域である。自分は所有しているゲームハードの関係上、「黎の軌跡」は出来ていない。しかし今現在において「黎の軌跡」も2作が完結し、また新しい舞台?の新作情報が出ている。恐ろしい勢いでリリースするゲーム会社だ。
こんな内容で長くなってしまったが、やはり自分自身がこのシリーズに魅入られてしまったのは壮大なスケールで描く世界観で企画がある程度出来ているからであろう。これは幻想水滸伝にも通ずるところがある。悲しいことに幻想水滸伝は同程度の世界観と企画があったであろうと見受けられるまま、大人の都合で打ち止めとなってしまった。その残念なところを軌跡シリーズが引き継いでくれたので自身はいい意味で諦めがつくことが出来た。喜ばしいことに「黎の軌跡」もニンテンドースイッチで移植されたもんだから個人的には歓喜している。ここに来て本シリーズの低スペックな作りが功を奏した。PS4専用のスペックで作られたんじゃ、移植は難しかっただろう。引き続き「黎の軌跡2」も進行してもらいたいものだ。と本シリーズを振り返ってみた。
ちなみにであるが、幻想水滸伝の作りの親が精神的な続編として新作を発表している。結構話題にもなっている「百英雄伝」だ。もちろん個人的に楽しみにしており、予約のぽちりを行った。恥ずかしい話だが新作のソフトを新品購入するのは十数年ぶり。しかもコナミからは幻想水滸伝1&2のリマスターも出る模様。にわかに活気づけば良いのだが…。いずれにしてもまずは百英雄伝を楽しみたいと考えるこの頃であった。
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