本部と連絡取れなくなっているし、連絡取れたところで行動指針は自分が降ろさなくては
ならないことには変わりない。
こういう状況になったので、お店の使命としては基本的には営業を続けることだろう。
しかし肝心の電気が通っていない。冷蔵品もあるからケースが稼動しないと売れない。
なによりPOSが停止しているので清算ができない。
1、自宅が気になる人は帰ってヨシ。ただし安全が確認できたら戻ってくること。
2、電気が止まっているので復旧まで温度上昇を防ぐために冷蔵庫開閉禁止。
3、電気が復旧しだい営業をしたいので、それまでの間館内の安全確認を急ぐ。
みんな持っている携帯であらん限りの状況を撮影しておくこと。
4、棚から落ちた商品を元に戻そう。破損した商品は別にしておくこと(涙)
5、余震が来たら全力で逃げろ!
そうしている間にも、乾電池くれ・水売ってくれとお客さんがボチボチ現れはじめた。
気持ちは分かるが今は断らなくてはならない。安全が保障できない。
出入り口に断り役を配置して、ほかの全員で店内の整理を開始した。
私は館内全体の把握に走る。
すると、商品搬入口あたりが妙に煙っていることに気がついた。
煙?いや、違う。砂埃だ。なんだこれ…。
うちの店の隣は、老舗の醤油屋だったりする。なんとその醤油屋の古い蔵が倒壊していた。
商品搬入口のすぐ隣にあるので、瓦礫が搬入口まで散乱し砂埃が辺りをを覆い尽くして
いるではないか…。唖然。
お隣の奥さんが飛んできて、申し訳ない申し訳ないとしきりにおっしゃっている。
けが人がいなかったのが幸いとしか言いようが無い。搬入口においてあった商品は
あらゆるものが砂埃をかぶってしまったけど…。
店舗のそのものの損害は、見た目はあまり無いように見えた。ガラスも割れていない。
さすがバブル時代にアホほどコストかけて建てた店だ(笑)ただ、天井の吊り照明が暴れて
天井の板を突き破っているところがかなりあったので、その真下は危険な状態。
この真下は封鎖せざるを得ないな。
そうこうしているうちに、商品売ってくれの声はどんどん大きくなっていった。
どうも市内の小売店はどこも閉めてしまっているようだ。
地震発生から約1時間。電気が戻った。
ここからが、長く長く続く小売店の苦悩の始まりだった。