戦国サポートセンター
軍師と呼ばれるオペレーターが、日本各地で行われている様々な戦に関するトラブルを最善な方法で解決する機関・戦国サポートセンター。
この日も、武将たちから相談の電話が殺到している様子…。
山本勘助「戦国サポートセンター山本勘助がお受けいたしました」
千春「はい、お茶どうぞ」
山「お、千春ちゃん。ありがとう!お、茶柱立ってら。こいつは縁起がいいや!」
竹中半兵衛「最近の山ちゃん、バリバリ仕事してる感じだな」
黒田官兵衛「うん。ここんところ調子いいって自分で言ってたからね」
片倉景綱「調子いいって、体調とかそういうことですか?」
竹「いやいや。彼の場合、仕事の仕方がちょっと特殊なのよ」
片「特殊?」
竹「うん。見てたらわかるから」
山「はい、お電話ありがとうございます。戦国サポートセンター山本勘助がお受けいたします」
客「あの~戦に関する相談なんですけど」
山「かしこまりました。では、お客様情報と照合いたしますので、お客様のお名前フルネームでお願いいたします」
客「名前?武田…」
山「真治!!」
客「はい?」
武田真治さんは、戦の相談はしないと思うよw
山「武田真治様ではございませんか!?」
客「違うよ。武田信玄」
山「申し訳ございません。武田、信玄様ですね」
片「なんですか、あれ」
黒「見てたかい?あれが彼の仕事のやり方さ」
片「やり方って。あれただのあてずっぽじゃないですか。調子がいいって、勘とかそういうことですか?軍師っていうのはね、もっと人間…ちょっときいてるんですか」
命かかった相談だしね。
「ヤマカン」という言葉は名軍師として名高い
山本勘助の名前が語源だという説もある
竹「わかるよ。小十郎くんの言いたいことは痛いほどわかる。でもね、あれが当たり始めるともはや神懸ってきて、我々のあみ出した戦法なんて足元にも及ばなくなるんだよ」
片「はぁ。てか、今、外れてたし」
山「はい。お客様情報が確認できました。いつもありがとうございます」
武田信玄「あぁ、いえいえ」
山「では、今からサービス向上のために、今から話す内容を録音させていただきたいんですが。よろしいでしょうか」
武「あぁ、どうぞ」
山「ありがとうございます。では、今回戦関連のご相談とのことですが、具体的にはどのような戦でしょうか」
武「うん。あのー今、川中島の合戦っていう戦の最中なんですけど」
山「川中島の合戦ですね」
川中島の戦い(1553~1564年)
/甲斐の武田信玄と
越後の上杉謙信との間で
北信濃の支配権を巡って行われた
数次の戦い
山「はい、確認できました。合戦のお相手は上杉謙信様」
武「あぁ、そうそう。あ、そこ敵だから“様”つけないでいいよ」
一応、両方お客様だからね
山「申し訳ございません」
武「別にいいんだけどね」
山「それにしても、ずいぶん長いこと戦ってらっしゃるんですね」
武「そうなのよ。今んところ3回やってるかな。次で4回目?」
山「なるほど。では、上杉様…ではございませんね。武田様ですね」
武「うん。僕、武田だけど」
山「申し訳ございません。武田様の現状おきかせ願えますか」
武「現状?」
山「はい。あのー、今のところ動かすことが可能な兵の数など、まぁどのような些細な情報でも構いません」
武「自由に動かせる兵はそうね、大体2…」
山「1500、2500」
武「え?」
山「2500ぐらいかなぁと」
武「もっといるよ」
山「あぁ、申し訳ございません」
片「全然当たってないみたいですけど」
竹「今はね」
山「あの、もうちょっと申しますと具体的にいかほど」
武「あー、2万ぐらいかな」
山「ありがとうございます。ずいぶんお手持ちに余裕がございますね」
武「そぉ?これで有利にことを運べたりすんのかね」
半兵衛が何故か背後で謎の反復横跳び
山「そうですね。これほどお手持ちに余裕がございませれば、ございませば、攻め手の選択肢は広がるかと」
半兵衛気になって噛んじゃったじゃないですかww
武「そうなんだ。やっぱり、兵も持っとくもんだよね」
山「そうですね。現在、こちらに入ってきてる情報では、上杉謙信サイドは1万3000ほどの兵と共に妻女山という山に籠っているようですね」
武「そうなのよ。正直、お互い様子を見ながら睨み合いが続いてるような状況でさ」
山「以前にも武田様は長期にわたり睨み合いをなさってますね」
犀川の戦い(1555年)
/200日余におよび長期にわたり対陣した
武田軍は兵糧の調達に苦しんだ
武「そういう情報もわかっちゃうんだ」
山「はい。こちらには、戦関連のあらゆる情報が入ってきておりますので」
武「へぇ。前に睨み合いになったのは、第二次合戦のときかな。あんときは200日くらい」
山「我慢比べですね」
武「食事が一番苦労したかなぁ。まぁ、そんときの反省もあって、これ以上睨み合い状態を続けるのもねぇ。ただほら、今度は城じゃなくて山だからねぇ。ちょっとやっかいだよね」
山「いえ。そう心配されるお客様多いんですが実際はそうでもありませんね」
武「あ、そうなの?」
山「まぁ、やり方次第と申しましょうか」
武「やり方があるんだ?」
山「えぇ、そうですね」
武「じゃ、その具体的にやり方ってのを教えてよ」
山「はい。ではその前に、武田様、今、戦場の前にいらっしゃるでしょうか」
武「はい、いますよ」
山「では、そこから敵陣を見て、雲や煙があがっていたりなどしますか?」
武「え、雲や煙?」
山「はい。そこの形状によりまして出陣の仕方や日取りなど色々ありまして」
敵の城の上にあがる雲気や煙気を見て
いつどのように攻めるか判断するのが
「入道道鬼ぐんばい」という呪術的な作戦
武「へー。雲は特にないな」
山「あ、そうですか。かしこまりました。では、具体的な攻め方をお教えしたいと思います」
武「はい、お願いします」
山「まぁ、いくつか方法はあるんですが。まずは、1万2000ほどの小隊を編成しまして、奇襲攻撃など仕掛けてみるのはいかがでしょうか」
武「奇襲?」
山「はい。まぁ夜などが理想でしょうね」
武「夜?あぁ、でもほら、こっちとしても視界が悪いわけだし。逃げられちゃったらほら、元も子もないんじゃない?」
山「いいえ。それが狙いでして」
武「それが狙い?」
山「奇襲は、相手を驚かせて山をおりさせるきっかけにすぎません」
武「そうなの?」
山「実際のこちらの狙いは、逃走ルートに待ち構えている本陣でして」
武「なるほど。挟み撃ちにするわけだ」
山「まぁ、名づけて『啄木鳥戦法』とでも申しましょうか」
戦国ヤンキー川中島学園でもやってましたね
武「啄木鳥戦法ねぇ。あ、あれだ。啄木鳥ってほら、木をつついて驚いて逃げて出てきた虫を食べるもんね」
山「えぇ。よくご存知で」
武「早速やってみようと思うわ」
山「はい。武運を祈っております」
武「具体的にいつごろ攻めるのがいいのかな」
山「そうですね。特に雲などないんですよね」
武「うん、ないね」
山「でしたら…明日。いや」
武「明日?」
山「あさ、明後日」
武「あさ、明後日?」
山「いや。少々お待ちください」
竹「あ、まずいぞ。雲の形が命の山ちゃんにとって雲がないってことは、ヤマ勘に頼るしかないってことだ!」
片「え、選択肢2つだけですか?」
竹「うん。残念ながら」
武「まだ?」
山「もう少々お待ちください」
「明後日」と「明日」の選択肢があるあみだくじを書く勘助
武「あー、もういいや。とりあえず明日行ってみるや」
山「あ、そうですか。申し訳ございません」
武「いいよいいよ」
山「では、何か問題などございましたら遠慮なくご連絡ください」
武「はいはい。ありがとね」
山「はい。失礼します」
自作のあみだくじをやってみると、明後日の結果
山「あ…明後日」
片「あれー。大丈夫ですか?」
竹&黒「信じよう」
結果わかっちゃってるから、なんとも言えないぞ…
つづく