戦国武将がよく来るキャバクラ 高山右近編
活躍の割に知名度が低い戦国武将が
よく通うキャバクラがあるんだとか…
ボーイ「レイナさんです」
レイナ「こんばんは、レイナです。よろしくお願いしまーす」
男性客「こんばんは」
レ「失礼しまーす。えー、お客さんもしかして、バンドとかやってる方ですかぁ?」
それは、中の人のことですか?
客「いや。戦国武将。なんでバンドやってると思ったの?」
レ「いやいや、なんかー、ロックの人ってこういうの着けてる人多いじゃないですかぁー」
客「あ、これ?この十字架は、キリシタンの証」
レ「あー!証とかってカッコいぃー!やっぱり戦国武将とかってカッコいい」
客「正確には元戦国武将だね」
レ「あ、そうなんですかぁ?」
客「俺、大名の地位も領土も捨てちゃったから」
レ「えー、捨てちゃったのー?もったいなーい」
客「当時もみんなに驚かれたよ。せっかく下剋上までして手に入れた戦国大名の地位を、あっさり捨てちゃったから」
レ「えーっ、ちょっとロックですねー。てことは、てことは?ロックいっちゃいますか?」
客「あぁ、水割り。あの、薄めで」
レ「あ、そこは水割り?そっかそっか、かわいいね。へー、お客さんお名前はなんていうんですか?」
客「高山ジュスト」
洗礼名 高山ジュスト
(1552~1615年)/キリシタン大名
レ「ジュスト?え、ジュストって、どう書くんですかぁ?」
当て字?
高山ジュスト「カタカナ。ポルトガル語で、“正義の人”って意味」
レ「へぇー」
高「俺さ、12歳の時に洗礼受けてるから。その時もらった洗礼名」
レ「12歳ってことはぁ、えっと小6?」
高「小学校行ってたらそうなるね」
レ「え、小学校行ってないの?」
高「戦国武将は誰も行ってないよ」
レ「え、チョーうけんだけどー。小学校くらい行こうよ、ね」
当時、小学校はないからねwww
高「高山ジュストってさ、きいたことなかったでしょ」
レ「ないねー」
高「俺、洗礼名はあんまり知られてないんだよねぇ」
レ「あ、そうなんだー」
高「有名なのは、通り名の高山右近の方」
通り名 高山右近
レ「ウコン?ウコンってあれだ、よくお世話になってるー、ウコンの力?」
それは有名だし、レイナさんお世話になってますよね。
高「ううん。右に近いと書いて、右近」
レ「あー、そっちー?」
高「うん、そっち」
レ「あー、なんかわかる、わかるー。えー、なに、ウッコンは、どこ治めてたんですか?はい。かんぱーい」
高「最初は、下剋上で城主になったのが高槻城っていう今の大阪府高槻市にあるお城。摂津一帯を治めてた荒木村重っていう人のバックアップで、そこの城主になったんだけど。その荒木村重が困った人でさぁ」
レ「どんなどんな~?」
高「荒木村重は、織田信長の家臣だったんだけど。その信長に反乱を起こしちゃったんだよ」
レ「えー、それヤバくない?」
高「めちゃめちゃヤバいよ!」
レ「ヤバいよねぇ?」
高「めちゃめちゃヤバいよ」
レ「ヤバいヤバい」
高「だってあの信長だよ。俺、散々止めたんだけどさ、村重さん頑固な人だからさぁ。結局反乱を起こしちゃった」
レ「えー、起こしちゃったのぉ」
1578年 荒木村重の反乱
右近は村重と信長の間にあって悩んだという
高「あん時は迷ったよなぁ。村重さんにつくべきか、信長につくべきか」
レ「えー、それって大事だよぉ、ウッコン。どっち選らんだのぉ?」
高「信長」
レ「だよね」
高「だって信長につかないとさ、教会全部焼き払うって脅されたんだよ」
レ「ダメだよ、それは」
高「それだけはなんとかしても避けたいじゃん。でも城内にはさ、村重についていくべきだっていう人がたくさんいてさ。結局1人で城を出て、信長んとこに1人で行ったんだよ。しかも、紙の服1枚で」
右近は城主を辞し 家族も捨てて紙衣一枚で
信長の前に出頭したという
レ「えー!紙の服1枚ってさ、なんか寒そうだね」
高「いや、夏だったからね」
レ「あ、そっか」
知らなかったんだもん
高「もしあん時、俺が荒木村重についてたら、信長の天下統一の夢は途絶えてたかもしれないね」
レ「おー、そっかぁ。そうかもねぇ。すごーい!」
高「歴史の岐路で、鍵を握るような立場に立たされるようなことが多くてさ」
レ「わぉ!キーパーソンロック?いぇーい!すごいね」
キーパーソンロックww
高「あ、本能寺の変って知ってる?」
レ「あ、うんうん。きいたことあるー」
高「あのさ、あの時に光秀は、俺の協力を期待してたみたいなんだよね」
レ「ふーん、そうなんだ」
高「俺は秀吉についちゃったし、山崎の戦いでは先陣務めたから。もし俺が光秀側についてたら、歴史変わってたね」
右近が味方に付かなかったからか
光秀は山崎の戦いで敗退
右近は清州会議でその功績を認められる結果に
レ「キャー!すごいウッコン。ウッコン、ナイスチョーイス!はい、ナイスチョイス乾杯。いぇーい!」
高「乾杯。でもさ、俺さ、ぶっちゃけ、そういう権力争いとかもうそんなんどうでもよかったの。だからさ、秀吉がバテレン追放令出した時に、俺もうすぐに財産も領土も全部捨てたからね」
1587年 バテレン追放令とは豊臣秀吉が発令した
キリスト教の宣教と南蛮貿易に関する禁制文書
レ「へー。あれでしょ?バテレンってあのお寿司のさぁ」
言うと思ったww
高「それ、バッテラ!鯖の押し寿司でしょ。違う、違うよ」
レ「違ったー?」
高「バテレンっていうのは、ポルトガル語の“パードレ”からきてる言葉で、宣教師とか司祭のこと」
レ「へぇー、そっちか。覚えた」
高「あ、バッテラって、ポルトガル語だって知ってた?」
レ「えー、そうなの?超カッコいいねぇー」
高「ポルトガル語の“ボート”って意味なんだけど。ほら、お寿司のバッテラってさ、船に形が似てるからそういう風に呼ばれたらしいよ」
レ「へぇ…たいして似てないけどねー」
高「確かにね」
レ「乾杯しちゃう?似てないにかんぱーい」
高「かんぱーい」
レ「でもさぁ、領土?捨てちゃったんでしょ。もったいないよねー。え、その後ウッコンは?どうしてたのー?」
高「しばらくは小豆島とか肥後に隠れ住んで。その後、前田利家に誘われて、加賀に移り住んで。最後はフィリピンのマニラにいた」
レ「えー、超いい旅行じゃん」
旅行じゃないww
高「ううん。家康の禁教令で国外追放」
レ「えー、びっくり。なんか追放されまくりだね、ウッコン。心配になるよー」
宣教師の報告で有名になっていた右近は
マニラでフィリピン総督から大歓迎を受けたとか
高「でもマニラじゃ大歓迎されたけどね」
レ「へぇー、マニラが似合うんだねぇ」
ボ「レイナさん、指名はいりました」
レ「えー、ホントに?早くなーい?ねぇ」
高「レイナちゃん、(手を握る)今日は楽しかったよ。ありがとう」
レ「ありがとう」
高「一期一会ってさ、大事だよね」
レ「えー、どんな意味でしたっけぇ?」
高「一度きりの出会いを大切にしようってこと。千利休に教わったの」
レ「ふーん。千利休って、なんかおつまみみたいですね」
お茶じゃなくて!?
高「いや、あの偉大な茶人だよ。俺の茶道の先生」
レ「え、戦国武将なのに茶道とかやるんですか?草食男子」
高「いや、戦国武将みんなやってたよ」
レ「えー、そうなんだぁ」
高「侘び茶って知ってる?」
レ「あたし、ウーロン茶派なんで。ごめんね」
高「侘び茶ってさ、その時代は」
ボ「レイナさん。お願いします」
レ「ほらー、呼ばれちゃったよ。ごめんねぇ」
喋ってる間、ずーっと手握ってたよw
レ「これ、はい。あたしの名刺。今度来た時は、絶対に指名してね。とんで来ちゃう。ウッコン、ばいば~い。ウッコンコン」
レ「あれ~?ホクロどこいったぁ?」
指名客「とったよ」
レ「えー、あれ結構クセになってたのぉ」
指「あ、そうなんだ…」
レ「またつければいいじゃん。行こう行こう」
せっかくとったのに…
指「ねぇねぇ、あれ誰?」
レ「んー、なんか、なんとかウコン?」
指「ウコン?どんな漢字書くの?」
レ「カタカナ?」
指「ウコンの力のウコンじゃん」
レ「あー!それそれ。あれ効くよねぇ。よく飲むの」
ボ「失礼します」
高「俺さ、利休七哲の1人なんだよね」
ボ「利休七哲?」
高「千利休の優れた7人の弟子の1人。当時はさ、お茶をきわめてたやつがイケてたの」
ボ「へぇ~。そうなんですねぇ」
高「今は何をきわめてるやつがイケてんの?」
ボ「………パワースポットですかね」
高「………へぇ~」