見られている、と分かって見上げれば
折れかけた電柱に大量にしがみつく黒い物体
カチンカチンと音を立てて嘴を開け閉めするその姿は酷く怖ろしい
飢えて餓えたそれの目はギラリと怪しく光って
私の目とぶつかった
しぬかとおもった
頭を抱えてガタガタと震える彼女の元へ行く
小さい口からはみんな死ぬ、と繰り返し呟かれる
何をそこまで、と思えばふと見えたのは空中を飛ぶカラスの群れ
飛び立つ音と同じくびくりと動いた少女を見る限り
どうやら、あれが原因なのだろう
だけど何をそこまで彼女を怖がらせる?
ただの鳥、そしてあの痩せこけた様子では一日ももたないだろう
優雅に舞っているように見えるその姿も
夜が明けるころには地を這って息絶えるだろう
その姿が容易に想像できる
なのに
「なんできみは怯えているの?」
「ちがう。おそれてるの」
「何が違うの。何が怖いの?」
「みんな、しんじゃうんだ」
「何が、一体何が?あの死に絶えそうな鳥が?その鳥に喰い殺されても可笑しくない人が?」
「世界だよ」
「―――――意味が、分からない」
「分からないよ。あなたには分からないよ。私だから怖いの」
「人だから、怖いの?」
「命ある者だから、怖いの」
「みんな、死ぬ!」
(鳥も人も地面も、みんなみんな死んじゃう!)
「私には、分からない」
(果てることなき命を持つ私には、分からない)
(しにゆく世界で、少女と機械が二人。)
fin.
P.S.「キーストロジカル」リスペクト。ユキちゃんとmiki様に焼き土下座します↓
プレーヤーにも入れました。クラッシュドライバーも是非!いや是非