ピエスのジュエリーまわり

恵比寿南のジュエリーリフォームアトリエ&ショップ、『pièce ピエス』のあれやこれやです。

山と海のブライダルリング

2018-09-28 | Bridal & Order

こちら、立派な喜平ブレスレット。

 

ご相談頂いたFさんが、亡くなられた叔父様から相続されたそうです。

よほど強く信頼されていたのが偲ばれます。

 

今回は、こちらの喜平ブレスレットを使って、

ブライダルリングを作る、というご依頼です。

 

ときどき、 「このリングを溶かして新しいリングにしてください」 というご相談を承ります。

リング一本を溶かしますと、そのリングのグラム程の金属の塊になります。

例えば、3グラムとか、4グラムとか・・・

この3グラムの塊から、お好みの形のリングを制作するのは、ほぼ不可能です。

とろりとした、メダル状のペンダントトップや、

場合によってはうんと細いリングならできるかもしれません。

 

基本的にジュエリーを鍛金で制作していく場合、余剰の金属が必要になります。

お洋服を作る場合と一緒で、型紙を引くときは、余分な生地が不可欠になります。

 

じゃあ、鋳造をしたらどうだ?となるのですが、

工房内で精密な鋳造はされることはほとんどありませんし、

ワックスツリーという金属の流れる道のようなものを使用するので、

余剰の金属が必要なのは、鍛金の比ではありません。

なので、そんな理由から、

基本的に、他店での買い取りか、又はお下取りさせて頂き、

その金額を加工代金に充当する方法をおすすめしています。

 

 

ですが、今回は、

「叔父様のブレスレットをそのまま使用する!」というのが第一優先です。

 

幸運なことにこのブレスレットは80gもあり、

手数料はかかってしまうけれど、単品での精錬分析に出せます。

 

 

きちんと、K18ゴールドであることを確かめて頂き・・・

いざ精錬分析へ!

 

 

待つことほぼ2週間。

じゃじゃん!

 

立派なK18角棒に生まれ変わってきました!

ほぼヘリ目なし!スゴイ!

理論上はそうなるんだけど、改めて感動!

 

 

 

そして、本番です。デザインです。

 

 

デザイナーであるFさん、

頭が下がるほどの完璧なデザイン画を描いてきて頂きました!

話が早いっ!そして、らくちん。

 

 

山を愛していらっしゃるFさんは、

センターのダイヤを中心として、エンゲージメントリングの中に"Seven Summits"を展開するデザイン。

七大陸最高峰。

もちろん、ふんわりとしか知りませんので、

しっかりググると・・・

エベレスト
デナリ
アコンカグア
キリマンジャロ
コジオスコ
ヴィンソン・マシフ
エルブルス

のことを差すそうです。

 

この山々をイメージして、ゆるやかな稜線を作っていきます。

 

金属になる前にロウ材で、稜線の具合をご確認頂き、

金属を伸ばして丸めてリングのベースに、慎重につけていきました。

 

まさに、稜線を描く…!

 

 

珍しいVSクラスのクッションカットダイヤをセンターに、

続く尾根の先々に小さめなダイヤをセッティング。

 

 両尾根に3pcsずつ。

 

柔らかく、穏やかに続く尾根が心地よいエンゲージメントリングができあがりました。

そして、Fさんご希望でマット仕上げに。

このマット仕上げが、このデザインと相まって、一段と雰囲気が出ます。

こういう、ちょっとした選択がジュエリーという小さな世界の中では、

とても大切になってくる気がします。

 

そして、エンゲージメントリングをお渡ししてのプロポーズ。

 

最近は、おふたりでエンゲージメントリングを選ばれることがほとんどで、

デザインからダイヤからプロポーズまで、本気のサプライズは、初めてでしたので、

(わりと長くブライダルリングにも携わっていますが・・)

大成功のご連絡に、本当に本当にうれしかったです。

勝手ながら、当日はそわそわしっぱなしでした。(笑)

 

 

そして、おふりでご来店頂き、マリッジリングのご相談を承りました。

エンゲージメントのサプライズから打って変わって、

完璧に完全に、奥様のお好みを優先されるFさんのジェントルマンな様子に感動しました。

 

エンゲージリングの"山"のコンセプト。

マリッジリングは"海"がコンセプト。柔らかな海の波のイメージです。

アクティブなおふたりにぴったりのコンセプトです。

 

奥さまのリングには、優しい波がひとつ。

ダイヤモンドがセッティングされ、ミラー仕上げ。

Fさんの方には、リング全体に波が続いています。

そしてマット仕上げ。

 

一見タイプの違うように見えるのですが。

重ねてみますと・・・

柔らかく重なる波が一ケ所あります。

叔父様の喜平ブレスレットの地金をたっぷり使い、

おふたりの想いがしっかり込められた、マリッジリングです。

 

 

 

抜けるような晴天のハワイの空の下。

おめでとうございます!!!

 

ご紹介を頂いてから、マリッジリングのお渡しまで約6ヶ月ほど。

その間、何度かお打合せをさせて頂き、

毎回、「こんなに想いを持って、リングのデザインを考えてくれる男性がいたとは!!」

と、新鮮な驚きを与えて続けて頂きました。

この素晴らしい企画(あえて)に携わらせて頂き、とても幸せでした!

Fさん、Nさん、ご紹介頂いたDさん、ありがとうございました!

お幸せに!

 

 

 

 

 

 

コメント
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