「晃榮林業株式会社」
濱口 千穂さん
所在地 〒519-4563 熊野市飛鳥町小阪680
℡&fax 0598-84-0100
林業という職業につきまとうマイナス・イメージ『3K』。
キツい、汚い、危険の3つのKであるが、
熊野市の晃榮林業株式会社を見学させてもらって、
私はそこにプラスのKをたくさん見つけることができた。
取締役の濱口千穂さんにまず案内してもらった土場の印象は、
『キレイ』。
公道沿いの広い土場には、架線の元となる線尻と集材機が設置され、
プロセッサで玉切りされた丸太と梢端+根元+枝葉が分けて積まれている。
そこに一切の無駄がないばかりか、
集材機の周辺には「安全第一」の旗が掲げられているとともに、
作業員さんたちが休憩するときなどに出るゴミが袋にきちんと分別され、
使わないワイヤもきれいに輪にして並べられていた。
現場がキレイであることは、作業の効率上、
そして作業員の安全上とても重要であることは言うまでもない。
「わたしがうるさく言うから。」
と濱口さんは言われるが、土場を見ただけでも、安全管理が徹底されていることが想像できた。
この日は3人の作業員さんが集材・玉切り・造材作業をされていた。
1人(30代)が林内で伐倒木にワイヤをかけ、
1人(20代)が集材機を運転して土場まで木を出し、
1人(50代)が土場の木をプロセッサで玉切り・造材する。
その職人さんたちの仕事がとても『かっこいい』のである。
重機好きの私は特に、そのベテラン作業員さんのプロセッサさばきにしばらく見惚れてしまい、
濱口さんの貴重な話を聞きそびれてしまうほどだった。
濱口さんの安全「意識」管理の徹底は、職場の作業員にとどまらない。
毎月『会報』を発行し給料袋に同封することで、『家族を巻き込む』のが千穂さん流だ。
多いときには4~5枚にも及ぶという会報には、
林業における事故の実態や安全作業に関する情報はもちろん、
木材の市場価格や林業関係の各種補助金などの情報も載せるようにしているという。
うちのお父さんがどんな業界でどんな状況下でどんな仕事をしているのかを
奥さんや子どもに知っておいてもらってこそ、
本当の安全が確保できるという発想は、さすが女性ならではである。
濱口さんのご実家である花尻家で昼食をいただいたときに、
濱口さんは「本物の林業女子です。」とお母さんを紹介してくれた。
代々この地で素材生産業を営んできた花尻家では、
男性が山に行く間、女性は里で苗木を育てたり、足場材の皮むきをしたり、
木材生産に付随する仕事をすべて担ってきた。
「うちだけじゃなくて、昔はここらへんの人はみーんなそうやった。」
その言葉が意味するのは、女性も男性と一緒になって熊野の林業を支えてきた、
などという大げさなことではない。
ここに林業という十分な仕事が当たり前にあり、
男性も女性もそれぞれの仕事を当たり前にやってきた、
ただそれだけである。
お互いに愚痴を言い合って大笑いしながら皮むきをする女性たちの姿が目に浮かび、
にわか林業女子である私は、その「当たり前」に羨ましさを感じずにはいられなかった。
昼食後、晃榮林業が行っている「パッチワーク施業」の現場を実際に見せてもらった。
この施業方法は、ひとつの山を数ヘクタールずつのエリアに分け、
エリアごとに植林する年を変えるというもので、いろいろな林齢のエリアが縦横に並ぶ山は、
なるほどパッチワークのようである。
そして、最も印象的な熊野の林業のK、
それは、そこには確かに『神が居る』ということである。
最後に案内してもらったのは、
濱口さんが職員の無事故を感謝し祈願するため毎月2回必ず訪れるという飛鳥神社。
「ぜひ見てほしい」と勧められたこの地区の氏神様は、
失礼ながらどこの地区にもありそうな神社なのであるが、
その境内の祠の奥には、おそらくここにしかないもの―四本杉―が在った。
四本杉は、4本の杉が根元で1本になっている巨樹で、市の天然記念物に指定されている。
この杉が御神木であることは間違いなく、
むしろこの杉を祀るために祠が建てられたのではないかと勝手に思ってしまうほどの存在感である。
しかし、四本杉に、飛鳥神社に、山々に、熊野という土地に神を感じることはあっても、
そこに神が居るというのとは少し違う気がする。
では神はどこに居るのか?
これはあくまでも私個人の理屈であるが、神は人の心に居るのである。
濱口さんの心に確かに神が居るために、彼女の言葉を通じて、
私も熊野のあちこちに神を感じることができるのである。
いささかスピリチュアルな話になったが、ここまで自然に神を感じられることは、
熊野の林業、少なくとも晃榮林業の特徴の1つに数えなければならないだろう。
以上のように、晃榮林業さんの見学を通して、
私は林業のステキなKをたくさん発見することができた。
濱口さんをはじめ晃榮林業の皆さん、ありがとうございました。
濱口 千穂さん
所在地 〒519-4563 熊野市飛鳥町小阪680
℡&fax 0598-84-0100
林業という職業につきまとうマイナス・イメージ『3K』。
キツい、汚い、危険の3つのKであるが、
熊野市の晃榮林業株式会社を見学させてもらって、
私はそこにプラスのKをたくさん見つけることができた。
取締役の濱口千穂さんにまず案内してもらった土場の印象は、
『キレイ』。
公道沿いの広い土場には、架線の元となる線尻と集材機が設置され、
プロセッサで玉切りされた丸太と梢端+根元+枝葉が分けて積まれている。
そこに一切の無駄がないばかりか、
集材機の周辺には「安全第一」の旗が掲げられているとともに、
作業員さんたちが休憩するときなどに出るゴミが袋にきちんと分別され、
使わないワイヤもきれいに輪にして並べられていた。
現場がキレイであることは、作業の効率上、
そして作業員の安全上とても重要であることは言うまでもない。
「わたしがうるさく言うから。」
と濱口さんは言われるが、土場を見ただけでも、安全管理が徹底されていることが想像できた。
この日は3人の作業員さんが集材・玉切り・造材作業をされていた。
1人(30代)が林内で伐倒木にワイヤをかけ、
1人(20代)が集材機を運転して土場まで木を出し、
1人(50代)が土場の木をプロセッサで玉切り・造材する。
その職人さんたちの仕事がとても『かっこいい』のである。
重機好きの私は特に、そのベテラン作業員さんのプロセッサさばきにしばらく見惚れてしまい、
濱口さんの貴重な話を聞きそびれてしまうほどだった。
濱口さんの安全「意識」管理の徹底は、職場の作業員にとどまらない。
毎月『会報』を発行し給料袋に同封することで、『家族を巻き込む』のが千穂さん流だ。
多いときには4~5枚にも及ぶという会報には、
林業における事故の実態や安全作業に関する情報はもちろん、
木材の市場価格や林業関係の各種補助金などの情報も載せるようにしているという。
うちのお父さんがどんな業界でどんな状況下でどんな仕事をしているのかを
奥さんや子どもに知っておいてもらってこそ、
本当の安全が確保できるという発想は、さすが女性ならではである。
濱口さんのご実家である花尻家で昼食をいただいたときに、
濱口さんは「本物の林業女子です。」とお母さんを紹介してくれた。
代々この地で素材生産業を営んできた花尻家では、
男性が山に行く間、女性は里で苗木を育てたり、足場材の皮むきをしたり、
木材生産に付随する仕事をすべて担ってきた。
「うちだけじゃなくて、昔はここらへんの人はみーんなそうやった。」
その言葉が意味するのは、女性も男性と一緒になって熊野の林業を支えてきた、
などという大げさなことではない。
ここに林業という十分な仕事が当たり前にあり、
男性も女性もそれぞれの仕事を当たり前にやってきた、
ただそれだけである。
お互いに愚痴を言い合って大笑いしながら皮むきをする女性たちの姿が目に浮かび、
にわか林業女子である私は、その「当たり前」に羨ましさを感じずにはいられなかった。
昼食後、晃榮林業が行っている「パッチワーク施業」の現場を実際に見せてもらった。
この施業方法は、ひとつの山を数ヘクタールずつのエリアに分け、
エリアごとに植林する年を変えるというもので、いろいろな林齢のエリアが縦横に並ぶ山は、
なるほどパッチワークのようである。
そして、最も印象的な熊野の林業のK、
それは、そこには確かに『神が居る』ということである。
最後に案内してもらったのは、
濱口さんが職員の無事故を感謝し祈願するため毎月2回必ず訪れるという飛鳥神社。
「ぜひ見てほしい」と勧められたこの地区の氏神様は、
失礼ながらどこの地区にもありそうな神社なのであるが、
その境内の祠の奥には、おそらくここにしかないもの―四本杉―が在った。
四本杉は、4本の杉が根元で1本になっている巨樹で、市の天然記念物に指定されている。
この杉が御神木であることは間違いなく、
むしろこの杉を祀るために祠が建てられたのではないかと勝手に思ってしまうほどの存在感である。
しかし、四本杉に、飛鳥神社に、山々に、熊野という土地に神を感じることはあっても、
そこに神が居るというのとは少し違う気がする。
では神はどこに居るのか?
これはあくまでも私個人の理屈であるが、神は人の心に居るのである。
濱口さんの心に確かに神が居るために、彼女の言葉を通じて、
私も熊野のあちこちに神を感じることができるのである。
いささかスピリチュアルな話になったが、ここまで自然に神を感じられることは、
熊野の林業、少なくとも晃榮林業の特徴の1つに数えなければならないだろう。
以上のように、晃榮林業さんの見学を通して、
私は林業のステキなKをたくさん発見することができた。
濱口さんをはじめ晃榮林業の皆さん、ありがとうございました。