♪Tin Pan Alley♪

50~70年代のロック・ポップス、ソフトロック周辺についてのブログです

Please Please Me :UK #1

2005-10-12 | 1曲ずつ一言

The Beatles
1963.3
Produced by George Martin

ビートルズ、本国イギリスでのデビュー・アルバム

ジョン・レノン(John Lennon)、ポール・マッカートニー(Paul McCartney)、ジョージ・ハリスン(George Harrison)、リンゴ・スター(Ringo Starr)という、魔法のような4人組。

熱狂的なファンの方々に比べれば、僕の持ってる情報量はヘッポコなので、ビーチ・ボーイズの紹介とかとは少し違う観点から、彼らの紹介を試みまーす

そうそう、マニアってほどじゃない音楽ファンの方には
「ビートルズはどこが凄かったのか」
って疑問を持たれた人って多くないですか?

僕が一番凄いと思っているのは、活動時期の全てにおいて“捨て曲”がほとんど無い、ということですね
だから、彼らの魅力を知りたかったら、無茶を言うようですが、やはり全作品を聞いて欲しいです

んで、ビートルズは“ロック”で凄かったのではなく、“ポップス”で凄かったと強く強く思ってます
所謂“ロック”のイメージ通りに凄かったグループでしたら、70年代のハードな方々を当たった方が、よっぽど演奏力・構成力がすさまじい訳で

ただし、ポップ・ミュージックの世界で見れば、彼らを中心にした、60年代の音楽は、明らかに50年代とは異質で、明らかに現在の音楽とは同質です。

これはCDショップの売り場、「Rock/Pops」を見れば分かるビートルズはこの売り場にあるが、その前、プレスリーたちは「Oldies」に置かれてるではないですか

ちなみに、彼らは、大人向け黒人音楽を、キャッチーにしたと言われます。ビーチ・ボーイズが大人向け白人音楽をキャッチーにした感じです

ビートルズって、ロック愛好家に言わせれば、演奏の下手さなどが取り出されやすいが、ポップス愛好家に言わせれば、コード進行や転調のセンス、エジソン級の発明王な訳です

ビート感があって、メロディがキャッチーで、コーラスも良い、こんなグループ、実は少ないですよね

洋楽初心者が最初に聞くにはビートルズが良い、というのは賛成です
ビートルズの作品のどの辺りにはまるかで、ロック色の強い方面に行くか、ポップ色の強い方面に行くか決めれば良いでしょう
僕は後者に行き、ビーチ・ボーイズに出会いました

さてこのアルバムですが、後のスタジオ・オタク的な発展を考えると、一発取りで、殆どオーバーダビング(重ねどり)なしと、ライヴ・バンド上がりである彼らの空気が感じられます
プロデューサーの、“神”ジョージ・マーティンも、むしろ彼らのライヴの良さを再現したかったとか

イギリスのアルバムは14曲が多いですね。アメリカは12曲。
これは確か契約でもらえるお金が、曲数と関係あるかないかって話です

余談ですが、「14曲中、オリジナルが8曲というのは革新的」とのたまうファンの方をお見受けしますが、半年前に出たビーチ・ボーイズのデビューアルバムは、12曲中8曲がオリジナルです

もいっちょ余談~。
「サーフィンUSA」の紹介文でも触れましたが、最近のリンゴのコメントによると、どうも初期の“レノン&マッカトニー”の曲の中には、他人が完全に書いた曲があるらしいですね
とりあえず、僕はそんなことは気にせず、“レノン&マッカトニー”でいきます

トラック・バイ・トラック

① I Saw Her Standing There P.McCartney - J.Lennon
初めて“歌えるようになりたい”って思った洋楽

ぐんぐん乗せててくる疾走感は、彼らのキャリア全体を通してもトップクラスに位置する素晴らしさ

ポールが18か19の時に、ジョンに助けられ作ったとか
ポールはロックンローラーですね
ソロ時代にはポップス色の強さが指摘されますが、ようは彼は何でも出来るんですよ
ファルセットのキレの良さを軸にした、素晴らしい歌唱力です

② Misery P.McCartney - J.Lennon
他人に提供し(て断られ)た曲

「デビュー当時から他のアーティストに曲提供なんて凄い!」
って意見も見ますが、むしろ、自分で書いた曲を自分で演奏することの方が少なかった時代ではなかったのか???
名前を売り込むためにはむしろ普通ではなかったかと、僕は思います

歌詞は暗いんですが(断られた理由)、2分足らずで終わるのが惜しいって感じるぐらい、美メロディ

③ Anna (Go to Him) A.Alexander

④ Chains G.Goffin - C.King
出ましたゴフィン&キング(Gerry Goffin & Carole King)

ビートルズ前のポップ・ミュージック世界の重要人物
レノン&マッカートニーってのも「ゴフィン&キングのようになりたい」という思いが込められているとか

オリジナルはクッキーズ

⑤ Boys L.Dixon - W.Farrell
黒人女性グループの走り、シュレルズの曲

このアルバムで唯一リンゴがヴォーカルをとる
鼻にかかったような特徴ある声、ビートルズのボーカルを多彩に魅せる、大事な要素

間奏の「オーライッ、ジョージ!(ハリスン)」といってジョージのギターが始まるあたりが最高

⑥ Ask Me Why P.McCartney - J.Lennon
この前奏の“音”の素敵な質感、名レコーディング
凄く好きです
歌詞も素敵

⑦ Please Please Me P.McCartney - J.Lennon :UK #2 /US #3
ジョージ・マーティンが初のナンバー1を予見した曲

※記憶が曖昧なのですが、確か『ニュー・ミュージカル・エクスプレス』誌では2位で、『メロディ・メイカー』誌か何かで全英トップを飾ったはず。
だから『ビートルズ1』に入らなかったのですかね。

まさに一大傑作でしょう

ポールが一つの音程をキープするなど、エヴァリー・ブラザーズ風のハーモニーを見事に体現したジョンとポールのコーラスに、特徴あるハーモニカ、抜群のビート、こんな曲はないよな~

歌いたくなります早口の中間部と、ファルセットをこなすと快感です

⑧ Love Me Do P.McCartney - J.Lennon :UK #17 /US #1
62年10月、記念すべきデビュー

有名な話だが、アルバムでのドラムはリンゴではなく、彼はタンバリン(笑)。シングルではリンゴです
何かお間抜けな響きに聞こえたりするんですが(笑)、ライヴでの大人気曲だったとか

意外な話、カヴァーではなく、オリジナル曲でデビューってのはそれほど多くない
ローリング・ストーンズの「カモン」もカヴァーですし。

⑨ P.S. I Love You P.McCartney - J.Lennon :US#10
隠れた名曲初期の傑作
最後の、ポールのシャウト気味の合いの手がマジ格好良い
穏やかで優しいメロディだけに、一際輝きます

この曲も、ドラムはリンゴではなく、彼はマラカス(笑)。

⑩ Baby It's You B.Bacharach - M.David - B.Williams
今度は御大バート・バカラック(Burt Bacharach)ポップスの王道
これまたシュレルズ(The Shirelles)の大ヒット曲

ビートルズが好みそうですね

⑪ Do You Want to Know a Secret P.McCartney - J.Lennon :US #2
変な発音、と思ったらリヴァプールなまりだそうです

ジョンがディズニーを思い浮かべて書いたんだそうなへぇ~。

ビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタイン(Brian Epstein)の手がけたグループ、ビリー・J・クレイマー&ダコタス(Billy J. Kramer & The Dakotas)って連中がプレゼントされ、全英1位にまでしてます

⑫ Taste of Honey R.Marlow - B.Scott
オリジナルも有名らしいですが、ハープ・アルバートのカヴァーはもっと有名

ジョンがやりたくなかったってコメントしてたことも有名

⑬ There's a Place P.McCartney - J.Lennon US #74
悲しい時も、一人で心の中に閉じこもってれば平気、なんて歌詞
やっぱ作者はジョン・レノン(笑)。

⑭ Twist and Shout P.Medley - B.Scott :US #2
すでに大半を録り終え、最後の力で声を振り絞るジョンです

ビートルズの超々有名なナンバー、、、実はカヴァー曲

少々音楽を聴く人なら「あ、この曲ってビートルズだったんだ」ってセリフを一度は使ったことがあると思うのですが、逆に「あ、これってビートルズのオリジナルじゃないんだ!」ってセリフも一度は使うことになるかと

これこそ後者の現象の極めつけでしょうね
最高のカヴァーです完全に彼らのモノになってしまった
オリジナルのアイズレー・ブラザーズ(The Isley Brothers)。当時既に有名なR&Bグループですが、後の活躍の方がよっぽど有名ですね。


このアルバムから早速、社会現象的大ヒットをしたんだそうです

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ビートルズは、ファンのために、アルバム内には既発表シングルを入れたがらないというポリシーをお持ちでした

後に『パスト・マスターズ』という企画アルバムでまとめて出すのですが、便宜上、この頃発表したシングルをここで紹介します~

1963.4
・ From Me to You J.Lennon - P.McCartney :UK #1 /US #41
第三弾シングルは、何と6種連続の全英1位

ハーモニカとユニゾンのコーラスってのはアイデアですよね~。可愛らしさ抜群(笑)。
それにしてもハーモニーのキレは素晴らしい「And keep you satisfied」の後の「oooh」のファルセット、大好きです

・ Thank You Girl J.Lennon - P.McCartney :US #35
初期のビートルズは、後と違ってB面があまりヒットしないんですよねしかしその出来たるや、愛すべき名曲たちの宝庫です(笑)。

当初、こちらをA面に考えていたというくらいですからね上のが上手く書け過ぎたんだそうですすげぇ。



4 コメント

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はじめまして (湘南のJOHN LENNON)
2006-01-05 22:18:16
fenbuさん、はじめまして。

コメント&TBありがとうございました。

ビートルズは本当に奥が深いです。

難しいハーモニーを20歳くらいで体得していたと

いうのは、すごいと思います。

音楽教育とか宗教とかの背景の違いはあるとは

思いますが、日本人にはマネできないですね。

(これからは分かりませんが)

ジョンの楽器的ハーモニーとかは実際やってみて

「あ~すごいな~」って思ったりします。

やはり天才なんでしょうね。



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ありがとうございます! (fenbu)
2006-01-05 23:00:49
僕にとってビートルズやビーチ・ボーイズは、音楽の飛びっきりの楽しさと、素敵な素敵な奥深さを教えてくれた、大切な存在ですね~。
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リンゴのドラム (240)
2010-03-22 11:03:53
おはようございます。TB有り難うございます。

>ドラム、確かアルバム収録のLove Me Doはリンゴが叩いていませんでしたっけ??

ベンジャミンさんのこの記事にも
「アルバムでのドラムはリンゴではなく、彼はタンバリン(笑)。」
とかかれてますね。その通り! 彼はタンバリンです。ジョージ・マーティンが彼のプレイを気に入らなかったとのことですが、どこが気に入らなかったのか?? 微妙な違いなんでしょうね。
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>240様 (ベンジャミン)
2010-03-23 01:52:58
あぁ、飛んだ間抜けなことをしてしまいました。

そうそう、シングルですよね、リンゴは
あー楽しい

最近このエピソードに思うんですけど、当時は「これはシングル用」って録音することは稀っていうじゃないですか。
ってことは、このリンゴのドラム収録問題も、ひょっとしたら「何となく」の偶然なのかも知れませんね
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