♪Tin Pan Alley♪

50~70年代のロック・ポップス、ソフトロック周辺についてのブログです

Surfer Girl :US #7 /UK #13

2005-10-13 | 1曲ずつ一言

The Beach Boys
1963.9
Produced by Brian Wilson

ビーチ・ボーイズはサード・アルバムから俄然面白くなります
本作からプロデューサーがブライアン本人になります
やっぱ前2作と“音”の印象が違う気がしませぬか??

・・・ブライアン・ウィルソンへの誉め言葉の中に
“一人レノン&マッカートニー”
というのがありますが、彼は同時にジョージ・マーティン役も引き受けねばならない訳で
だから、正しくは
“一人レノン&マッカートニー Produced by ジョージ・マーティン”(笑)

ジョージ・マーティンが指揮を執るのは、リヴァプールの若者4人でしたが、青二才、ブライアン・ウィルソンが指揮を執るのは、カリフォルニアの熟練スタジオ・ミュージシャン(メンバーも時々演奏してますが)だったというから大したもんです

この頃からアル・ジャーディンがメンバーに復帰(歯医者の夢かなんかで結成直後に離れていた)
代役で入っていたデヴィッド・マークスは歌が上手じゃなかったそうですが、アルの再加入で、ハーモニーのレベルはグンとアップ

ビーチボーイズの初期作品は、ビートルズと違って“凄さ”がストレートには評価されて来ませんでしたが、その大きな原因の1つは、相も変わらぬ、明るく楽しい(って言うか、軽くて呑気な)歌詞ではないでしょうか?
曲自体は案外難しく作られているらしいのですが

加えて、⑤や⑫みたいな“どうでもいい”インスト曲なんぞを入れるしねぇ(笑)。

反面、こんなんがあったからこそ、すぐに人気も出ましたし、いつの時代でも懐かしがられるグループでいられたのかも知れませんね

トラック・バイ・トラック

① Surfer Girl B.Wilson :US #7
サーフィン・バラード(なんて言葉も不思議ですが)の一大傑作
未だにブライアンも好きな曲の一つにあげてますね「愛のメロディ」と

サーフィン・サファリ、サーフィンUSAから大成長した
と思いきや、曲自体は極初期に、デビュー前に作ってます
・・・だから僕は作詞にマイクとかが関わったのではないかと思うのですが、知ってる方います??

基本的には、ブライアン1人による多重録音らしいです
・・・本当なんでしょうか? メンバーっぽい声も聞こえますけどねぇ

それにしても、このハーモニーは絶品
有名な日本のアーティストも、“どんなパートがあるか分からない”とコメントしたという凄さ
比較的聞きやすい中間部の音を追ってみても、何か複雑なメロディって気がしますね~

僕は最初は古めかしく感じてましたが、今では前奏を聴いただけでウットリしてしまいます

② Catch a Wave B.Wilson - M.Love
なぜこれをシングルカットしなかったんだ
ジャン&ディーンがカヴァーしたら25位のヒットだっただけにもったいない~

強烈なアルバム2曲目は、冒頭のハープの音色も素晴らしく、リード・ヴォーカルがマイク→ブライアン→デニスと順に入れ替わる展開は最高
特に、リードを取っていた声が、入れ替わり後にしっかりコーラス隊に混じっていく瞬間は快感
この段階では最高のハーモニー
メロディ的には、恐らく「シャット・ダウン」など様々な下敷きがあるんでしょう
ライヴの定番曲です

③ Surfer Moon B.Wilson
これまた前奏の魅力的な好バラード

ルーム・メートだったボブ・ノーバーグ(Bob Norberg)と共作しているらしいです
これまたブライアン自身の声でコーラスを重ねています

バカラックばりにストリングス(バイオリン系の楽器)をたっぷり使っている点などから、前作までとの(特にロンリー・シーとの)違いがくっきりするバラード曲かと

ちなみに、ボブ・ノーバーグといえば、キャピタルのエンジニアを務め、ビーチ・ボーイズをはじめ、多くのミュージシャンと仕事をしているのですが、なんと驚いたことに、上記のルームメイトのボブさんとは別人28号だそうです。


④ South Bay Surfer S.Foster / Arr. B.Wilson - D.Wilson - A.Jardine
ピアノをやってる方とかは多分知ってるメロディ
原曲の名前は「Swanee river」「故郷の人々」って邦題でしたかね

ブライアンもお気に入りのようで、ハニーズ(The Honeys)でもう一回で試み、ブライアンの直系イギリス人、トニー・リヴァース(Tony Rivers)もフレッシュメン(The Freshmen)で意欲的なアレンジ

⑤ Rocking Surfer Trad. B.Wilson

⑥ Little Deuce Coupe B.Wilson - R.Christian :US #15
シングル①のB面だったホット・ロッド

この曲が実は凄い曲だって気づくのに時間がかかった、なんて言う評論家がいたが、そうなんでしょうね~偉そうに言える立場じゃないが(笑)。
短くて、実に単純なメロディ
ありがちなベース音、ありがちなコーラスの合いの手
それを、これ以上ないくらい完璧にまとめ上げてますね

他のホットロッド系ソングに強烈な影響を与えたそうです

⑦ In My Room B.Wilson - G.Usher :US #23
レコードをひっくり返すと、A面と同じく素晴らしいハーモニーのバラードが始まる
って構成は確信犯的ですねだって、⑥をここに持ってきても良かったわけで

恐るべき4声コーラス
開始15秒辺りでやってくるハーモニーにいつもハッとします

・・・ところで、歌詞の意味が、ジョン・レノンの作った「ゼアズ・ア・プレイス」(ビートルズの一作目の⑬)と被ったのが、素敵な偶然天才は一人になれる場所がお好きなようです

⑧ Hawaii B.Wilson - M.Love
評論家の中山康樹氏が、この曲で初めて“天才ブライアン”を意識した、と書いていたのを見て、何か嬉しかったですね
僕もそこまで大袈裟ではないですが、「ハワイ」が違うな、と偉そうに感じてました(笑)。

「タタタタタ」とドラムがなって、アカペラの「Do you wanna~」に低音の「go~」が後半にかぶり、、、あぁ本当に最高(←アホ)

この頃のブライアンの曲は大半が「あれ、これと似てない?」と感じる部分が多いのですが、ハワイはけっこう独特なメロディをしてます

⑨ Surfer's Rule B.Wilson - M.Love
久々デニスがリードとかは良いのですが(笑)、気になるのは最後のリフレイン

・・・事前に背景を説明します
当時、若者向けコーラス・グループは、東のフォー・シーズンズ、西のビーチ・ボーイズというのがツー・トップだったとか
どちらもバンバン良い曲をヒットさせており、互いにライバルでしかし、どうも仲が悪かったらしい

最後のリフレインに、この年のフォー・シーズンズの全米1位曲、「ウォーク・ライク・ア・マン」の冒頭のファルセット(裏声)を、何とそのまんまブライアンが歌っていて
しかも「Four seasons, you'd better believe it」って合いの手まで入るんです
オイオイって感じです

しかもフォー・シーズンズ、64年1月のヒット曲のB面が「ノー・サーフィン・トゥデイ」
・・・仲良くやれって(笑)。

⑩ Our Car Club B.Wilson - M.Love
マイクの超々低音が心地良い、佳曲

マイクの作詞能力って凄い
⑧からここまで、本当にチョイチョイと自分らに合う歌詞を作ってます
彼は、ビーチ・ボーイズって存在と、その印象を良く理解してたのでしょう

もちろん、サーフィンだろうが、車だろうが、ハワイだろうが、孤独だろうが、今回のクルマ部(笑)だろうが、なんでも曲に出来るブライアンも相当凄いです

そして、何でも歌えるビーチ・ボーイズ、楽しい限りです

マイクブライアンでリードが移りますが、これは初めて聞くと、案外気づかないと思いますよ(俺だけ?)
従兄弟同士だしね、声質が似てるんですよ

⑪ Your Summer Dream B.Wilson - B.Norberg
ブライアン、名唱です
共作者は、再びルームメイトのボブ・ノーバーグ

このアルバムの構成を眺めると、きっと当時の人がはアップテンポはマイクが歌い、バラードはブライアンが歌うんだ”とか感じてたんかなぁ、なんて

⑫ Boogie Woodie Trad. B.Wilson
ブギウギん?ブギウディ?



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