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注文の多い注文書

2019-11-02 03:33:42 | 
久しぶりのクラフトエヴィング商會でした。
やっぱりこの雰囲気、好きです。増してや今回は小川さんの注文ですから、怪しさ気味悪さが増しています。おまけに受領書もあるのでオチも楽しめます。。
元ネタ本は読んだことのない物ばかりでしたが、読んでみたくなりました。

ただ、解説を読んで解らなくなってしまったことが一つ。
病気の治った彼女には見えなくなってしまった丸薬がわたしには見える。ということは、私自身が・・・!?ってオチだと思っていたら、病気が治る=失明するってオチだとありました。えぇ?っと思って本文を読み返してみましたが、やっぱりそうとはとれなくて・・・・・でもオフィシャルの解説ですから、そうということなのですよねぇ???



 「注文の多い注文書」小川 洋子 クラフトエヴィング商會



少し変わった子あります

2019-10-31 12:33:06 | 
まず浮かんだ言葉はパラドックス。

「リディアの住む時に」を思い出したので。でも森さんのこの本は、一定の時と場所に閉じ込められた訳ではないのでちょっと違うか。でも彼女たちではなく、彼は閉じ込められたのか?何て思いつつ、パラドックスって実際のところどういう現象だっけ?とウィキってたら、タイムパラドックスという言葉は見つからず、でもこの本の内容も充分パラドックスなのではって思うに至りました。

まぁ、森さん流屁理屈の極みみたいな内容です。(哲学だとしても、凡人としては理解仕切れないので屁理屈として楽しみます。)
有るも無いも捉え方次第、人恋しくて行くのか、孤独を実感したくて行くのかという感覚も紙一重というところでしょうか。



 「少し変わった子あります」森博嗣



須賀敦子全集 第1巻

2019-10-19 12:23:36 | 
エッセイ集です。
何となく塩野七生さんを思って買ってみたのですが、雰囲気は全然違いました。
塩野さんは古代からルネサンスの歴史的視点が多いのに対し、須賀さんはもっと近代の視点というイメージ。それから、塩野さんは現在進行形なのに対し、須賀さんは年老いてから若かりし青春を思い返してるノスタルジックな寂しさが漂っている感じかな。年齢は須賀さんの方が大分年上のようです。

皆が集っている書店を中心に据えたエッセイなのですが、書店は本屋さんというより、教会の啓蒙活動の広報的役割を持って居る存在です。なので皆カトリック教徒なのですが、エッセイの内容は宗教色は強くないです。その分、須賀さん自身が何をどう考えてるのかは解りにくいかな。

また、そういう環境のためかボランティアのブルジョワ階級との交流も結構あるのですが、交流が有っても住む世界は違うという時代です。そこに須賀さんが結構受け入れられているのは、日本人を珍しがられたというだけではなく、その時の生活は貧しかったとはいえ、実際のところブルジョワのお嬢様という事実からなのでは、とも思っちゃいました。

須賀さんの思想が伝わるものを読んでみたいな。
何巻を買えばいいのか、悩むな。



 「須賀敦子全集 第1巻」須賀敦子



グロリアーナの祝祭

2019-08-21 22:06:56 | 
当時の文化や世相が解っておもしろかったです。

女王という存在が諸手を挙げて歓迎されたわけではないこと、戦略的には女王という存在を最大限に利用したこと、また現代ならマスコミで行われるであろう情報操作を演劇でしていたこと等など。
ムアコックのグロリアーナを読みながら思った、騎士って時代違うんじゃないかなって点もリバイバルだったことが解ったし。

研究者からすると一つ一つが違う視点の引用なのでしょうが、素人からすると似たような内容のくり返しと感じる部分もありますが、おかげで理解しやすいってとこもあるのかな。



 「グロリアーナの祝祭 エリザベス一世の文学的表象」竹村はるみ



細雪

2019-08-11 09:06:02 | 
そんなに期待せず読み始めたのですが、意外にも面白く一気読みしちゃいました。
姉妹間の微妙な感情、信頼と甘えと距離感が絶妙だな。それに何と言っても当時の文化がとても興味深かったです。

軸となるストーリーとは関係なさそうな事象も沢山盛り込まれていおり、それらが物語に幅とリアリティを与えています。
共感できない場面もあるし、何となく落ち着いたようで実は不安を残す終わり方ですが、主だって物語の進行役を務める次女の生活が安定しているおかげで、何となくどうにかなるかなとマイナス感情にならず読めました。
上手いなぁ。

「あの家に暮らす四人の女」は登場する女性四人でなぞられているとして、「イデアの影」はどうオマージュなのだろう。うーん、解りません。


 「細雪」谷崎潤一郎