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垂れ流す部ログ

色々なことについてぶつくさ言う、垂れ流す部ログ。
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『コミック 文体練習』マット・マドン 大久保譲訳 国書刊行会

2006年10月30日 19時48分31秒 | 漫画
まず始めに注記しておきますが、レーモン・クノーの『文体練習』のコミック版ではありません。
「レーモン・クノーの『文体練習』(05年12月4日紹介)と同じようなことをコミックでやってみよう」という趣旨のコミックでして、一つのストーリーを99通りの方法で描いています。
何度も「コミック」と書いている通り、「マンガ」ではありません。左開きで文字も横組です。99通りの方法の中には「マンガ」というものもあって、なぜか女性のパンチラが描かれているコマがあります。普段マンガに親しんでいる者としては一瞬首をひねりますが、考えてみると少し納得できます(少年誌では結構見受けられますよね)。
「これは微妙じゃね?」というのもありますが…がんばってます。

『鈴木先生』武富健治 双葉社

2006年10月10日 22時55分03秒 | 漫画
漫画アクションにて断続的に掲載されているようです。現在のところ一巻まで。
これはすごい。
「本人たちは極めて真剣であるのに、端から見ると可笑しい」という状況がありますよね。この漫画はまさにそうした読後感を得られる傑作です。
中学二年生の担任鈴木先生が主人公です。多感な時期を迎えた生徒たちと、そんな彼らと真摯に向き合う先生が繰り広げる青春学園もの、と言えます。が、どこがすごいかと言えば彼ら生徒たちの多感さ。あまりにも些細なことに感じ入る彼ら。「給食の酢豚が廃止になる」ということがクラス全体の問題となる始末。さらに彼らにあまりにも真摯に向かい合う鈴木先生。生徒たちに応えて、酢豚の廃止を見直すべく職員会議にかける始末。極めて真剣に些細な問題に向き合う生徒たちと鈴木先生たちの様子は、その絵柄とも相まって可笑しくて仕様がありません。大声で馬鹿笑いというよりも、断続的に鼻息が漏れるような笑いです。
個人的には『正義隊』(2005年10月15日紹介)以来の衝撃です。特に驚くべきは、漫画家本人が(おそらく)狙ってこういう作品にしているということ。「漫画家は(笑いを狙ったりせず)シリアスなドラマ描いているつもりなんだろうが、可笑しい」という、漫画家の狙い・意図とは違った読み方で読者が楽しむという(ある意味で)「誤読の楽しさ」ではありません。むしろこの作品の場合、「誤読」すると金八先生のようなものになってしまいますから。狙ってこう出来るというのはすばらしい才能だと思います。

『麻雀鳳凰城』みやぞえ郁雄 原作志村裕次 グリーンアロー出版

2006年09月25日 23時10分48秒 | 漫画
全二巻。
「北斗の拳」の世界観で麻雀マンガ、という暴挙に走ったマンガです。核戦争後の世界で命がけで麻雀…すげえ!
有無を言わせぬ展開も魅力です。例えばオーロラが見える寒冷地に連れてこられて敵と対戦する羽目になる主人公たち一行、とか。氷の大地にあぐらをかいて麻雀卓を囲む四人(主人公たち3人と敵1人)。しかも敵はノースリーブです。そんな絵、このマンガ以外では決して見ることはないでしょう。更に、よく見るとお尻の下には座布団。確かに氷の上に直に座るのは寒いですから。
もし読む機会があれば、是非!

『しわあせ』山田芳裕 B.S.P

2006年09月07日 23時34分22秒 | 漫画
「しあわせ(幸せ)」ではありません。「しわあせ」です。
『デカスロン』『ジャイアント』等々、独特の画風(異様なパース・尋常でない「ため」)で知られる山田芳裕のわりと初期の作品です。
西暦2033年、世界はあまりにも平和になりすぎていた…。健全かつ健康すぎる人々に囲まれ、1962年生まれの男・水前寺純は苛立っていた。1980年代に青春を過ごした男にとって、平穏・健全・健康なこの世界には「毒」が無さ過ぎた…という話。
確かに、ここまで「退屈」な未来は嫌かも…。純の気持ちも分かります。

『Sink』いがらしみきお 竹書房

2006年08月09日 21時53分16秒 | 漫画
Web連載していたようです。全二巻。
いがらしみきお。「どっかで聞いたことある名前だな~」と手に取りました。調べたら『ぼのぼの』の作者ですね。
この作品は『ぼのぼの』とは全く毛色の違う、純粋にホラーの作品。
『臥夢螺館』(福山庸治)が面白かったなら、これにも挑戦して下さい。『臥夢螺館』と同程度の高水準の怖さ、面白さだと思います。静かに「普通」「日常」が壊れていくさまに引き込まれていきます。

『トーマの心臓』萩尾望都 小学館

2006年07月20日 17時10分25秒 | 漫画
文庫で全一巻。
私の中で「名作と言われる少女マンガを読んでみよう」というムーブメントが最近あるような、ないような。そんなわけで古典的作品からチェックを始めてみました。
乱暴に言うなら、プラトニックなボーイズラブの話です、うん。
萩尾望都の特徴なのか分かりませんが、長い台詞が1コマに収められていたり、1コマ1コマがほぼ1カットになっているせいでとても情報量が多いです。1コマ1コマ丁寧に読む人には苦ではないでしょうが、流れで読む(読み飛ばす?)私としては結構大変でした。
余談ですが大友の『AKIRA』もコマ割が細かくて最初とまどいました。「一秒が長っ!」という感じで。
更に余談ですが、よしながふみの『ジェラールとジャック』は性描写も含むメンズラブものです。興味(?)があれば。

ボーイズラブを好む女性を「腐女子」と言うって本当ですか?

『フリージア』松本次郎 小学館

2006年06月21日 23時51分38秒 | 漫画
イッキで連載中。単行本は現在7巻まで。
連載中のマンガは紹介しづらいのですが…登場人物が変人揃いで面白いです。
戦時下で、敵討ちが合法化された世界が舞台です。敵討ち執行代理人の職を得る主人公叶ヒロシは統合失調症のような感じでしょうか。独り言、空耳、おかしな問答をします。敵討ち執行代理事務所の同僚の水口も独自の観念・世界観を持ち、ほとんど反社会的人物です。また事務所の女性職員のヒグチもなんだか薄気味悪いです。
主人公たちは様々な敵討ちの執行代理をこなしていきますが、仕事をこなすごとヒロシの人格は統合失調の度合いを強めていっています。その人格の謎もまだまだ明かされません。
個人的には、荒木飛呂彦の作品が好きならこれも大丈夫じゃないかと思います。
実写映画化され、07年新春にロードショーとのことです。それより、あの単行本の帯の宣伝コピーは何なんでしょうか。意味が分かりません。

『自虐の詩』業田良家 竹書房

2006年06月07日 00時17分00秒 | 漫画
文庫(竹書房文庫ギャグ・ザ・ベスト)で上下巻。名作の誉れが高い作品ですね。
一応四コマのギャグマンガの体裁をとっていますが、ほぼストーリーマンガです。
私個人は四コママンガとしてほとんど笑えませんでした。しかし、良かったです。はっきり言って上巻は我慢して読んで下さい。上巻では、無職・ギャンブル狂いで怒るとすぐに茶ぷ台をひっくり返すイサオと、その妻幸江の日常が描かれます。幸江の薄幸ぶりやイサオに対する愛情が強くあぶり出されます。そして下巻から幸江の過去が挿入されていきます。やっぱり小さい頃から幸薄かった幸江…壮絶な中学時代を経て不幸街道まっしぐらの幸江…、とこの辺まできたら後は読む手が止まりません。イサオと幸江の馴れ初めを知ったら、上巻のイサオもなんだか許せそうです。ラストも良いですよ!
ついでに業田良家は『詩人ケン』もけっこういいですよ。

『ロボット長島』貝塚ひろし 原作・久米みのる サン出版

2006年05月28日 22時18分09秒 | 漫画
発行は昭和56年1月2日。「SF野球COMIC」と銘打ってあります。「長島」とはあの長嶋茂雄のことです。
カバー袖のあらすじを引用します。「スランプになやむ長島の前に突然現れたもう一人の長島!!これこそロボットの研究で世界に知られる海老原博士の作った”ロボット長島”だった。その日から”ロボット長島”の協力のもとスランプ脱出のための猛特訓がはじまった」
いやあ、すてきな漫画ですなあ。写真を見て分かるように、全コマに数字が降ってあるというところも見逃せませんよ。