前二作があまりにすばらしい内容だっただけに、本作の評判はあまりかんばしくない。たしかに、ヒットしそうなキャッチーな曲はないのだけれど、ヨーロッパのジャズシンガーにはない、垢抜けない、ちょっと泥臭い歌いっぷりがいい。垢抜けないことはけっして悪いことではなく、それはそれでけっこう味わい深いものだ。地味ぃーだけど、部屋に流しておく音楽としては秀逸だと思う。