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本と音楽とねこと

一億総貧困時代

雨宮処凛,2017,『一億総貧困時代』集英社インターナショナル.(12.27.2018)

 「貧困」の蟻地獄に転落していく要因は、実に多様である。本書で紹介されている事例の一つ一つが、人の生のはかなさを生々しく描き出している。身近に当たり前のように存在する、理不尽で残酷な問題の数々に戦慄する思いである。いまだに「貧困は自己責任」と切り捨てる連中は、「このような人生も大いにありうる」という想像力を欠いた無知蒙昧の輩なのだろう。

目次
「お父さんの子どもを産みました」―虐待の末、路上に辿り着いた女性
子どもの虐待と“貧困”―見えない孤立と声なきSOS、その傍らで
介護離職から路上へ、そして路上から支援者へ―親の介護から人生が一変して
「生き残ったのが、父じゃなくて私で良かった」―“利根川一家心中事件”裁判傍聴で明らかになったこと
スーパーグローバルな「おせっかいおばちゃん」―この国で生きる外国人を支える人々
原発避難者の今―「原発はもう安全」というストーリーが生み出す“貧困”
学生が1600万円以上の借金を背負うシステム―奨学金破産1万人・日本の特殊な現状
“アリさんマークの引越社”、その「アリ地獄」的実態―剥き出しの悪意と人権侵害の企業で闘う
性産業はセーフティネットたり得るか―「風俗」と「福祉」を繋ぐ“風テラス”の試み
人の命を財源で語るな―“生存権裁判”が問いかけるもの
“相模原障害者施設殺傷事件”を受けて―“スーパー猛毒ちんどん”と、ALS患者たちの生きる実践
(座談会)それでも私たちは生きていく―30代男女に聞く「非正規労働者」の現在・過去・未来

性的虐待の果て、父親の子どもを産んだ女性。長年の介護生活の果て、両親とともに死のうと川に車で突っ込み、娘だけが生き残った「利根川一家心中事件」。介護離職から路上へ、そして支援者となった男性―。奨学金、ブラック企業、性産業、そして原発事故や外国人労働者問題など、現代のこの国に潜む、あらゆる「貧困」に斬り込んだ渾身の一冊。

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