なぜ、貧富の格差が拡大し、地域社会が分断され、過当競争と労働強化の果てに家族も個人も疲弊してしまうのか。ライシュは、その要因を、消費者、投資者としてのわたしたち自身が、電子情報通信技術の革新ともども招来したニューエコノミーの内実に求める。
消費者、投資者としての合理的行動が、その意図せざる結果として雇用の劣化を招来するとは、社会学にはなじみ深い知見ではあるが、あらためてその経緯が詳説されており、とても勉強になる。
ただ、雇用劣化の責は、まず為政者や雇用者にこそ問われなければならないだろう。あたかも原発事故の責を一般市民にのみ帰するかのような物言いには、納得できない。
目次
1 ニューワーク
すばらしい取引の時代
技術革新の精神
変人と精神分析家
忠誠心の消滅
雇用の終焉
2 ニューライフ
人々を一生懸命働かせるもの
自分を売り込む
ものすごく縮んでいく家族
気配りへの支払い
商品としてのコミュニティ
3 選択
個人の選択
社会の選択
消費者市場主義時代の幕開けで、労働者にとって過酷な社会になりつつある。米国社会を分析し、勝者であり続けるために何を犠牲にすべきかという問題を解き明かす。
最新の画像もっと見る
最近の「本」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事