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不動産受験新報2007年12月号 平成19年度 宅建試験 解答と解説その3

2007-12-04 09:00:00 | Weblog
住宅新報社・月刊「不動産受験新報」20007年12月号
       (毎月1日発売 定価910円)


平成19年度 宅建試験 解答と解説その3

今回の解答と解説については,次の先生方にお願いしました。(アイウエオ順)合田 格,井尻茂美,伊藤陽三,岩本周二,植杉伸介,小川多聞,鈴木 優,瀬川丈夫,十影 響,福田隆光

【問 35】 正解 2
1 誤り。建物の貸借の媒介において,建物について,石綿の使用の有無の調査の結果が記録されているときは,その内容を借主に説明しなければならない。また,石綿が使用されていない旨の調査結果が記録されていないときは,その内容を借主に説明しなければならない(宅建業法35条14号,施行規則16条の4の3第3号)。
2 正しく正解。建物の貸借の媒介において,当該建物が宅地造成等規制法の規定により指定された造成宅地防災区域内にあるときは,その旨を借主に説明しなければならない(法35条14号,施行規則16条の4の3第1号)。
3 誤り。耐震改修促進法に規定する技術上の指針となるべき事項に基づいて,一定の者(指定確認検査機関・建築士,登録住宅性能評価機関・地方公共団体)が行う耐震診断を受けたものであるときは,その内容を説明しなければならないが,当該建物が昭和56年6月1日以降に新築の工事に着手したものは除かれる(法35条1項14号,施行規則16条の4の3第4号)。
4 誤り。宅地の売買の媒介において,当該宅地の瑕疵を担保すべき責任の履行に関し保証保険契約の締結等の措置を講じないときは,その旨を買主に説明しなければならない(法35条1項13号)。
楽学宅建 p.342「重要事項の説明」 パーフェクト宅建 p.483「重要事項の説明」
【問 36】 正解 2
1 正しい。Aが誇大広告等の禁止に違反した場合,甲県知事から指示処分を受けることがあり,その指示に従わなかったときは業務停止処分を受けることがある(宅建業法65条1項2号・2項3号)。
2 誤りで正解。Aが乙県内で行う建物の売買に関し,取引の関係者に損害を与えるおそれが大であるときは,Aは,甲県知事から指示処分を受けることがあり,また,乙県知事から指示処分を受けることもある(65条1項1号・3項)。
3 正しい。Aが,正当な理由なく,その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他人に漏らした場合,Aは甲県知事から業務停止処分を受けることがあるほか,50万円以下の罰金の適用を受けることがある(45条,65条2号,83条)。
4 正しい。Aの従業員Bが重要な事実の告知義務に違反した場合,法人であるAに対して1億円以下の罰金刑が科されることがある(84条1号)。
楽学宅建 p.407「監督,罰則」 パーフェクト宅建 p.550「監督」,p.558「罰則」
【問 37】 正解 3
1 正しい。営業保証金から還付を受けられる債権は,宅建業者と宅建業に関し取引したことから生じた債権である。したがって,広告代理店の広告代金等は営業保証金から還付を受けることができない(宅建業法27条1項)。
2 正しい。宅建業者は,免許の有効期間の満了に伴い,営業保証金の取戻しをするための公告をしたときは,遅滞なく,その旨を免許権者に届け出なければならない(法30条3項,宅地建物取引業営業保証金規則8条3項)。
3 誤りで正解。営業保証金を供託しなければならないのは事務所である(法25条1項・2項)。したがって,現地出張所を設置しても営業保証金を追加して供託する必要はない。
4 正しい。Aの支店でAと宅建業に関する取引をした者は,その取引により生じた債権に関し,Aが供託した営業保証金を限度として還付を受けることができる(法27条1項)。
楽学宅建 p.309「営業保証金」 パーフェクト宅建 p.448「営業保証金制度」
【問 38】 正解 2
1 誤り。実在する宅地についても,実際に販売する意思のない場合は,たとえ広告の表示に誤りがなくても,おとり広告として行うことはできない(宅建業法32条)。
2 正しく正解。未完成物件に関しては,建築確認を受ける前に広告をすることも,売買契約を締結することも許されない(33条,36条)。
3 誤り。未完成物件に関しては,開発許可があるまでは,貸借の広告をすることはできないが,貸借の媒介をすることはできる(33条,36条)。
4 誤り。契約締結時期の制限(36条)は,相手方が宅建業者であっても適用される。また,契約だけでなく,予約を締結することもできない。
楽学宅建 p.330「誇大広告等の禁止」,p.331「広告開始時期の制限」,p.332「契約締結時期の制限」 パーフェクト宅建 p.470「広告等に関する規制」
【問 39】 正解 4
1 正しい。国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別は,宅建業法第34条の2第1項に基づき交付すべき書面に記載しなければならない(宅建業法34条の2第1項7号,施行規則15条の7第4項)。
2 正しい。宅建業者は,宅地または建物を売買すべき価額または評価額について意見を述べるときは,その根拠を明らかにしなければならない(34条の2第1項2号・2項)。
3 正しい。専属専任媒介契約を締結したときは,当該契約の締結の日から5日以内(休業日を除く)に,一定の事項を指定流通機構に登録しなければならない(34条の2第5項,施行規則15条の7,15条の8,15条の10)。
4 誤りで正解。有効期間の更新は,依頼者の申出があった場合に限り更新でき,自動更新の特約は無効である(34条の2第4項・9項)。
楽学宅建 p.335「媒介契約の規制」 パーフェクト宅建 p.476「媒介契約・代理契約に関する規制」
【問 40】 正解 4
1 誤り。35条書面,37条書面のいずれも取引主任者をして,当該書面に記名押印させなければならない(宅建業法35条4項,37条3項)。しかし,内容の説明は,37条書面については不要である。
2 誤り。売主が宅建業者であっても,37条書面は交付しなければならない。なお,35条書面は売主(B)に交付する必要はない。
3 誤り。35条書面,37条書面のいずれも省略することは許されない。
4 正しく正解。ADが共同で媒介を行う場合は,ともに重要事項の説明について責任を負うのであるから,Dも業務停止処分を受けることがある(65条2項2号)。
楽学宅建 p.342「重要事項の説明」,p.353「契約書面の交付等」 パーフェクト宅建 p.483「重要事項の説明」,p.503「書面(契約書)の交付」
【問 41】 正解 1
1 正しく正解。宅建業者は,自己の所有に属しない宅地または建物について,自ら売主となる売買契約を締結してはならない(宅建業法33条の2)。しかし,他人との間に物件を取得する契約(停止条件付き契約を除く)を締結しているときは,この限りではない(同条ただし書)。本件では,停止条件付きなので,契約締結はできない。
2 誤り。2割を超える特約がすべて無効になるのではなく,2割を超える部分についてのみ無効となる(38条)。
3 誤り。瑕疵担保責任については,民法よりも買主に不利となる特約が無効とされる(40条)。「その瑕疵がAの責に帰することのできるものでないときは,Aは瑕疵担保責任を負わない」とするのは,無過失責任を定めた民法よりも買主に不利なので無効となる。
4 誤り。建物の引渡しを受け,かつ,代金の全部を支払っているときは,契約を解除することはできない(37条の2第1項2号)。
楽学宅建 p.364「自己の所有に属しない物件の契約制限」,p.368「事務所等以外の場所でした買受けの申込みの撤回等」,p.374「損害賠償額の予定等の制限」,p.376「瑕疵担保責任の特約の制限」 パーフェクト宅建 p.510「自己の所有に属しない宅地・建物の売買契約締結等の制限」,p.512「事務所等以外の場所においてした買受けの申込みの撤回等」,p.516「損害賠償額の予定等の制限」,p.519「瑕疵担保責任についての特約の制限」
【問 42】 正解 3
1 誤り。まず,保証金は退去時に返還されるものなので,「権利金」とはならず,これを基礎に計算することはできない(建設省告示1552号第6)。AがCから受け取ることができる報酬の限度額は,13万円×1.05=136,500円である。
2 誤り。通常の広告料金は,宅建業者が負担しなければならない。
3 正しく正解。建物が居住用の場合,依頼者の承諾がない限り,家賃の1か月分の1/2の額が限度額となる(同告示第4)。したがって,13万円÷2=65,000円,これに消費税を加え65,000円×1.05=68,250円となる。
4 誤り。定期借家契約の再契約に関して宅建業者が受けることのできる報酬についても,新規の契約と同様に報酬規定が適用される。
楽学宅建 p.389「報酬」 パーフェクト宅建p.534「報酬に関する規制」
【問 43】 正解 2
1 誤り。宅建業者は,未完成物件については,都市計画法第29条の許可を受けた後でなければ,当該宅地の売買契約を締結することができない(宅建業法36条)。
2 正しく正解。宅建業者は,未完成物件については,手付金等の額が代金額の5%を超える場合,または1,000万円を超えるときは,保全措置を講じなければならない(41条1項)。本肢の場合,手付金および中間金の受領前に,手付金等の保全措置を講じなければならない。
3 誤り。取引態様の明示義務は,広告をするときと,注文を受けたときに課せられる(34条)。注文者が知っていても,また,宅建業者であっても省略することはできない。
4 誤り。宅建業者が自ら売主となる場合,手付は解約手付とみなされる。したがって,GはFが履行に着手する前であれば,手付金を放棄して契約を解除することができる(39条2項)。
楽学宅建 p.332「契約締結時期の制限」,p.380「手付金等の保全措置」,p.333「取引態様の明示義務」,p.376「手付の額の制限等」 パーフェクト宅建 p.498「契約締結時期の制限」,p.523「手付金等の保全」,p.474「取引態様の明示義務」,p.518「手付の額の制限等」
【問 44】 正解 1
1 正しく正解。一の保証協会の社員である者は,他の保証協会の社員となることはできない(宅建業法64条の4第1項)。
2 誤り。保証協会に加入しようとする者は,その加入しようとする日までに,弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければならない(64条の9第1項)。
3 誤り。弁済業務の円滑な運営に支障を生ずるおそれのある場合は,担保の提供を求めることができる(64条の4第3項)。
4 誤り。保証協会は,新たに社員が加入し,または社員がその地位を失ったときは,直ちに,その旨を当該社員である宅建業者が免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に報告しなければならない(64条の4第2項)。報告するのは,保証協会である。
楽学宅建 p.318「宅地建物取引業保証協会」パーフェクト宅建 p.456「保証協会の指定・業務・加入」,p.459「弁済業務保証金制度」
【問 45】 正解 1
1 誤りで正解。従業者が取引主任者であっても,取引主任者証の提示をもって従業者証明書の提示義務に代えることはできない(宅建業法48条2項)。
2 正しい。従業者名簿は取引関係者から請求があったときは,閲覧させなければならないが,当該名簿がパソコンに記録されているときは,ディスプレイの画面に表示する方法で閲覧に供することもできる(48条4項,施行規則17条の2第3項)。
3 正しい。帳簿がパソコンのハードディスクに記録されているときは,その記録を必要に応じて紙面に印刷することができれば,帳簿への記載に代えることができる(49条,施行規則18条2項)。
4 正しい。宅建業者が一団の宅地建物を案内所を設置して行う場合,物件の所在する場所と,その案内所の両方に標識を掲示しなければならない(50条1項,施行規則19条1項)。
楽学宅建 p.398「業務上の規制」 パーフェクト宅建 p.542「業務上の規制」
【問 46】 正解 4
1 正しい。独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という)の主な業務は,設問肢の記述のとおりである(独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項4号)。
2 正しい。機構は子どもを育成する家庭または高齢者の家庭に適した良好な居住性能および居住環境を有する賃貸住宅の建設に必要な資金の貸付けを業務として行う(13条1項8号)。
3 正しい。機構は,事業主または事業主団体から独立行政法人雇用・能力開発機構の行う転貸貸付けに係る住宅資金の貸付けを受けることができない勤労者に対し,財形住宅貸付業務を行う(13条2項2号)。
4 誤りで正解。住宅金融公庫は,機構の成立時において解散するものとし,住宅金融公庫の一切の権利および義務は,国が承継する資産を除き,機構の成立時(住宅金融公庫の解散時)において機構が承継する(附則3条1項)。したがって,機構は,住宅金融公庫が機構の設立前に受理した申込みに係る資金の貸付けを業務として行うことになる。
楽学宅建 p.535「住宅金融支援機構法」 パーフェクト宅建 p.577「機構の主な業務」
【問 47】 正解 4
1 誤り。宅建業者が行う広告に住宅ローンについての記載をする場合は,①金融機関の名称・商号または都市銀行,地方銀行,信用金庫等の種類,②提携ローンまたは紹介ローンの別,③借入金の利率および利息を徴する方式または返済例,を明示して表示しなければならない(不動産表示公正競争規約15条12号,施行規則11条44号)。
2 誤り。宅建業者は,「新築」という用語を用いて表示するときは,建築後1年未満であって,居住の用に供されたことがないという意味で使用しなければならない(規約18条1項1号)。したがって,建築後2年経過しているマンションについて「新築」と表示することはできない。
3 誤り。新聞折込みチラシにおいて物件の表示をするときは,物件の交通の利便に関する事項を,当該広告の見やすい場所に,明りょうに表示しなければならない(規約8条4号,施行規則2条4号)。
4 正しく正解。宅建業者は,建物の広告を行う場合,建物の面積は,延べ面積を表示し,これに車庫,地下室等の面積を含むときは,その旨およびその面積を表示しなければならない(規約15条6号,施行規則11条15号)。
楽学宅建 p.538「不当表示の禁止」 パーフェクト宅建 p.583「表示規約」
【問 48】 正解 4
1 誤り。平成19年地価公示(平成19年3月公表)によれば,平成18年1年間の地価変動率は,全国平均で住宅地がプラス0.1%(マイナス1.5%ではない),商業地がプラス2.3%となり,住宅地および商業地ともに平成3年以来16年ぶりにわずかな上昇となった。これは地点数の多い三大都市圏および地方ブロック中心都市の上昇が押し上げたものである。
2 誤り。建築着工統計(国土交通省)によれば,平成17年度の新設住宅着工戸数は,約125万戸(約115万戸ではない。1,249,366戸)で,対前年度比では,約4.7%増(平成16年度1,193,038戸)となり,3年連続の増加となった。
3 誤り。平成18年版土地白書(平成18年6月公表)によれば,全国における平成17年の土地取引件数(売買による土地の所有権移転登記の件数)は,約158万件(対前年比1.3%減)となった。「2年連続の増加となった」ではない。
4 正しく正解。平成17年度法人企業統計年報(財務省)によれば,平成17年度における不動産業の売上高は,約34兆5,000億円(34兆4,997億円)で,全産業の売上高(1,508兆1,207億円)の約2.3%を占めている。
【問 49】 正解 1
1 誤りで正解。山間部において,河川の運搬する土砂が多く,侵食作用よりも堆積作用のほうが上回るとき,谷底に幅が狭く細長い谷が発達する。このように,山間部の谷底において,河川の堆積作用によって形成された平坦地を「谷底平野」という。谷底平野の上部は,主に軟らかい粘性土で構成されているので,一般的に建物の基礎地盤には不向きであるとされている。
2 正しい。後背湿地とは,自然堤防や砂丘などの微高地の背後に形成された低湿地をいう。「湿地」という言葉からも分かるとおり,一般的に軟弱な地盤なので,宅地としての利用には適しておらず,我が国では主に水田として利用されてきた。
3 正しい。三角州とは,河川の上流から流れてきた砂などが堆積することによって,河口付近に形成された地形をいう。枝分かれした2本以上の河川(分流)と海で囲まれた三角形に近い形をしていることから,三角州と呼ばれる。三角州の地下水位は一般的に浅いので,地震の際は,液状化現象を起こしやすい。
4 正しい。旧河道とは,河川の蛇行が進んで流路が短絡した場合などにできる地形をいう。かつては河川であった場所であるから,地盤は軟弱であり,建物の不同沈下が発生しやすい。
楽学宅建 p.542「土地」 パーフェクト宅建p.564「土地」
【問 50】 正解 4
1 正しい。建築物の基礎に木ぐいを使用する場合においては,その木ぐいは,平家建ての木造の建築物に使用する場合を除き,常水面下にあるようにしなければならない(建築基準法施行令38条6項)。なお,非常災害があった場合に建築される一定の応急仮設建築物については,建築基準法令の規定が適用されないとする規定があるが,防火地域内の建築物は除外されているので,本肢の記述は正しい。
2 正しい。建築物に対する風圧力は,速度圧に風力係数を乗じて計算する。そして,速度圧の計算式は,建物基準法施行令に定められているが,建築物に近接してその建築物を風の方向に対して有効にさえぎる他の建築物,防風林その他これらに類するものがある場合においては,その方向における速度圧は,その数値を2分の1まで減らすことができるものとされている(施行令87条3項)。
3 正しい。雪下ろしを行う慣習があれば,積雪荷重が過大になる危険性が低いので,その地方における垂直積雪量が1mを超える場合においても,積雪荷重は,雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる(施行令86条6項)。
4 誤りで正解。本肢のような規定はない。常識的に考えて,低層で小規模な建築物であれば,耐久性等について規制を緩和することもありうるが,高さ60mを超える建築物(超高層建築物)については,きびしい規制をすべきだからである。超高層建築物の構造方法は,「耐久性等関係規定に適合し」かつ,国土交通大臣が定める基準に従った構造計算によって安全性が確かめられたものとして国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない,とされている(施行令36条4項)。
楽学宅建 p.544「建物」 パーフェクト宅建p.568「建物」



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