というわけで昨年12月25日に公開されたシン・エヴァンゲリオン劇場版の本予告の動画から考察をしていこうと思います.
- 電線とインフィニティの腕
見ての通りの電柱とインフィニティのなり損ないの腕.
インフィニティの腕はQでのエヴァのような見た目と異なり透明な見た目になっているように見える.が,特報2でシンジとアスカとレイが歩いているシーンの腕も同様に透けているように見えるので,おそらくこれは単なる演出の変更なのではないかと思う.(もしかしたらフォースインパクトによる影響かもしれないが)
しかし個人的にこのカットで最も重要だと思うのは空だ.
この空は真っ暗だ.
Qでの夜空は星が綺麗に見えていたのに対して,この画像では一切星が見えず,文字通り真っ黒だ.(明度を思いっきり上げてみたが何も映らなかった)
エヴァで空が真っ暗になる状況といえば,破やQでのインパクトで空に出現した虹色の輪の中心の黒い部分を地上から見ると似たような感じになるのではなかろうか.
そして破やQでのインパクトの様子ではなさそうなのでシンでも再びインパクトが起こるのかもしれないと考えられる.
しかし,カットの長さと動きの少なさを見るに,インパクトの発生のような何かが大きく変化するシーンであるようには見えない.どちらかといえば,世界の現状を描く,というような意図を感じる.
これに関しては次の次の月と送電塔のカットで詳しく述べる.
- きれいな水場
川のようなカット.左下の方には魚が泳いでいるように見える.
それに加えてメタ的なことを言ってしまうと,その他のシーンに比べてかなり写実的なように見える.ただしこれは演出的なものかもしれないので,考察の材料にするべきかはわからない.
新劇場版における海は赤い.
破では赤い海を青い海に戻す研究施設が登場したが,そういえば川が赤いのかということは明かされていないように思う.
しかし海洋生物に対してのシンジたちの反応や食糧事情を考えるとおそらく川も赤いのではなかろうか.
後に出てくるアスカらしき冬服の少女などと同様に,「なにか」が起こったあとの復元された世界の映像なのではないかと思われる.
- 模様のついた月と送電塔
背後に見える月はQでシンジがカヲルに世界の様子を見せられたときにあった小さめの月と模様が似ている,というかそれそのものであると思われる.
送電塔には謎の線のようなものが上下各4本ずつつながっているように見える.冒頭10分で8号機を吊っていた線やQで軍艦を吊っていた線と同様のものだとすると,この送電塔を吊っているのはヴンダーか,ネルフのヴンダーだと考えられる.
が,一体何のために吊っているのだろうか.
考えられるのはぶつけて攻撃するためなどだが,映像ではゆったりと回転しているだけで,なにかの意思が働いているようには見えない.
かといってインパクトの発生時に発生した引力のような急激なものの動きのようでもないと感じる.
背後の空は赤っぽさがなく,月の光を除けば真っ黒であるように見える.これは1カット目と同様である.
しかしこれを見るに,インパクト時の光輪の中心としては黒い部分が広すぎるように思う.
もうこれは完全なる妄想でしかないのだが,これは槍でやり直すという儀式が行われて,世界が修復されている最中なのではなかろうか.
(じゃあなんで赤くなくなっていないんだよというツッコミは甘んじて受け入れる)
1カット目も同様である.ここから段々と世界が修復されていくのではなかろうか.
......自分で言っておいてなんだが微妙な気がする.
- 雨に濡れるピアノ
雨に濡れるピアノ.おそらくQでシンジとカヲルが引いていたピアノだろう.
まずひとつわかることはこのカットの段階ではネルフ本部は崩壊したままであるということだ.Qにおいてピアノが置いてあった場所はエヴァの格納庫だ.そこから空が見えるということはネルフ本部は修復されていないということである.
また,右奥の方に見える壁が真っ赤であることから,赤化の修復も起きていないであろうことがわかる.
というか青空なのに雨ということは天気雨なのだろうか.インパクト等の超常現象かもしれないが空の状況から考えてもおそらくは普通の気象現象だろう.
だが普通の天気雨なのだとしてもこのカットが挿入される意味自体は考えられる.
このピアノが映されるということは単にネルフ本部の様子を表すためではないだろう.このピアノはシンジにとってカヲルという存在を思い起こさせる重要な存在のはずだ.
そのピアノが雨に濡れる,というのはなんとも意味ありげだ.
単に曇天の中雨に濡れるというのなら,シンジのカヲルを喪失した悲しみを表しているとわかるが,明るい青空の下で雨に濡れるとなると少し変わってくるだろう.
とは言ったものの全然わからん.
コメントで見解求む.
- 青空に鳥が飛んでいくカット
TV版1話や序の序盤を思い起こさせるカット.
まず分かるのは鳥がいる程度には生態系が復活しているということだ.そして電柱も赤くなくなっている.
エヴァにおいてのこのカットは始まりを想起させることを考えると,すべてが修復されたあとの,新しい世界が始まったあとであると考えるのが妥当だろう.
- 制服のリボンを結ぶ手
肌の色合いからして結んでいる手はシンジのもの,結ばれているのはレイであると考えられる.
問題はどうしてシンジがレイのリボンを結んでいるのか,ということと,そもそもこのレイはどのレイなのか,ということだろう.
もしこれが復元された破のレイであるならば,少なくとも世界が復元されたあとの新しい世界でのことだろう.
というのももしレイが復元された直後のヴィレでの出来事であるならば,レイにわざわざ制服を着せるということはしないであろうと考えられるからだ.
それと同様に,アヤナミレイにも制服を着せる理由がない.
よってこのシーンは世界が復元され,新しい世界が始まったあとに,レイに制服を着せているシーンだとわかる.
漫画版の最後には一巡した後の世界でアスカとシンジが出会うシーンがあったように,(多少の因縁はあれど)関係性は完全にリセットされており,尚且そこにレイはいなかった.
それと比較すると,シンでの世界のやり直しは「レイがいる」,そして「シンジとレイとの間に制服を着せる程度には関係性がある」ということだ.
つまりシンでの再構築は,インパクトを起こして一度全てを無に帰してからシンジの意思で世界の再構築を行う旧劇場版や漫画版の方法ではなく,もっと物理的に,それこそ「赤化解除+建物の物理的な復元」というパリの上位互換のような復元を行うのではないだろうか.送電塔のカットはそれが行われている最中の様子を描いているのではなかろうか.
というようなことをつらつら述べたところでPart1はここまでとする.
Part2も映画が公開される前には書きたい.
昔話では、雨乞いの儀式のための生贄を選べず、長者が息子の嘘の祝言を挙げて人間に化けてやってきた狐を代わりに生贄にしようと計画したが、男は狐に本当に惚れてしまい計画をばらす。狐はそのために来たのだからそれでいいと言って生贄になる。儀式の後、天気雨が降った。それで天気雨のことを狐の嫁入りという。
カヲル君、まさに狐では?