ユーラシアウァッチ:ロシアから見る世界情勢

ロシアは一帯一路の地政学的要所。米中対立や中東対立のキープレイヤー。マスコミのロシア情報は貧しい。その致命的穴を埋める。

プーチン・エルドガン会談:S400ミサイルミサイルの供給は遅滞なく

2019-07-02 10:41:11 | 中東におけるロシア

G20(大阪)期間中、プーチン大統領は各国の首脳と会談を行っている。その中でも目を引くのがトルコのエルドガン大統領との会談。注目点は以下。
○トルコ側はS-400ミサイルの供給を遅滞なく行うようくぎを刺し、共同製造、技術移譲
 も求めている。
○トルコはロシアによる原発建設を受け入れるが、設備はローカル企業のものを使うよう
 に要請している。
○ロシアは、トルコをロシア旅行客の行き先(グルジアへの旅行禁止を出したことも背景
 に)として重視している。
 この会談から読み取れるのは、ロシアが「技術移転」や「ローカル設備使用」など、売り手としては不利な条件を突き付けられながらも、トルコとのミサイル・民生原子力協力を進めざるを得ない立場にあること。もうけを度外視して、中東でのNATO勢力拡大を泊めるためにも、トルコ空の条件をのむ格好になっていることだ。
 おそらくS-400供給も原発建設も赤字覚悟の受注である。エルドガンとしては首都市長選での負けを受けて、自分に権力があるうちにこれらのプロジェクトを進めようと焦ってすすめるだろう。
 以下はEWによるロシア大統領広報サイト掲載の会談議事録訳出。

プーチン:
大統領閣下、皆さま!またお会いできたこと、そして喫緊の課題を議論できることをうれしく思います。2018年にロシア―トルコ間の貿易が16%増加したことをまず指摘したいと思います。相互の投資額はかなり大きくなり、各100億ドルほどにもなります。
現在考えているのは、9億ユーロレベルの投資プラットフォーム設立に向けた議論を加速したいという子kとです。両国共同の投資プロジェクトは進行しており、それは敢えて繰り返すまでもなく、よくわかっていることです。.
7月にエカテリンブルクで行われる国際産業博位のプロムにトルコがパートナー国家として参加してくれることは重要なイベントとなるでしょう。
もちろん、旅行者数も増えており、昨年には600人がロシアからトルコを訪問し、記録的な数となりました。ロシアの旅行者は、もちろん楽しむことにお金を惜しみませんし、、トルコの旅行産業の収入は50億ドルに達しています。
今年はトルコとロシアの相互文化交流年で大規模な交流プログラムがありますので、旅行者数はさらに増えるものと期待しています。両国の間には、二国間関係、国際関係にかかわる論点はほかにもたくさんありますので、繰り返しになりますがお会いできたこと、本当にうれしく思っています。

エルドガン:大統領閣下!あなたは大切な友です。
近年我々は両国の関係発展に向けて新たな後押しを加えてきましたね。
S-400 購入の件は、ドゥシャンベで結んだ合意に従って注意深く進めていくものと理解しています。我々の協力にとっては行動でのミサイル製造および技術移転が、最も優先的な意味を持っていることを強調したいと思います。私の理解では、供給プロセスには遅れはないものと考えています。次の二国間経済委員会会合はトルコで行われます。
観光業については、おっしゃる通り、日に日にロシア、ロシア国民の皆様の我が国絵の愛着が増しています。トルコ国民にとって、観光産業にとって、旅行業者たちにとって、これはもちろん重要な意味があり、さらに大きな力となっています。
他に重要な分野として、アックユ原子力発電所の建設があります。このプロジェクトを実現するには、2023年には稼働できるように勧めることが十な意味を持ちます。他方、核関連以外の設備については、トルコの業者が供給するという条件を我々は重視しています。

*ちなみに、7月1日にはロシア軍参謀本部長ゲラシモフ氏がトルコ軍関係者とシリア問題(イドリブ州の状況について)電話会談もしています。
 イランとも、トルコとも、シリアともイスラエルともサウジとも喧嘩せずにやっている。我が国の同盟国大統領よりもこの点はすごくないですか?